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利用しやすい融資制度 第1回

日本政策金融公庫の基礎知識

世の中に金融機関や融資制度はさまざまありますが、ゼロからのスタートで実績はまさにこれからという開業希望者が利用できるものは、かなり限られてしまうのが実情です。

例えば、銀行など民間の金融機関から融資を受けるのは難しい場合がほとんどでしょう。そこで頼れるのは政府系の金融機関となるのですが、その中でも飲食店を志される方々は、日本政策金融公庫の融資制度を最も多く利用されています。

日本政策金融公庫は、いくつかの政府系金融機関が統合され2008年10月に株式会社化されたものですが、そこには、もともと一般金融機関から融資を受けるのが難しい零細企業や新規開業者の資金援助を手がけていた国民生活金融公庫が含まれていました。

飲食店開業者が最も多く利用し、頼りにしているのは、日本政策金融公庫がその業務を引き継いでいるためです。

ここで、日本政策金融公庫から融資を受ける際の手続きの流れをご紹介しましょう。

融公庫を利用する際の融資手順

(1)書類の作成

借入申込書、創業計画書、企業概要書を作成する。用紙は公庫ホームページからダウンロード可。創業計画書の内容と、その根拠づけになる売上げ予測、損益計算書、資金繰表の作成が重要

(2)融資の申込み

管轄の支店に書類を持参する。郵送やホームページからの申込みもできるが、開業の意志をしっかりと伝えるためにも窓口に赴き、担当者と顔を合わせておくことが望ましい。

(3)面談・実査

管轄の支店で面談を実施。面談には計画策定に用いた資料や資産、負債がわかる書類などを持参する。物件が決定している場合には現場の実査なども行われる。

(4)契約・融資実行

融資が決定し、契約手続きが完了すると、融資金は口座に振り込まれる。手続きが滞りなく進めば、融資申込みから融資実行まではおよそ1ヵ月程度で済む。

(5)返済開始

返済は毎月返済が原則。公庫では返済当初最長2年間は利息のみの支払いで、元本の支払いは猶予される(据置期間)

上記のとおり、申し込みは郵便などでも行えることとなっていますが、できればきちんと窓口へ持参することをお勧めします。融資は、人と人との信頼関係なしでは成り立たないからです。

開業の意志をしっかりと示すことはもちろん、窓口で担当者の人柄を確認できれば、面談時の対策も立てやすくなります。公庫は全国に150以上の支店がありますので、お申し込みの際はお近くの窓口を探してみてください。

次に、開業に向けて利用できる公庫の融資制度を一覧にしました。条件さえ満たせば、どれも無担保・無保証で融資を受けられるものです。金利も一般の金融機関に比べ抑えられており、また固定金利なので返済の計画も建てやすいというメリットもあります。

起業時に利用できる公庫の融資制度

名称
新創業融資制度(無担保、無保証人)
融資条件

次の1~3のすべての要件に該当する人

1 創業の要件

新たに事業をはじめる人、または事業開始後税務申告を2期終えていない人

2 雇用創出、経済活性化、勤務経験または修得技能の要件

次のいずれかに該当する人

(1)雇用の創出を伴う事業をはじめる人

(2)技術やサービスなどに工夫を加え多様なニーズに対応する事業をはじめる人

(3)現在お勤めの企業と同じ業種の事業をはじめる人で、現在の企業に継続して6年以上勤務している人、または現在の企業と同じ業種に通算して6年以上勤務している人

(4)大学などで修得した技能などと密接に関連した職種に継続して2年以上勤務している人で、その職種と密接に関連した業種の事業をはじめる人

(5)すでに事業をはじめている場合は、事業開始時に(1)から(4)のいずれかに該当した人

3 自己資金の要件

事業開始前、または事業開始後で税務申告を終えていない場合は、創業資金総額の3分の1以上の自己資金を確認できる人

詳しくは 日本政策金融公庫のページでご確認ください。
名称
女性、若者/シニア起業家支援資金
融資条件

・女性
・30歳未満
・55歳以上

上記にあてはまる人のうち、新たに事業をはじめる人、または事業開始後おおむね5年以内の人

詳しくは 日本政策金融公庫のページでご確認ください。
名称
一般貸付(生活衛生貸付)
融資条件

飲食業などの生活衛生関係の事業を営む人

詳しくは 日本政策金融公庫のページでご確認ください。

※ 生活衛生同業組合の組合員であれば、融資限度額などが一般貸付よりも拡充された振興事業貸付も利用できる

融資額上限額は、もっとも利用者の多い「新創業融資制度」で3000万円に設定されています。しかし、希望する額が3000万円を超える場合でも、「生活衛生貸付」を併用して融資を受けるという方法も残されているため、一般的にはほぼ希望額を満たすことが出来るようです。

さらに、開業段階ではレアケースですが、当初より支店経営まで想定されている場合など大きな金額が必要な場合は、中小企業金融公庫の業務を引き継いだ部門での一般貸付を利用されるとよいでしょう。融資限度額は、最大7.2億円まで広がります。

開業予定の方、創業計画書を作りたい方は OAGコンサルティングへご相談下さい。

※本コラムは株式会社OAGコンサルティングからの寄稿です
投稿:2015年8月

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