- 開業・出店ノウハウ
飲食店開業前の市場調査のポイント
まずは開業したいエリアの候補を絞る
飲食店を開業しようとするのならば、まずは出店したいエリアを絞り込みましょう。
最初はあまり難しいことは考えず、「自分が開業しようとしている飲食店業態のターゲット(お客様)となる層が店前をどれくらい通っているか」というポイントだけ外さないようにしてください。
○○大学前、という駅徒歩1分のところに高級フレンチを出してもあまり儲からなさそうですよね。これは、「店前通行している人」と「店舗に入ってくれる可能性が高い人」は全然違うということです。
例えば、週末になると1日5万人も訪れるようなショッピングモールがあるとしましょう。そのモール内に「これだけのお客様が車で来場されるのならば、自動車だって売れるはずだ!」と意気込んで自動車販売店を出店しても、ほとんど売れません。
確かに店前には多くのお客様が通ってはいますが、その方々の目的は服を買ったり食事をしたりすることであり、「自動車を見ること」が目的に入っていないからです。
この場合には、「買い物をしている間に格安で手洗い洗車をしておきます」という業態だったら商売が成り立つ可能性が高いでしょう。
飲食店でも同様です。〇〇大学前という駅ではもちろん多くの大学生が毎日乗降していますが、大学に通うという日常の目的のために駅を使っているため、あまり特別感を演出した飲食店を開業しても受けないでしょう。この場合には、デカ盛りがウリだったり、単価が安い業態のほうが集客につながるはずです。
一方、例えば原宿駅でも毎日若い方が多く乗降しますが、こちらは「おしゃれな感じ」を求めている若い女性や修学旅行生などが多いので、スタミナラーメンよりもクレープなどのほうがよく売れるのです。
出店エリアを検討する際には、一度も行ったことの無い街ではなく、生まれ育ったり、何度も行ったことがあるなど、「そのエリアにはどんな人が集まってくるのか」ということが肌感覚で分かるような場所を検討されると良いでしょう。
定量的な市場調査を行う
開業したいエリア(駅)の目星がついたら、そのエリアの定量的な市場調査を行いましょう。 時間帯ごとの駅の乗降客数や男女・年齢別人口などを調べます。これらはあくまでも参考データですが、商圏調査サービス会社などに依頼すれば、1エリアあたり数千円程度で定量的なデータを入手することが可能です。
さらに物件の目星がついている場合には、その店舗前で実際に通行量調査を行います。
毎正時(午前10時、11時などちょうどの時間)から15分間ずつ実際にデータを採り、その4倍をすれば1時間あたりの通行量となります。この場合も「店前通行している人の数」を調べるだけではなく、「男性・女性、10代、20代、30代、40代、50代」など、おおよそで良いので性別と年齢層別にノートに正の字を書いていけば良いでしょう。
こうすると「駅では若い人が結構乗り降りしているように感じたけど、この物件の前は主婦っぽい人しか通らないな」「ここは近隣大企業の方々の抜け道になっているようで、特に夕方から夜にかけてスーツ族が多いな」など、具体的なイメージが湧いてきます。
この店前通行量調査は、朝・昼・晩、平日・休日、晴れの日・雨の日など、色々なパターンで行うことをおすすめします。
さらに近隣の競合店前でも同様の調査を行ってください。営業妨害だと言われないように注意することが重要ですが、これらの「調査結果」は融資申請書に添付する資料として、とても重要な意味合いを持ってきます。
審査担当者も「ここまでしっかりと市場調査を行っている人ならば、成功確率が高い=完済可能性が高いだろう」と判断してくれるからです。
「おいしい〇〇を出せばお客様は喜んでくれると思います」という資料ではなく、「おいしい○○を出せば店前通行されているターゲット層の3~5%程度が入店してくれると思います。これにより、平日は〇人、休日は〇人の来店を見込みます」
「競合店の店員さんから聞き出した月商は400万円、店前通行人(ターゲット層)は〇人、その内5%程度が入店の様子なので、当店でも同様の売上を見込んでいます」
という資料のほうが説得力がありますよね?
商圏を見てみる
では、自身が開業しようとしている店からどれくらい離れた距離の店までを「競合店」と設定すべきでしょうか?
これは、お客様の来店手段によって3種類に分けて考えましょう。いずれも「5分程度以内で移動できる距離」です。
①徒歩のお客様の場合・・・商圏は500メートルまでと考えましょう。
②自転車のお客様の場合・・・商圏は1KMと設定しましょう。
③自動車のお客様の場合・・・商圏は5KMと設定しましょう。
出店したいと考えている物件から同心円状にコンパスで円を書くだけでは不十分です。
線路や国道、川など、その店に行きつくためにハードルとなるものがある場合は実際の商圏はかなりいびつな形となります。
実際に自分の足や自動車で移動をしてみて、「その物件に来てくださる方がいるとしたら大体このエリア以内でないと難しいだろう」ということを体感してみてください。
融資申請時の添付書類に、自分で地図に書きいれた商圏マップなどを添付すれば、審査担当者の心象はきっと良くなるはずです。
なお、大手チェーン店の「計画的な集客」と「無駄のない販促活動」も、担当者の“勘”ではなく、商圏分析による“地域の見える化”によって支えられています。
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