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「自分が夢にまで見た飲食店」をオープンすると、大抵は失敗する

好きな飲食店と経営すべき飲食店は別のもの

毎年、日本では数多くの飲食店がオープンしている一方、開業後数年も持たずに閉店してしまう飲食店も多くあります。

「カフェ巡りが好き、ラーメンが好き、丼ものが好き、カレーが好き。だから自分が大好きな食事を提供する店を持ちたい」と飲食店開業にあこがれを持ち、実際に起業・開店する方も多くいらっしゃるでしょう。

でも、残念なことに現実は甘くありません。

自身が客として飲食店を訪れている頃に「自分だったらこんな店をやってみたいな」と夢描いていた内容を基に開業をしてしまうと、大抵は失敗してしまいます。

飲食店経営を成功させるためには、「経営の視点」から自店がこだわるべきポイントを見つけ出し、ブラッシュアップしていかなくてはなりませんが、多くの場合は「お客様の視点」からこだわりポイントを見つけてしまうため、すぐに経営が立ち行かなくなってしまうのです。

具体的には、

「私は素敵なカップ&ソーサーで美味しい紅茶を飲むのが大好き。いつかお店をやるときには、カップ&ソーサーだけはお金に糸目を付けず、高級なものをそろえたい」

という夢を持ち、セーブル、マイセン、ウェッジウッドなどの高級ブランドの食器を買いそろえることに開業資金の多くを投じてしまい、内外装や販促にお金を回せなくなってしまう、というケースや、

「デカ盛りこそ我が哲学。全国のデカ盛りマニアが頂点とあがめてくれるような、超メガトン級デカ盛りドンブリメニューを10種類用意しよう」

というコンセプトでデカ盛りドンブリ店を開業。実際にマニアが行列をしてくれるようになったが、看板のデカ盛りメニューは原価率が高すぎて、売れれば売れるほど赤字がかさんでいってしまい、行列ができる店なのに閉店に追い込まれてしまうという本末転倒なケースもよくあります。

あくまでも自身がお客様として飲食店を利用している際に「良いな」と思っている点の多くは店側が集客のためにつけている付加価値であることが多く、この付加価値の幅やクオリティを高めようとすると、コストがかさみ、利益を出せない収益体質になってしまうことが多い、ということです。

仮にお客様が食器を割ってしまったら

高級なカップ&ソーサーで美味しい紅茶を出していても、もしお客様の不手際でカップを割られてしまった際に、よほどのことが無ければお客様にカップ代の請求はできないですよね?

仮にセットで3万円のカップ&ソーサーを割られてしまったとしてみてください。
1杯の紅茶をお出しして残る利益が200円だとすると、150杯売らないと3万円は回収できません。

「お客様同士が干渉しないで済むような、ゆったり落ち着いたカフェを経営したい」として客席が20席しかないカフェの場合は、全ての客席が7.5回転しないとカップ&ソーサー代を回収できないのです。

商売としてカフェを経営する際は、カップ&ソーサーの利用頻度が高い分、提供時や洗い物をしている時に割れてしまうことが想像以上に多くあります。自宅でゆっくりと紅茶を飲む際に使っているような高級カップ&ソーサーを店舗で使用すると、次々と割れていってしまうという感覚を持つことでしょう。

「経営の視点」からすると、「カップ&ソーサーはチップや破損の危険性を考えて、セットで2,500円程度のものに抑えないといけないな」「ピークタイムはバッシングや洗い物が追い付かない可能性が高いから、食器などは席数の3倍程度は用意しないといけないな」などのモノの見方、考え方になります。

自分が好きな飲食店を経営してみたい、という想いを諦めてください、とは申しません。
ただ、その「客としてその店を好きな理由」が本当に経営的な視点でも追及すべきポイントなのか、ということをよく考えた上で飲食店を開業してください、ということです。

行列ができているのに閉店せざるを得ない店、オープンしているのに1日中ノーゲストが続いているお店、にはなりたくないですよね。
飲食店を開業したい、どのようなお店にしようか、と考える際には、まずは自分が好きなお店を思い描き、そのポイントが経営的な視点でも通じるかどうかを一所懸命に勉強し、構想してから、コンセプトを固めていってくださいね。

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