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ベンチマーク店の設定・調査 第2回

ベンチマーク店の調査ポイントを整理する

ベンチマーク店で調査が必要なデータを整理すると、以下の6項目になります。

①席の数と構成

客席はその数だけではなく、カウンター・テーブルといった構成と合わせて記録し、そのお店の客席回転率まで把握できるようにしておきます。

②客数

客数は、居酒屋であれば1時間または2時間ごと、ランチ業態であれば30分または1時間ごとにデータを取ります。
この時、年齢層や男女比までチェックしておきます。

③客単価

他のお客の支払額を確認するのは難しいので、自分で支払った金額を基準とします。
その際、商品を試すために注文が多くなり過ぎることを避けるため、できるだけ周りのお客を観察し、ペースやメニュー数を調整しましょう。

④従業員数

ホールだけでなく、キッチンまでスタッフの配置を確認します。
キッチンが見えないお店の場合、スタッフに事情を説明し、尋ねてみるのもよいでしょう。

⑤商品構成と価格設定

メニュー表を携帯で撮影するなど、しっかりと情報を収集しましょう。
また、スタッフに尋ねたり、他のお客のオーダーを観察するなどして、おすすめ品や売れ筋も調査します。

⑥交通量

店の前の通りで、時間帯ごとに歩行者数を調査しましょう。10分~15分調査し、その数を1時間に置き換えて(10分間の場合は6倍)もOKです。その際、ターゲットに近い客層・年齢層へ絞った交通量をカウントします。
また、天候による変化も調査できるとよいでしょう。

次の項目では、いよいよ調査結果をまとめた調査シートのサンプルをご紹介します。
調査日、入店時間、退店時間などは別にしっかり記録しておいてください。実際に調査したことの証にもなります。

また、これまで述べてきた曜日・時間帯の調査をすべてのベンチマーク店で行うことは、時間や費用の都合で難しい場合も考えられます。
その場合は、一番条件が近い店を最重要点と定めて出来る限りのチェックを行い、その他の店は各曜日のピーク時などポイントを絞った調査に切り換えるなどし、過度な無理は避けるようにしましょう。

ベンチマーク店の調査シート例

下記のように見やすい表にまとめましょう。また数値化できない情報や補足事項も、備考欄を設けるなどしてしっかり記録しておきましょう。

店名 A店
特色 焼とんが主力商品で、牛スジ肉を味噌で煮込んだどて焼きを名物料理に掲げる。焼とんは朝締めの豚内臓肉を使用し、のどぶえ(声帯)、しっきん(食道)などのめずらしい部位が充実する。アルコールは本格焼酎を中心に据える。
基礎データ
立地 赤坂駅から徒歩5分。繁華街から道一本入った路地の2階
営業時間 18時~翌3時(土曜・祝日は18時~23時)
定休日 日曜日
客数 カウンター8席、テーブル14席、座敷8席

<備考欄>
路地は細く、店の視認性はよくない。内装は木目を基調としたデザインで、テーブルには一枚板を用いるなど落ち着きある店づくりが印象的。座敷数は個室としても利用できる造りになっている。

調査データ
調査日 来店時間 退店時間 来店人数 支払金額 客単価
○月○日(月) 18時45分 21時05分 1人 3,845円 3,845円
○月○日(金) 18時55分 20時55分 2人 8,160円 4,080円
○月○日(土) 19時05分 21時30分 1人 3,640円 3,640円
○月○日(金) 20時45分 23時30分 4人 14,385円 3,596円

<備考欄>
1人あたり焼とん3本、一品料理2品前後を基準にオーダー。ドリンクはビール、焼酎を中心にそれぞれのペースで注文したが、アルコール売上げ比率は35%前後におよぶ模様。金曜のピーク時2時間制を導入していた。

客数 曜日別(19時~21時) 時間帯別(金曜)
月曜 金曜 土曜 18時~19時 19時~21時 21時~23時
26人 34人 18人 17人 34人 19人

<備考欄>
お客の大半がオフィスワーカーが占められていた。年齢層は30代が中心で、男性は50代ほどの人も多い。2人客もしくは4人以上のグループ客が多く、1人客は確認できなかった。金曜満席時(全25人)で男性19人、女性6人と男性客がメイン。

従業員数 曜日別(19時~21時) 時間帯別(金曜)
月曜 金曜 土曜 18時~19時 19時~21時 21時~23時

K2人

H2人

K2.5人

H3.5人

K2人

H2人

K2人

H2人

K2.5人

H3.5人

K2.5人

H3.5人

K:キッチンスタッフ、H:ホールスタッフ

<備考欄>
厨房は焼き場専任が1人、その他調理専任が1人(社員)。ピーク時には調理のフォロー、食器洗浄、配膳、バッシングの1人(アルバイト)が加わる。ホールは全員アルバイトだが、商品説明などもていねいで詳しく、教育が行き届いている模様。月曜にお客が引けてくるとお店を出てサービス券を配布していた。

フードメニュー

●焼とん(定番16品、日替り4品)
単品 全品185円
盛合わせ(5本) 850円
●名物どて焼き
名物どて焼き 550円
チーズどて焼き 650円
キムチどて焼き 650円
●モツ刺し(5品)
がつ刺し、コブクロ刺しなど 全品350円
●一品料理(18品)
レバカツ 350円
ガツポン酢 350円
キムチ・ナムルの盛り合わせ 450円
チャンジャ 500円
特製サラダ(モツの唐揚げをトッピング) 800円
カスうどん 750円
●日替りメニュー(20品)
刺身(5種類前後) 800円~
刺身盛合わせ 3点盛り 1,480円~
はまぐり酒蒸し 850円
さわらの西京焼き 850円
●ドリンクメニュー
生ビール(ジョッキ) 550円
瓶ビール 650円
本格焼酎 芋40種 500~1,250円
本格焼酎 麦・米各5種 500~850円
日本酒 3種(一合) 500~900円
ハイボール(白州) 550円
サワー類 10種 450~600円
ワイン(ボトル) 4,000円
ノンアルコールドリンク6種 各400円
●コース(3種類)
お手軽コース(6品) 1,980円
お値打ちコース(8品) 2,980円
満腹コース(9品) 3,480円
飲み放題(2時間) 1,500円

<売れ筋商品>
焼とん単品(レバー、ハツ、ガツ、カシラ、ハラミ)
どて焼き、レバカツ

<まとめ備考欄>
お通し代は400円。コブクロとモヤシの和え物など、日によって内容を変えている。焼とん盛合わせ+どて焼き、一品料理2~3品を注文するお客が多かった。焼とんの盛合わせは好みによって内容を変えてくれる。アルコールの注文は6割が焼酎。うち8割が芋焼酎に集中していた。メニュー外の銘柄も揃えており、接客トークで上手におすすめしていた。

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※本コラムは株式会社OAGコンサルティングからの寄稿です
投稿:2016年1月

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