- 事務処理・確定申告
泣いても黙ってくれない税務署。
確定申告時期に慌てないための3つのステップ
開業届の提出は必須
飲食店のオープンを実現するためには、気の遠くなるような多くの準備が必要となります。
コンセプトを決めて、物件を探して、資金調達をして、メニューを決定して、内外装をして、設備を整えて・・・と慣れない方にとっては、かなり多くのステップを踏むことになり、心と身体が追い付かないと感じる方も多いでしょう。
なんとか開業にこぎつけたとしても、そこから先は更に忙しくなります。
そんな忙しい中、忘れてしまいがちなのが、「税務署への開業届の提出」です。
個人事業主として飲食店を開業する際は「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出する義務があります。これは提出期限が「事業開始等の日から1か月以内」と定められていますので、忘れずにしっかりと行いましょう。
その他、「所得税の青色申告承認申請書」や、配偶者や親族などを従業員として雇う場合には、「青色事業専従者給与に関する届出書」、一般スタッフを雇う場合は「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」も提出しなければなりません。
青色申告にはメリットが多い
確定申告の経験が無い方にとっては「青色申告」と言われてもピンと来ないかもしれませんが、青色申告を選択しておくと様々な特典がありますので、お勧めです。
具体的な特典としては、以下4点があります。
①青色申告特別控除
②青色事業専従者給与
③貸倒引当金
④純損失の繰越しと繰戻し
詳細は国税庁のWEBページをご参照いただきたいのですが、特に新規開業する飲食店にとっては、④の純損失の繰り越しと繰り戻しという特典がありがたいものです。
シンプルに言えば、ある年に赤字を出してしまったとしても、その損失を翌年以降3年間にわたって繰り越すことができる、というものです。例えば開業1年目は赤字、2年目に黒字が出たとしても、1年目の損失分を2年目の黒字から引いて所得税計算をしますよ、というものです。
この赤字の繰り越しは青色申告の申請をしておかないと受けられない恩恵ですので、税務の知識がない場合でも、しっかりと提出することをお勧めします。
各種届出を出さないとどうなるのか?
開業時に必要な各種届出をしないとどうなるのでしょうか?
ある日急に税務署員が店舗に訪問をしてきて、「事業概況についての回答書」の提出を求められることもあります。要はどんな商売をしていて、収支はどうなのか、をしっかりと回答しなさい、というものです。
開業届が出ていなかったり、確定申告をしていなかったりしている店舗が存在する場合は、税務署に目を付けられてしまいます。その飲食店が「脱税」をしている可能性もありますからね。
一般市民にとって、税務署員と接する機会はなかなかありませんから、税務署員が店舗に訪ねてきただけでやましいことが無くてもドキドキしてしまうはずです。
もちろん届出を行わなければ上記特典も受けられなくなってしまいますが、まずはいらぬ疑いをかけられないように、しっかりと届出を行いましょう。
申告時期に慌てないための3つのステップ
例年2月中旬(16日頃)から3月中旬(15日頃)までが確定申告時期となります。
飲食店を経営しているならば、例え赤字でもこの時期にしっかりと確定申告を行いましょう。
ただ、青色申告を行い、上記特典を得るためには、「1現金出納帳、2売掛帳、3買掛帳、4経費帳、5固定資産台帳」の5種類の帳簿をつける必要があります。
漢字の読み方も分からないし、内容はもっと分からないですよね。でもご安心ください。これらの青色申告に必要な帳簿は、会計ソフトなどを使えば、難しい知識を持たずとも作成することが可能です。
確定申告時期に慌てないためには
①飲食店開業時に税務署に各種届出を行っておく
②日々の支出・収入などを会計ソフトを使って入力しておく
③確定申告時期の前に余裕を持って「申告用書類」を作成しておく
ことが重要です。
②については、市場には色々なソフトが出ていますが、「飲食店に特化した会計ソフト」を利用されることをお勧めします。
ポイントは、「毎日コツコツと入力をすること」です。日々の飲食店経営の激務に追われて、1週間、1ヶ月と会計処理を怠ってしまうと、領収書などが貯まりすぎてやる気を失せてしまいます。必ず日々入力をしましょう。
特に支払を行った項目の入力が面倒だという方もいらっしゃるかと思いますが、最近は「レシートを携帯のカメラで撮影することで入力処理を手伝ってくれる」機能がついた会計ソフトも出ていますので、これらを使うとグンと楽になります。
③は、実は確定申告時期は2月から3月にかけてなのですが、その時期に申告をするのは「前年の1月1日~12月31日まで」の内容のため、年が明けたらすぐに確定申告の準備に取り掛かれるのです。
そうすると1ヶ月以上余裕を持って確定申告時期を迎えられるため、慌てることなく余裕を持って申請ができる、ということです。
飲食店経営をしながら確定申告のための各種帳簿をつけ続ける、ということは正直なところ、慣れない内は少し大変かもしれません。
ぜひご自分の合った会計ソフトなどを見つけて、日々の経理作業を楽にこなせるようにしてくださいね。
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