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消費税の課税事業者となったとき、あなたはどちらの方法を選びますか?

今回は個人事業主の消費税について、特に計算方法についてのお話です。

課税事業者になった場合、具体的にどんな計算をするのだろう?というのが率直な疑問ですよね。消費税の計算方法には2つあります。まずはその2つの方法がどんな方法かご案内します。

一般課税と簡易課税

一般課税は、課税売上に対する消費税額から、実際に計算した課税仕入の消費税額を差し引いて納付する消費税額を算出する方法です。

売り上げたときにお客さんからいただいた消費税は厳密にいうとあなたのものではなく、単にあなたが預かっているだけのものです。だから確定申告の時には預かった中から、あなたが経費を支払ったときに払った消費税分を差し引いて、納めることになります。

ただ、この方法は何と言っても厄介です。あなたが帳簿をつけるとき、今日の売上5万円、預かった消費税は4千円、と記録します。同様に今月の家賃10万円、払った消費税は8千円と記録します。このように、すべての取引につきこの記録をしなければならないんです。中には従業員さんへの給与のように、消費税がつかない取引もあります。その時は注意してこの取引は消費税つかない、といった形で記録しなければなりません。

そこで、小規模の事業者のみなさんの労力を減らす、簡単な消費税の計算方法があります。それが簡易課税制度です。

簡易課税制度は、一般課税と異なり、実際に支払った経費の消費税額はいちいち計算しません。課税売上の消費税額を基にして、この業種ならだいたい仕入はこれくらいの割合だろうという「みなし仕入率」を使って計算できるのです。ちなみに飲食サービス業のみなし仕入率は40%です。

簡易課税制度を選択したいとき

あなたの平成29年分の課税売上高が5,000万円以下でしたら、平成31年分の消費税については簡易課税制度を選択することができます。とはいえ、私は平成31年から簡易課税制度を使います!と心の中で思っていてもダメ。税務署に届出を出しましょう。

税務署への届出はそのタイミングが大事。平成31年になってから私簡易課税制度を選びました!と届け出てもダメなんです。平成31年から簡易課税制度を使いたければ、必ず今年中に提出してくださいね。

なお、一般課税を選択したいからといって、一般課税制度の届出を出す必要はありません。簡易課税制度を選択していなければ自動的に一般課税での申告となりますから、一般課税を選択する届け出はありません。あるのは簡易課税制度から一般課税に戻りたいなというときに使う「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」。こちらの届出もやめようとする前の年までにします。

簡易課税制度を選択する前にじっくり考えよう

ここで、簡易課税簡単そうだから早速簡易課税制度を選ぶことにする!と意気込んだあなたはちょっと気が早いです。一般課税と簡易課税、制度が異なる方法で納める消費税を計算するので、計算結果は当然違います。要は納付する消費税の額が違ってくるということ。簡易課税制度を選択しないで一般課税でやっておけばもっと納める額が少なくても済んだのに!と後悔しないように、きちんと考えてから選択しましょう。

もし、あなたが来年店舗拡大、設備投資金額大きくなりそう、ということだと、一般課税制度の方が、消費税の納税額が少なくなるかもしれません。これは預かった消費税から支払った消費税を差し引く、という計算方法だからです。簡易でしたらみなし仕入率分しか差し引けませんからね。

しかも届出はまだ平成31年が始まる前の今年中。来年の予算をたてて、事業計画を吟味して、どっちがいいかな~とよく検討してから選択するのが賢いやり方です。

また、簡易課税制度を選択する場合は、一つ一つの売上に、これは第四種事業、これは第五種事業、というふうに、第一種から第六種の事業のどれに該当すると区分して記帳しなければなりません。喫茶店だからといって全部が第四種なわけではなく、自家製ケーキをテイクアウト用で販売すれば第三種です。お店の形式ではなく、売上実態に合わせて第何種、というのを判定・記帳するのですから、最初はなかなか大変です。

それに、簡易を選択したら次の年は一般、翌年はまた簡易、とはできません。届出後2年間は継続してしなければなりませんし、いったん出した簡易課税の届出は不適用届出を出さない限りは効果が生き続けます。

別コラムの「消費税は慎重に!」の合言葉を思い出して、よく検討するようにしましょう。

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