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金融機関を正しく知る 第1回

金融機関は力強いパートナー

外食企業には、金融機関との付き合いを避ける傾向がいまだ多く見られます。中には、本来のものとは別に金融機関だけに向けた事業計画書をあえて作られている企業さえあります。

しかし結論から言えば、これは自らの首を絞めていることと同じことです。なぜなら、スムーズな資金調達には、金融機関との信頼関係構築が何より大切だからです。

事業計画書は、金融機関が融資の可否を決定する際の大切な指標となります。もしも計画書の内容が現実と異なっていたら、事業が進行してもいずれ資金がショートする可能性が高く、赤字覚悟で借り入れや返済を繰り返す自転車操業にも陥りかねません。

経営者の方は特に、このような事態を回避し健全な事業運営を行うためにも、金融機関とその業務の意義や仕組みを正しく理解すること。そして、金融機関を事業の有用なパートナーとするための要点を掴んでおくことが必要です。

金融機関の分類と役割

広く知られている都市銀行・地方銀行などの「普通銀行」。特定の地域や業種の中で事業を展開する「協同組織金融機関」。
民間金融機関からの支援が難しい事業者を支援する「政府系金融機関」。
金融機関は、大きく分けて以上の3つに分類できます。

この中で、起業者が最初に接するのは「協同組織金融機関」と「政府系金融機関」。
さらにほとんどのケースは、まず日本政策金融公庫からの支援でスタートします。
そして標準的な流れとして、事業が安定し支店オープンなど次なる手を打つ際に、信用金庫・信用組合などの融資を受けることとなります。

種別 種類 主な貸出先 概要
普通銀行

都市銀行、地方銀行、第二地方銀行、
外資系銀行、ネット専業銀行

大企業
中小企業

開業して3年程度経ったら、店の近くの支店で普通預金口座をつくり、売上金の入金や振込みに利用する。6店目以降の出店や高額の資金調達の際に相談するとよい。
協同組織金融機関

信用金庫、信用組合、労働金庫、
農業協同組合、漁業協同組合

中小企業
零細企業
個人事業主

開業の際に店の近くの支店で普通預金口座をつくり、売上げ金の入金や振込みに利用しておく。2~5店目の出店資金の調達時に相談するとよい。融資は信用保証協会付きのものが主流。
政府系金融機関

日本政策金融公庫、
商工組合中央金庫

中小企業
零細企業
個人事業主

無担保・無保証人の開業支援制度もあり、開業資金の調達の際にはもっとも使い勝手がよい。

変わらない融資の仕組み

日本政策金融公庫は、国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫が解体・統合され、2008年に10月に設立された公的金融機関です。
基本的にはそれぞれの業務引き継いでおり、一般の融資を受けるのが難しい中小企業や新規開業者などへの融資を行っています。

また、信用金庫・信用組合には、新しく事業を興される際に最寄りの支店へ口座を開設しておくのが得策です。
財務に関する相談に役立つうえ、信金・信組側からは財務状況を把握できるため、創業から3期連続で黒字を計上できれば融資の交渉も進めやすくなります。

さらに都市銀行、地方銀行は、将来事業を広げて行く中で取引を行うことがあるでしょう。
しかし、関わる金融機関が変わっても、また融資額が増えても、融資の仕組みは基本的に変わらないことを覚えておいてください。

融資担当者の手間を軽減し、良い心証を得る

金融機関と良好な関係を築いて行くためには、融資を申し込む際に窓口となる担当者の役割を理解するとともに、良い心証を得ることも大切です。

融資担当者は、申請者から受け取った事業計画書を自行のフォーマットに沿った書類へと作り直しますが、まずここで多くの手間や時間を要します。
そして、作成された書類を元に上司を説得。書類はその後、課長・部長・支店長などのチェックを受けて決済者の元へとまわり、ようやく融資が決まります。

もしも、書類の不備やデータのミスなどが見つかれば、手間はさらに増えて行きます。適切で抜けのない書類を準備し、担当者の負担を軽減することは、より良い関係をつくり、決済までの時間を短縮するために大いに役立ちます。

また、下表のように融資額によって決済者は変わりますが、手続きの流れはどの金融機関でも同様です。

決済金額 決済者
~50億円 特定の地方銀行の支店長(常務取締役)
~30億円 特定の地方銀行の支店長(取締役)
~10億円 地方銀行の支店長
5億~10億円 ターミナル支店(大手町、新宿など)の支店長レベル
1億~3億円 都市銀行の支店長
1億円以上 理事長決裁が主流
1,000万~3,000万円 信用金庫、信用組合の支店長レベル

融資担当者は書類の内容だけでなく、申請者の人間性もしっかりと見ています。時間を守らない、態度が横柄などはもちろんのこと、落ち着かない、意見が右往左往する、消極的すぎるなど、担当者がマイナスだと評価した点は申し送り書に記載され、融資の判断に影響を及ぼしますので注意しましょう。

また一方では、金融機関によっては起業支援に積極的なところもあり、より前向きに考えてくれる担当者も少なくありません。書類を不備なく準備し、情熱を持って融資審査へ望むことが大切です。

開業予定の方、創業計画書を作りたい方は OAGコンサルティングへご相談下さい。

※本コラムは株式会社OAGコンサルティングからの寄稿です
投稿:2015年6月

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