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個人経営の飲食店でも「就業規則」の制定は必要
平成29年1月20日、厚生労働省は「労働時間の適正な把握のための使用者向けの新たなガイドライン」を策定・公表しました。
このガイドラインの詳細は上記PDFやこちらのページ をご覧いただきたいのですが、
このガイドラインをカンタンにまとめると、
<一番大事なこと>
1)使用者(飲食店経営者・店長)は労働時間を適正に把握する責務がある
<労働時間とは>
2)「労働時間」とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間のこと
3)参加が義務付けられている研修や教育訓練の受講、業務に必要な学習を行っていた時間も「労働時間」に該当する
ということが書いてあります。
飲食店経営者・店長(使用者)は従業員の労働時間をしっかりと把握してくださいね、というガイドラインですが、この把握をしようにも、自店ではどこからどこまでが労働時間で、休憩時間はいつなのか、という定義がしっかりとされていないことには、何も始まりません。
例えば、ランチ営業ありの居酒屋のケースを見てみましょう。ホール担当従業員の出勤は午前10時。仕込みをしてランチをまわし、夜営業の途中まで働いて21時退勤。店舗にいる時間は11時間という人がいます。この従業員に支払うべき賃金は11時間分でしょうか?
この店は通し営業ではなく、ランチ終了後の14時から17時はいったん店を閉めています。14時からの仕込み時間にはこの従業員は「休憩」をしているので、賃金は発生しない、というのが使用者側の意見です。でも従業員からすれば、「店は閉めているけれど、夜の営業にそなえてテーブルを拭いたり掃除をしたりしているから労働時間だ。賃金が発生するはず」となります。
この場合、給料支給の段階で、14時から17時分の賃金が支払われていない、ということで従業員側の不満が噴出する、ということが多くあります。このようなトラブルを防ぐためにも、例え小さな飲食店であっても休憩時間はいつからいつまでなのか、ということを明記した「就業規則」をしっかりと定めておくことをおすすめします。
上記居酒屋のケースでは、「14時から17時の閉店時間中においては、ホールスタッフは休憩時間とする」「その間は使用者の指揮命令下におかれていない時間のため、店舗運営に関する業務を行わない」「よって、午前10時出勤、21時退勤の場合でも、労働時間は8時間とする」ということなどを就業規則に明記しておけば良いのです。
ちなみに「休憩時間」とは、使用者の指揮命令下に置かれていない時間のことです。
使用者側はこの休憩時間中に、店舗業務を従業員に行わせたりすることの無いようにしなければなりません。逆に、もし休憩時間に店舗業務を行わせた場合は、その時間は労働時間とみなし、賃金支払い対象としなければなりませんので注意が必要です。
ユニフォームに着替える時間は労働時間なのか?
休憩時間の定義の次に問題になることが多いのが「ユニフォームに着替える時間やまかないを食べたりする時間は労働時間に含まれるのかどうか」です。
ユニフォームに着替える時間、また私服に着替え直す時間は「指揮命令下にある労働時間」とみなさなければなりません。一方まかないは、休憩時間や業務時間外に食べることが多いでしょうから、「労働時間外」として処理する飲食店が多いでしょう。
いずれにしても、労働時間に関する自店のルールをしっかりと作成し、就業規則にそれを明記し、全従業員に告知をしたほうが良いでしょう。
このように、厚労省のガイドラインに従って「労働時間の把握」をしようとするならば、その前に「就業規則の制定」が必要となることはご理解いただけたでしょうか?
ただ、本音を言えば「就業規則を作った方が良いのは分かったけど、そんなものわざわざ作成していられないよ」という方も多いと思います。
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このひな形を使い、自店の就業規則を定め、従業員に雇用時にしっかりと配布をしておくことで、後のトラブルを未然に防ぎやすくなるはずです。ひな形には割増賃金を支払う場合の条件なども明記されていますので、自店(自社)の賃金規定ルールに則り、記入をするようにしてください。
自店のルールをしっかりと定め、就業規則に明記した後は、飲食店使用者は各従業員の労働時間を把握して、相応の賃金を支払わなければなりません。
「え? ただでさえ仕込みと接客で忙しいのに、従業員1人ずつの労働実績を賃金台帳に毎日記載していくことなんて、ほぼ不可能だよ!」という感想をお持ちの飲食店経営者の方に朗報です。
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厚労省のガイドラインにある、「従業員1人1人の労働時間をしっかりと把握して、その労働時間分の賃金をしっかりと支払う」ということをしようとすると、非常に大変です。
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