- 利益アップ・コスト削減
飲食店は経営数値を把握できなければ利益は残せない
飲食業界は参入障壁が低い
飲食店開業者の50%以上が2年以内に、90%以上が10年以内に閉店に追い込まれていると言われています。
「参入障壁(さんにゅうしょうへき)」という、その業界に参入するためのハードル(壁)が非常に低いと言われている飲食業界ですから、あまり深いことを考えずに「俺(私)、食べることが大好きだから飲食店をやる!」と出店をしてしまう方が多い結果なのでしょうか?
確かに、飲食業界は他の業界と比べて参入障壁は低いと言えますね。「食品衛生責任者」さえあれば、実は調理師免許すら持っていなくても開業することが出来てしまいますからね。日本政策金融公庫の融資先の約20%が飲食店開業者だそうです。
でも、開業しやすいがために、多くの店舗が廃業に追い込まれてしまうのです。しかも、開業しやすいと言っても、すくなくとも数百万円、多い場合は数千万円も開業にお金をかけていますから、経営者はその借金を抱えたまま閉店をする、ということになります。
飲食店を経営していたのはたったの2年間なのに、その後背負ってしまった借金を10年間にわたって返済し続けた、時には返済しきれなくて自己破産をする羽目に追い込まれた、という方も多くいらっしゃいます。怖いですね。
このような状態に陥らないためにも、飲食店を開業する方、経営されている方は、最低限の「飲食店経営数値」を把握しておかれるべきと言えます。
飲食店の利益構造は?
飲食店の経営数値に関して最も重要な公式は、以下の通りです。
利益=売上-経費
お店を運営していて、最終的に利益を残すことができなければ、そのお店は遠からず潰れてしまいます。
ここで大事なのは、この公式の順番が、売上-経費=利益ではない、ということです。
結果としていくら売り上げて、その売上を立てるためにかかった経費を売上から「引いた結果」が利益なのだ、という捉え方をしないでください。
逆に飲食店経営をする際には、最終的に残したい利益率と額をしっかりと設定して、その利益を残すためにはどれくらいの売上と経費が必要なのか、という考え方に基づいて計画を立てて下さい。
「売上高対営業利益率」という、最終的に店の売上に対して何%の利益が残るのか、という考え方をベースに考えましょう。
実は、飲食業界はこの営業利益率があまり高くありません。一般的な飲食店で、営業利益率は2~5%程度だと言われています。
つまり、5%の利益率の場合は仮に1ヶ月に1,000万円の売上があったとしても、50万円しか利益が残らないということになります。500万円の売上ならば25万円、300万円ならばたったの15万円です。厳しいですね。
どうやったら利益が出るのか?
では、せっかく1,000万円も売上があるのに、なぜ5%しか残らないのでしょうか?その正体は「経費」です。
「FLコスト」という言葉は聞かれたことがあるでしょうか?売上高に対してかかるF=Food=食材原価と、L=Labor=人件費のことです。
FLコストについて詳細はこちらをご覧ください。
飲食店の経費の中で、このFLコストが最も重くのしかかってきます。「FL比率」と言いますが、売上高に対して大体60%程度もかかってしまいます。1,000万円の売上の場合は600万円です。大きいですね。
FLコスト以外に重いものとしては、家賃(賃料)があります。家賃は売上高の10%程度までに抑えた方が良いでしょう。
その他、飲食店経営にかかってくる細々した経費には、以下のようなものがあります。
利益 | 5% | 最終的に残る利益 |
---|---|---|
雑費 | 2% | おしぼりやテーブルクロスなどのリネン関連 |
借入返済金 | 2% | 借入をしているお金にかかってくる金利 |
消耗品費 | 5% | 割り箸、コースター、紙ナプキン、ペーパータオル、トイレットペーパーなど |
水道光熱費 | 8% | 電気・ガス・水道代など |
減価償却費 | 8% | 厨房機器や内装設備などの減価償却費 |
家賃 | 10% | 店舗用家賃 |
人件費 | 25% | 人件費 |
食材費 | 35% | 食材費 |
先ほどお伝えした通り、「色々な経費を払っていったら、最終的にいくら残った」ではなく、「5%の利益を残すために、どの経費どどのようにコントロールするか」という考え方が重要です。
まず、これらの経費の中で、家賃と減価償却費、借入返済金などは店の売上高に関わらず、必ず出ていってしまう「固定費」と言われるものですので、細かいコントロールはできない内容です。
それ以外の経費の中でコントロールをしやすいのはどれでしょうか?
どれも削るのは難しいのですが、比較的コントロールしやすいのは、水道光熱費と言えます。水を出しっぱなしにしない、食器洗浄機はある程度食器がたまってから動かす、バックヤードの電気はこまめに消すなど、スタッフの意識によって数パーセント削ることも可能でしょう。
ただし、お客様に悪い印象を持たれるような経費削減はしないでください。暑い夏の日にクーラーをかけない、寒い冬の日に暖房を抑えるなどしてしまうことはやめるべきです。
また、人件費と食材費も、コントロールがしやすいでしょう。昨年同月同日(同曜日)の売上実績などを見て、あまり売上が立ちそうもない日にはシフトインする人数を絞って人件費を浮かす、もしくは早上がりをお願いしてみるなども効果的です。
食材も、野菜を近所のスーパーから買ってくるのではなく農家から直接仕入れるなどすれば、一気に数パーセントもコストダウンすることが可能となります。
これらのコストコントロールが出来てきたら、浮いたお金は次のお客様を呼び込むための販促費に回してください。
赤字だから販促費をかけない、はいけません。赤字だからこそ、他の経費を削って、必死の思いで販促をしていなかないと、閉店の憂き目にあってしまいます。
まずは売上高対販売促進費で3%をかけられるように、コストコントロールをしていきましょう。
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