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飲食店が本当に注目すべきは「原価率」よりも「粗利額」

原価率を一律30%以下にする、は危険

他のコラムでも何度かお伝えしていますが、飲食店経営のセミナーに参加したり経営の本を読むと「原価率は30%以下に落とさないと利益が出ないからダメ」などと指導をされます。
これは、飲食店の利益構造では人件費と食材費が共に売上の30%程度を占めていて一番重いため、指導としては合っています。
食材原価率が40%以上などになってくれば、その他のコストを削らなければ赤字になってしまいますからね。

でも、実際に飲食店で原価について考える際には「原価率」だけなく、むしろ「その商品をご提供することで得られる粗利額」に注目してください。

 

例えば、若い女性やワイン好きに人気のビストロがあるとしましょう。 この店の一番の人気商品は「牛タンのビーフシチュー」でご提供価格は1,600円です。
原価はなんと1,000円、原価率は62.5%にもなってしまいます。
経営セミナーの講師が見たら怒りそうですが、お客様はコスパが良いし最高!と言って次から次へと注文してくださいます。

 

また、もう一つの人気メニューが「ガーリックフライドポテトのバニラアイスがけ」です。
ビストロとしては少し邪道なメニューですが、400円の提供価格に対して原価はたったの80円。原価率は20%です。

数字しか見られないセミナー講師は「原価率が低いフライドポテトをガンガン売りましょう!」とおっしゃるかもしれません。
でも注目していただきたいのは、それぞれの商品を売った時に店舗が得られる粗利額なのです。

ビーフシチューは1皿売ると600円、フライドポテトは1皿売ると320円の粗利が入ります。
もちろんビーフシチューのほうが仕込みには時間がかかりますが、1皿売った時に得られる粗利は約2倍もあるのです。

また、特に若い年代のお客様は「他の人がSNSでめっちゃコスパがいいって言っていたから」などの理由で料理を注文してくださいます。
「たったの1,600円で絶品の牛タンのビーフシチューが食べられる」ということをSNSに投稿していただけるという広告効果を考えれば、仮に原価率が高くても、牛タンビーフシチューの提供価格を上げたり肉の質を落とすことなどは考えないほうが良いということですね。

 

このように、飲食店の経営改善を行う際には「利益を残すためにはまずはFL比率(売上に占める食材費と人件費の割合)を60%以下に落としましょう。
原価率が40%近くもあるようだと赤字経営から脱却できませんよ。早急に30%まで落とすように見直しをしてください」などの言葉を額面通りに受け取らないようにしてください。

これは、あくまで「全メニューの原価率を個別に計算した後に平均値を採った際には30%以下を目指しましょう」ということであり、「全てのメニューの原価率を30%以下にしましょう」ということではないからです。

 

また、最近流行りの立ち食い業態のように、人件費率が20%以下に抑えられるような飲食店では、食材原価を40%程度かけてもFL比率を60%以内に抑えられますので、問題がありません。

自店の利益構造やメニューを見直してみたい方は、ぜひ自店以外の飲食業態や人件費のかけ方などを分析した上で、原価設定をしてみてください。
「原価率」だけでなく「粗利額」で見ていくことがポイントですよ。

 

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