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飲食店の居抜き物件は造作譲渡契約と譲渡項目書の作成が必須

居抜き物件には要注意

飲食店開業時には、少しでもお金を節約しようと「居抜き物件」を探されている方も多いのではないでしょうか?
もちろんご自身が開業しようとしている飲食店と同業態の店が退店した物件を居抜きで借りられれば、内装や造作などの手間や費用が浮くため、持ってこいですよね。
居抜き物件をうまく契約できれば、スケルトンと言われるまっさらな状態から店舗作りをするよりも、数百万円から数千万円も開業資金を抑えることが出来るケースもあります。
開店までにかかる期間も短くて済むため、早く売上を立てはじめることもできますね。

でも、良いことづくしな居抜き物件でも、落とし穴がありますので注意をしてください。
一番大きな落とし穴は、「内見した際に店舗にあった什器(じゅうき)や内装、機材、厨房機器などの全てが契約後に自由に使えるわけではない」という点です。

居抜き物件を紹介する業者さんは、あえて明言はしないが、物件契約をすればあたかも目の前にあるものが全部使えるかのようなニュアンスの物言いをされることが多いことでしょう。
もちろん業者さん側も後でトラブルにならないように、「それっぽいニュアンス」でしか表現しません。
でも、早く良い物件を見つけて飲食店を開業したいと考えている方は、業者さんの話を良い方に捉えようとしがちです。
結果、物件の賃貸借契約をした後に明け渡された物件に行ってみると、「内見した際の状態と全然違って何も使えるものが残っていなかった」ということが起こりがちです。

譲渡項目書の作成が必要

居抜き物件を契約する際には「造作譲渡契約」という特別な契約を結ぶことになります。
通常の賃貸借契約は賃借人と賃貸人との間で締結される契約ですが、この造作譲渡契約については、多くの場合、以前の賃借人と新しい賃借人の間で結ばれるものです。
上記のような「明け渡された物件に行ってみたら何もなかった」というようなトラブルを未然に防ぐためにも、居抜き物件の賃貸借契約・造作譲渡契約を結ぶ際には「譲渡項目書」をしっかりと作成するようにしておきましょう。

譲渡項目書とは、「今店舗にある什器や機材の内、AとBは無償で譲渡。CとDは有償(〇万円)で譲渡。EとFは引き揚げてしまうので、店舗では使えない」ということなどをしっかりと記した書類のことです。
譲渡項目書の作成時に見落としがちなのが、「譲渡期日」と「賃貸人の承認獲得」を明記することです。これらがないと、いつまでたっても引き渡しをしてもらえなかったり、後になって賃貸人から文句を言われてしまったりするからです。

もちろん、造作の所有権がすでにリース会社や賃貸人に移っている場合などもありえます。賃貸人に所有権が移っている場合には交渉対象が少なくなる分、交渉は楽になりますが、その場合は「造作譲渡」ではなく「造作貸与」と言って、単に造作を賃借人に貸しているだけ、という契約になるケースもあります。
この場合は、店舗側が借りている造作に勝手に手を加えたりすることが出来ないケースなどもありますので、契約前に譲渡か貸与なのかをしっかりと確認しておくようにしましょう。

飲食店が居抜き物件を契約する場合には、上記のような落とし穴をしっかりと理解しておかないと大変なことになります。
開業を急ぐがあまり、居抜き物件のメリットばかりを見てデメリットを見ないということの無いようにしてください。
契約に不慣れで不安がある場合は、仲介業者さんに「契約社名などはマスキングしてもらって構わないので、他社が締結した契約書のコピーをもらえませんか?」などの交渉をして勉強してみましょう。

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