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人件費率ダウンのためにはまず時間帯別売上を把握する

実績の振り返りは日単位では行わない

残念ながらあまり流行っていない飲食店の経営者が自店の売上を振り返る際には、「今日は寒いからお客さんの足が重くて売上がさっぱりだった」などのように、振り返りの単位を「1日」で考えられることが多いのではないでしょうか?

一方、繁盛している飲食店経営者に話しをお聞きすると、「今日はランチ後のアイドルタイムと、ディナー1回転目の17時から19時がさっぱりダメだった。この2コマでそれぞれ昨年対比12%も売上がダウンしてしまっていた」などのように、時間単位もしくはコマ単位でしっかりと振り返りをされることが多いように思われます。

さらに繁盛しているだけでなく、利益をしっかりと残している経営者ならば、「来週の○曜日も同様の売上まで落ちてしまう可能性が高いから、人件費を6時間程度削っておいたほうが良さそうだな。シフトを組み直して、インしてくれる時間を短くしてくれないか出勤予定のスタッフに相談してみよう」というところまで派生して手を打っていきます。

飲食店の利益を伸ばしたいのなら、まずはA:自店の時間帯別売上をしっかりと把握する B:その売上を実現するために使える人件費はいくらなのかを計算するという流れでしっかりと人件費率を絞っていきましょう。

業態別時間帯別売上構成比

上述の通り、人件費率をダウンしたいのなら1日の売上の中で、①ランチタイム ②アイドルタイム ③ディナータイム の3時間帯でいったいどれくらいの売上構成比となっているか、ということをまず把握すべきです。

例えばカフェでは、①②③の比率は、30.3%:27.6%:42.1%となっています。カフェはアイドルタイムでも「お客様がお茶をするために来店してくださる」ことが多いため、他業態に比べてアイドルタイムの売上比率が高いと言えます。
同様にアイドルタイムでも売上を落としづらい業態としては、カレー店があります。①②③の売上比率は38.1%:18.5%:43.5%であり、アイドルタイムにおいても18%以上の売上が立っているのです。
一方、ほとんどがディナータイムでの売上という業態には、立ち飲み店や居酒屋、焼き鳥店などがあります。

 

  売上構成比率
業態 ランチ アイドル ディナー
カフェ 30.3% 27.6% 42.1%
カレー 38.1% 18.5% 43.4%
居酒屋 4.4% 3.3% 92.3%
焼鳥 2.5% 2.1% 95.4%
立ち飲み 1.1% 3.2% 95.7%

 

もちろん、ランチ・アイドルタイムの売上構成比率が低い業態の中でも、ランチタイムに力を入れてお客様をいったん店内に呼び込み、そこからディナーのリピート客になっていただくべく、手厚いサービスを提供している店舗もあるでしょう。
そこで大切なのが、「各時間帯別の売上目標を達成するために、何時間ずつスタッフを使えるか」という視点でシフト組をすることです。

例えば、ランチとアイドルタイムの売上構成比率がそれぞれたったの1.1%、3.2%しかない立ち飲み店の場合、ディナー以外の時間帯にはできるだけスタッフをシフトインさせない、という方針を打ち出すべきです。
ランチやアイドルタイムにディナー用の仕込みをしているという店舗が多いでしょうが、それでもディナー以外の時間帯にかける人件費は極力絞っていくべきなのです。
まずは自店の時間帯別売上構成比率をしっかりと把握して、1日に使える総労働時間の内、何時間ずつをランチとディナータイムに割り振るべきかを検討してみてください。

人件費率ダウンのポイントは「1日ごと」ではなく「時間帯ごと」に自店の売上実績を把握した上で、集中すべき時間帯に労働時間を集中的に使うことなのです。

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