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多店舗展開を狙っている飲食店では絶対に赤字を出さない

融資時の審査で赤字はマイナスポイント

飲食店を開業する前にしっかりと有名店で修業を積み、開業後にも順調に常連客を増やしていくことが出来たため、開業初年度から黒字化できたお店があるとしましょう。
先輩飲食店経営者との飲み会で話を聞くと、「黒字化できたのは素晴らしいけど、税金対策をして赤字にしておかないと税金を多く納めることになって大変だよ」というアドバイスを多くの方からもらいました。

「そういうものか。4~5年後には2店舗目も出したいし、今は対策をして赤字申告にしておこうかな」
このような判断をして経費を多めに使い、赤字決算で3年連続確定申告をしていた経営者が、2店舗目出店のために金融機関に融資申請をしてみたところ・・・
「赤字決算が続いているので、当行からの融資は無理ですね。自己資金で頑張っていただくしか無いようです」という返答を銀行から受けてしまいました。もちろん、その他の金融機関からも同様の返答です。

この経営者のミスは、「1店舗を経営するだけで良いと考えている先輩経営者の言うことを真に受けて、赤字申告を続けてしまった」ことにあります。
先輩経営者は「納める税金は少なければ少ないほど良い」と考え、あらゆる対策をして黒字を圧縮したり、赤字化を試みたりしています。でもこれは、金融機関に融資申請をする予定がないからできることであって、多店舗展開を行おうと考えている場合、すなわち、2店舗目以降の出店のために金融機関から融資を受けようとしている人は、例え少額でも毎年黒字決算にしておかなければならないのです。

赤字でも少しは貸してくれる、は勘違い

金融機関の融資条件やガイドラインはそれぞれ違いますが、当然ながら「3年連続黒字の飲食店」と「3年連続赤字の飲食店」では融資可能性が大きく変わってきます。
これは、「黒字の場合5千万円まで出してくれるけど赤字の場合2千万円程度しか貸してくれない」というものではなく、「赤字の場合、1円でも貸してくれない可能性が高い」というシビアなものです。

もちろん飲食店に限らず一般企業でも、「現在は赤字だけれど、今後売上と利益をグングン伸ばしていきそう」な場合、金融機関は喜んで融資をされますが、それはほんの一握りのケースだけです。
一般的には、赤字決算を連続している店舗は今後も赤字の可能性が高く、債権を回収出来ない可能性が高いので、融資はしない、ということになってしまうのです。

経営改善計画書を提出する

いったん赤字で融資を断られてしまった場合でも、経営改善計画書などを提出することで、融資審査に通ることがあります。
この経営改善計画書とは、いわば店舗経営者の決意表明のようなものです。「これまではこういう理由で赤字だったが、これからはこのような対策を講じることでしっかりと黒字経営をしていきます。」ということを、定量的・定性的に表現することが必要です。

決意表明と言っても、「持ち前の気合いと根性で死ぬ気で頑張ります!」というような定性的感覚的な表現しかしていない場合は、融資審査に通りません。
金融機関からすると、この店舗に融資をした際にしっかりと最後まで回収できるのか、ということを見たいのであって、気合と根性で頑張ると言われても、判断がつかないのです。
経営改善計画書には、「頑張る」という定性的な内容と共に、必ず定量的な内容を盛り込むようにしてください。定量的とは数値を伴った表現のことです。

お客様を集めるために死ぬ気で頑張ります、だけでなく、毎月1万枚のクーポン付チラシを最寄りの〇〇駅で朝7時~9時まで手渡しで配布します。これにより1%の反応率を見込み、客単価4,000円の当店では毎月40万円の売上増を見込みます。
さらにお客様のメールアドレスが現在1,200名分ありますが、店舗でキャンペーンを展開することでこれを2ヶ月間で3,000まで増やし、〇〇〇〇〇・・・と具体的に定量的表現を盛り込みながら記載すれば良いでしょう。

もちろん、「このような販促や集客策を2店舗目でも実施することで、2店舗で月間売上〇万円、利益率8%、月間営業利益〇円を計上できるように働いてまいります」などのように、2店舗目出店のための融資申請だということをしっかりとアピールするようにしてくださいね。

開業前から多店舗展開を狙っている飲食店は、何としてでも毎年黒字決算を維持するように心がけましょう。

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