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飲食店向けの新型コロナウイルス対策支援情報
(2020年4月17日時点)

※2020年5月19日時点の情報をまとめたコラムをアップしました。こちらでご覧いただけます

コロナウイルス

中国武漢市で2019年末ごろから発生したと想定される新型コロナウイルス感染症は、2020年に入って全世界的に拡大し、日本においても4月7日に一都六府県を対象とする「緊急事態宣言」が発令され、その後16日には対象が全国に拡大されるまでに至りました。
この記事では、2020年4月17日朝時点の政府発信情報や報道情報から、特に飲食店経営者が知っておきたい情報や材料をまとめています。

国内の概況”STAY HOME”

2020年2月25日に政府が示した「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針」では、それまでの経過から閉鎖空間において近距離で多くの人と接触すること(密閉、密集、密接)が感染拡大のリスクであることが示され、イベントの自粛や臨時休校の要請、企業へのテレワーク呼びかけなどが行なわれました。
しかし、その後も国外からの感染者の流入や、大都市圏における感染拡大が深刻化したことから、3月中旬以降、東京都など自治体が先行して休日や平日夜間の外出自粛の要請を開始し、4月7日に政府により関東の1都3県、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、関西の大阪府と兵庫県、九州の福岡県を対象地域に「緊急事態宣言」が発令され、その後4月16日には対象地域は全国に拡大されました。現在のところ、宣言の期間は共通して5月6日までとなっています。

政府の「緊急事態宣言」下では、生活必需品の買い物など、必要な場合以外の不要不急の外出の自粛がより強く要請され、それを推進する上で必要な場合は、対象地域の各知事は事業者に対し法的根拠のある営業の自粛要請を行なうことになります(要請に従わない場合も罰則はありません)。

この間の飲食業の業態別の影響状況の手がかりとしては外食大手上場企業各社が公開している月次レポートが参考になります。2月時点では外国人観光客の減少などから居酒屋業態において客数の面で特に先行して顕在した悪影響が、3月に入って、ファミリーレストラン、ラーメンチェーン、回転すし等の業態に波及していることが読み取れます。他方、ファーストフード業態ではテイクアウト販売が業績の下支えになっていると考えられます。

新型コロナウイルスの感染防止のためには、引き続き密閉、密集、密接を避け、手洗いや咳エチケットなど一般的な感染症対策が重要です。また、マスクやアルコール消毒液の不足、風説によるトイレットペーパーの品切れなどについても順次改善の取組みが行われています。
早期終息を目指すための最新の情報は首相官邸ホームページに集約されていますので、ぜひご確認ください。

飲食店への営業自粛要請内容

政府の「緊急事態宣言」下にある各都道府県は、それぞれの状況に応じた判断で各知事が事業者に対し法的根拠のある営業の自粛要請を行なうことになります。以下は、2020年4月17日朝時点で、政府が4月7日に行なった「緊急事態宣言」で対象になった各都道府県の飲食店への営業自粛要請内容と、要請に応じた場合の補償内容についてまとめたものです。

都道府県名 飲食店への営業自粛要請内容 要請に応じた事業者に対する、都道府県独自の補償内容
東京都
  • 営業時間を午前5時から午後8時までとすること(宅配・テイクアウト販売を除く)
  • 酒類の提供時間は午後7時までとすること(宅配・テイクアウト販売を除く)
「感染拡大防止協力金」として1店舗を経営する事業者には50万円、2店舗以上を経営する事業者には100万円を支給する方向で詳細検討中
神奈川県
  • 営業時間を午前5時から午後8時までとすること(宅配・テイクアウト販売を除く)
  • 酒類の提供時間は午後7時までとすること(宅配・テイクアウト販売を除く)
県内に所在する事業所が1事業所の場合10万円、県内に所在する事業所が複数事業所の場合20万円
を支給する方向で詳細検討中
千葉県 営業自粛要請なし 最大30万円の支援金を支給する方向で検討中
埼玉県 17日から県内の飲食店に対し、酒の提供を午後7時までとする要請を開始する見通し 検討中
大阪府
  • 営業時間を午前5時から午後8時までとすること(宅配・テイクアウト販売を除く)
  • 酒類の提供時間は午後7時までとすること(宅配・テイクアウト販売を除く)
府内の市町村と折半で50~100万円を支給する方向で詳細検討中
兵庫県
  • 営業時間を午前5時から午後8時までとすること(宅配・テイクアウト販売を除く)
  • 酒類の提供時間は午後7時までとすること(宅配・テイクアウト販売を除く)
検討中
福岡県
  • 営業時間を午前5時から午後8時までとすること(宅配・テイクアウト販売を除く)
  • 酒類の提供時間は午後7時までとすること(宅配・テイクアウト販売を除く)
検討中

※要請内容・補償内容は変更される可能性があります。詳細情報・最新情報は各都道府県ホームページなどをご確認ください。また、各都道府県傘下の市区町村単位で独自の支援策が講じられている場合もあります。

なお、接客を伴う飲食店等については全国を対象に基本的に出入りを自粛する要請が、特措法第24条9項に基づいて、4月11日に基本的対処方針に追加されています。

資金繰り支援についての情報

新型コロナウイルス感染症の影響で経営が著しく悪化している場合には「持続化給付金」の給付を行なう方針であることが発表されています。現時点で公表されている給付対象になる条件と給付額の概要は以下の通りです。

給付対象者

  • 中堅企業、中小企業、小規模事業者、フリーランスを含む個人事業者等、その他各種法人等で、新型コロナウイルス感染症の影響により、今年1月から12月までのいずれかの月に、売上が前年同月比で50%以上減少している者

給付額

  • 給付額=(前年の総売上(事業収入))-(前年同月比-50%月の売上×12か月)
  • 給付上限額は、法人:200万円、個人事業者等:100万円

この「持続化給付金」は令和2年度補正予算案の成立が前提となっており、4月最終週を見通しとして詳細が確定、公表される見通しです。

また、個人事業主の小規模のお店については要件なしで「特別利子補給制度」により実質無利子となる(法人のお店でも従業員5名以下のお店の場合では売上高が15%減少している場合、それ以上のお店でも売上高が20%減少している場合には適用)、「新型コロナウイルス感染症特別貸付」も実施されています。飲食店の場合は「生活衛生新型コロナウイルス感染症特別貸付」枠での取扱になる可能性がありますが条件はほぼ同じです。

「新型コロナウイルス感染症特別貸付(生活衛生新型コロナウイルス感染症特別貸付)」の窓口は日本政策金融公庫(沖縄に所在する事業者は沖縄振興開発金融公庫)となっていますが、相談が集中したことから政府は民間金融機関に協力の要請を順次拡大しています。
現在、政府と民間団体の共同出資である商工中金でも特別利子補給制度が適用される「危機対応融資」が行なわれています。都市銀行・地方銀行・信用金庫など民間の金融機関でもセーフティネット5号保証を起点とした緊急融資の相談が可能です。これらの融資を入口に、さらに売上の減少が深刻な場合は、必要に応じて衛生環境激変対策特別貸付や危機関連保証など手厚い受け皿が整えられています。
加えて、国税や地方税の納付や電気、ガス、水道代の支払についても広範に猶予措置が講じられています。
資金繰り支援についての詳細情報・最新情報については首相官邸ホームページや経済産業省特設ページなどでご確認ください。

営業支援についての情報

また、地域自治体による地元の飲食店を紹介する取組みや、新たにテイクアウト販売に取り組む飲食店を支援する取組みが、官民さまざまな形で提供されているようです。自分のお店の地域や業態に合うものを個別にご確認なさってください。

従業員の雇用維持のための情報

雇用保険適用事業所の事業主である場合には、「雇用助成金」が利用可能かどうかご確認ください。
雇用助成金とは景気の後退等、経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされ、雇用調整を行わざるを得ない事業主が、労働者に対して一時的に休業、教育訓練又は出向を行い、労働者の雇用を維持した場合に、休業手当、賃金等の一部を助成する制度です。通常は、6ヶ月以上雇用した正規労働者の雇用維持について助成対象となりますが、新型コロナウイルス対策の特例として、新規学卒採用者など6ヶ月未満の労働者や、雇用保険被保険者でないパート・アルバイトを休業させる場合も助成金の対象となります。助成率も引き上げられています。

今回の新型コロナウイルスに関連して事業活動の縮小に当てはまるかどうかの主な基準は、以下の通りとなっています。

  • 申請した月の前月1か月間の生産量、売上高などの生産指標が前年同期と比べて5%以上減少している場合。
  • 事業所設置後1年未満の事業主も特例として利用可能。提出があった月の前月と令和元年12月を比較して、売上高などが5%以上減少している場合。

以上ご紹介した「雇用助成金」の相談窓口は、お店の地域を所管する労働局・ハローワークなどになります。制度の最新情報、問合せ窓口の詳細については以下のページをご確認ください。

当面の営業工夫などの参考情報

3月初旬の時期にはコロナを文字って「ドリンク飲み放題567円」を行っている飲食店が報道などで話題になりましたが、その後、繁華街のバー・スナックなどにおける密集に起因すると想定される感染者の増加があったこともあり、インパクトの強すぎる集客施策は地域の世情が受け入れるかという観点から慎重な検討が必要と考えられます。

したがって十分な感染対策を講じたうえで、午後8時までの食事を主体とした提供にどのように取り組むかという点がまずはポイントになるでしょう。スーパー等他業種の工夫も参考としたいところです。具体的には、以下のような施策が考えられます。

  • 客席の配置変更
  • 従業員の検温など体調管理徹底
  • 従業員のマスク及び必要に応じてビニール手袋等の着用による接客
  • アルコール消毒剤などを店頭に設置し、お客様入店時にご協力いただく
  • お店の衛生管理状況に関する説明POPの張り出し

そのうえで国が「期限付酒類小売業免許」を開始したことを踏まえると、可能であれば宅配やテイクアウト販売を手がけるという点が検討事項になるでしょう。

今後に向けた施策例とまとめ

新型コロナウイルス感染拡大は深刻で、その終息時期は見通せません。まずは公的な情報にアンテナを張り、支援施策で使えるものはフル活用しつつ、衛生管理に万全を期すということが当面の基本的な取組みになるでしょう。可能であれば、宅配やテイクアウト販売も積極的に検討したいところです。
そして、終息時には大きな需要の反動増も期待されます。今回の場合、例えば春に歓送迎会や卒業入学のお祝いなどを開けなかったお客様が、終息時にあらためてそういった会を検討されるかもしれません。
また、新型コロナウイルスにより、テレワークなどが一挙に進むことが想定されます。例えば常連さんが終息後もテレワークをされるようになると、今までのようにはお店にいらっしゃらなくなってしまうかもしれません。
このように、いつか訪れる終息時には、多くのお客様や新しいお客様にお店をあらためて認知する必要があります。
その際、お客様はメニューについてはもちろん、お店の衛生管理について今まで以上に気にされる可能性があります。そういった点を念頭に、もし手が回るようでしたら、いまのうちからお店のホームページやSNS施策を施されておくといいかもしれません。ホームページやSNSは、公開してもすぐにはGoogle検索などに反映しないため、早めに準備しておくとよいでしょう。

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