- 売上アップ
飲食店が売上を伸ばすためには「ターゲットを絞り込む」ことが大事
誰にでもおいしいお店はありえない
その昔、百貨店の最上階にあった飲食店街では、「なんでも食べられるお店」が流行っていました。大食堂という感じで、おじいちゃん、おばあちゃんからお父さん、お母さん、お姉ちゃんやボクなど、全ての人のニーズを満たすことが、流行るポイントだったからです。
休日に少しおめかしをして百貨店に出かけて、買い物が終わったら最上階の大食堂で食事をする。その「食堂」には全ての人が食べたいものをそろえておくことで、「この店に行けば、大丈夫」という安心感をお客様に感じていただくことができるため、昔はこの大食堂スタイルが流行っていたのです。
では、今の時代はどうでしょうか?核家族化が進んだことにより、家族7人、8人などの大人数で出かけることは稀になり、お父さん・お母さんと子ども1人など、少人数で食事をする機会が圧倒的に多くなりました。
となると、飲食店で売上を伸ばすために大切なことは「万人受けするメニュー構成」ではなく「この店はこれが良い!」とピンポイントでお客様の心の中に入り込めるようなメニュー構成をすることとなります。
ターゲット以外は切り捨てる覚悟が必要
少し極端な言い方ですが、「飲食店ではターゲットを絞り込んだら、それ以外の方は切り捨てる」くらいの覚悟が必要となります。
例えば、「デカ盛り・トッピング無料・背脂だらけ」のラーメン屋が連日大行列で流行っているかと思いきや、「ダイエットに最適」の低カロリー・低糖質のお店にも行列ができますよね。これは、それぞれの飲食店が「ターゲットを絞り込んでいて、ターゲット外の方には見向きもされなくても構わない」と割り切っているからこそ、お客様に支持されているのです。
激辛の店、ベジタリアン専用の店、ハラル認定を受けている店など、これらは全て「〇〇が好きな人」「〇〇しか食べられない人」などをターゲットとして絞り込んでいるからこそ、お客様が通うのです。
最近では「ボディビルダなど、筋肉を鍛えている人」をメインターゲットとした、高タンパク・低糖質・低カロリーな食事しか出さない飲食店がウケています。
鳥のささみ肉や牛ヒレ肉、玄米やプロテイン、スムージーなどしか出さないこのお店は、単に「痩せたい人」とターゲットを絞るのではなく、「筋肉をつけながらダイエットをしたい」というターゲットにさらに絞り込んでいることにより、続々とお客様が来店し、口コミが広がっていっているのです。
同様に「全ての料理にカレーが使われている居酒屋」も流行っています。メニュー構成は至って普通の居酒屋ですが、この店も「カレー」を貫くことで、お客様が、「噂には聞いていたけど、本当に全部カレー。でも飽きない。最高。たまらない!」などとFacebookや口コミサイトなどに投稿しやすいように工夫をしています。
マーケティングのポイントは「自分にピッタリ」だと感じてもらうこと
飲食店の集客に「マーケティング」という言葉を使うと少し違和感を感じられるかもしれませんが、「集客をする」ためのマーケティングでは、お客様に「この店は自分にピッタリ」だと感じていただくことが大切です。
「この店の料理は、故郷のお母さんが作ってくれた家庭料理そのものの味がする。○○県出身の俺にとっては、この店と女将さんがいなくなったら困る」
「私は単に激辛好きなのではなく、一味唐辛子をとにかく料理にたくさんかけて食べるのが好き。この店は世界中の一味唐辛子が置いてあって楽しめるし、お客様がみんなマイ一味唐辛子を持参してかけまくっているから、白い眼で見られなくて安心」
「幼稚園生の息子3人を連れて外食に行くと、他のお客様に迷惑をかけてしまいそうでゆっくり食事を楽しめない。このお店では『子供が騒いでも安心な店』を謳っていて、他のお客さんも子連ればっかりだから、めちゃくちゃありがたい」
など、色々な環境や背景を抱えている人にとって「ピッタリ」だと感じてもらえるようなお店にしていけば良いのです。
もちろん、お客様に我が飲食店を見つけ、口コミしてもらいやすいようにするためには、「田舎食堂〇〇県」「お好み焼きの店 唐辛子」「本格ハンバーグ KIDSウェルカム」など、店名そのものにウリを入れ、ターゲットにピクッときてもらえるようにしたほうがベターです。
ターゲットを絞り込むことで、来店されるお客様にも「自分と同じ好みや境遇の方が集まるお店」として安心してもらうことが可能となります。知らないお客様同士が続々と仲間になっていけば、満足度と客単価アップにもつながりやすくなるでしょう。
全てのお客様にウケるようなお店にしないと、客数が減ってしまうのではないか、という心配も分かりますが、時代は逆です。「誰にでも受け入れられそうなお店は誰からも支持されないお店」だということをしっかりと認識し、尖ったウリをアピールしていきましょう。