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飲食店は「人時売上高」を重点経営指標として捉える

飲食店は人時売上高を意識する

令和元年10月1日より、東京都の最低賃金が時給1,013円となり、ついに1,000円を超えてしまいました。
オフィス街などでは、「ラーメン店で時給1,500円の募集をかけても人が集まらない」という嘆き節が聞こえてきます。

飲食店で重要視すべき経営指標の一つに「人時売上高(にんじうりあげだか)」というものがあります。
1ヶ月単位で経営分析をしていく場合は、1ヵ月間の売上高を総労働時間で割ったものが、その値となります。

人時売上高= 店舗の月間売上高 ÷ 店舗の月間総労働時間


この労働時間には、もちろん社員の残業時間を含む労働時間と、パート・アルバイトの労働時間を全て含みますが、この人時売上高をどれだけ理想値に近づけられるかが、店長の手腕の見せ所です。

例えば、月商200万円の飲食店Aの総労働時間が400時間とすると、人時売上高は5,000円ということになります。
一方、月商は100万円しかない飲食店Bの場合でも、総労働時間が100時間の場合は、人時売上高は10,000円ということになり、生産性はB店のほうが良いと言えるのです。

飲食店経営を人時売上高の視点で見る際に、1つだけ落とし穴があります。
それは、「人時売上高が高い店は、顧客満足度が低い場合が多い」という点です。経営視点では、生産性が高いほうが良いに決まっていますが、その数値上の生産性の高さは、現場に落とし込むと「売上に見合うだけ(売上を処理できるだけ)の従業員が店にいない」ということにつながることが多いのです。要は、お客様が大声で店員を呼ぼうとも、呼び鈴を何度鳴らそうとも、従業員が対応できない、ということです。

24時間営業の牛丼店で、「ワンオペ」と呼ばれるシフト態勢を組んでいたところは、この人時売上高と生産性向上を追求し続けた結果、現場にゆがみが生じてしまったと言えるでしょう。
「少ない従業員数でもしっかりとお店をまわす」ことで人時売上高を確保しつつも顧客満足度を高く維持できるお店こそが良いお店であり、その店を率いている店長は優秀だと言えます。

時給が多少高くても「仕事ができる人」を雇うべき

冒頭の通り、最近は売り手市場となり、飲食店のアルバイト募集にもなかなか人が応募してくれないですよね。

人時売上高の考え方には「時給の高低」は考えられていませんが、飲食店においては、多少時給が高かろうが、仕事をバリバリこなしてくれる人を雇ったほうが人時売上高は格段とアップできると言えます。

1,100円程度のほぼ最低時給で未経験者を雇うよりも、1,800円の時給を出してでも「プロアルバイター」を雇ったほうが、店舗への貢献度は計り知れなく高くなるのです。
ワンモアディッシュ・ワンモアドリンクの獲得、お客様への心配り・目配りなど、未経験者の3倍も働いてくれる人がいたとしたら、時給を最低賃金の倍の2,000円出しても何も問題はないのです。

仕込み時間・閉店業務では時給を一律にしておく

一方、どんなに優秀なアルバイトであっても、シフトインしている全ての時間に対して2,000円などの時給を支払っていては、FL比率が高くなってしまいがちです。

そこで、「お客様が店舗にいらっしゃらない時間帯、すなわち仕込み時間と閉店業務時間においては、全ての従業員の時給を1,100円と一律にする」などの工夫をしてみてください。

特にホールスタッフは、開店準備をしている際のアルバイトごとの生産性の違いは、営業時間中よりも少ないはずです。

「あなたの能力はお客様と接することで最も発揮してもらえるから、営業時間中の時給は2,000円と、未経験者の倍近く払います。でも、開店準備と閉店業務時間計2時間は、一律の1,100円で我慢してくださいね」というように、ストレートに交渉をしてみましょう。

優秀なアルバイトも、自分の力が認められていることに喜びを感じ、また計算をしてみると、1日のトータルでは他の店舗にアルバイトに行くよりも多く給与がもらえる、となれば、案外すんなりとこのイレギュラー時給設定を了承してくれるでしょう。

個人オーナーが経営している個店の場合には、まかないご飯のルールをアルバイトの好みに合わせることや、目標売上達成時に大入りを配ることなどで、アルバイトの皆さんの「心」をうまくつなぎとめるようにしてください。

人時売上高を確保しながら高い顧客満足度を維持するためにも、優秀なアルバイトにはかなり思い切った時給設定をして募集をかけることをお勧めします。

タブレットで打刻管理。煩雑な給与計算を自動化しましょう

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