- メニュー作り
飲食店は品揃え数で差別化できる! ~シェアの法則とは?
お客様はどのようにして飲食店を選んでいるのか?
飲食店は、お客様に競合店よりも自社の店舗を選んでもらい、ご来店して頂いて売上を高めることができます。
そうすると、飲食店の経営者にとって「お客様はどのようにして飲食店を選んでいるのか?」というところは気になりますよね。しかし、飲食店経営の関係者は、競合店や繁盛店の調査などの目的を持って飲食店に行きますので、お客様が飲食店を選ぶ視点に立つことは難しいです。
そこで、一般的なお客様が飲食店を選ぶプロセスの一例ですが、焼き鳥居酒屋を例にして見てみましょう。
まず、お客様が「今日は焼き鳥を食べに行こう」と思います。
次に、お客様が行動できる範囲の中で焼き鳥居酒屋の候補をあげます。
そして、お客様が候補の中から選択して食べに行く焼き鳥居酒屋を決めます。
そうすると焼き鳥居酒屋は
- 候補としてあげてもらうために、焼き鳥居酒屋として専門性を高めること
- 競合店よりも自社を選んでもらうために、自店の“ウリ”を明確にして差別化すること
以上の2点が重要になりますね。
今回は商品の品揃えの視点から、どうすれば業種としての専門性を高めて、店舗の“ウリ”を明確にできるのか?という方法をご紹介させて頂きます。
業種としての専門性を高める品揃え数
道を歩いていて飲食店を見ると、居酒屋というのはわかるのですが、何を専門にしている居酒屋なのかがわかりにくい店舗がよくあります。お客様からすると、何を売っているのかがわからないため、「〇〇を食べたいな」と思ったときの候補にあがらなくなるのでもったいないですね。
それでは、飲食店が業種としての専門性を高めるためには、品揃え数をどのくらいにすればいいのでしょうか?
フードの品揃えの目安として、以下の数値を参考にしてみて下さい。
アイテム数 | お客様の心理 | 戦略的意義 |
---|---|---|
1 | ある | ただある |
3 | 選べる | カテゴリー化 |
7 | 一目で把握できなくて多くある | 主力カテゴリー化 |
30 | 豊富にある | 業種としての明確化 |
70 | 多すぎてワクワクする | 飲食店の総品揃え数の充実化 |
ポイントとしたい数値は、業種として専門性を明確にできる「30アイテム」、飲食店として充実した品揃えになる「70アイテム」です。
※ランチェスターの理論【シェアの法則】より、総品揃え数を「70アイテム」とすると「安定目標値」の41.7%である「30アイテム」が業種としての専門性を高める目安になります。
また、品揃え数については、比較対象も加味して決めたです。
- 商圏内の競合店
- 業界平均
- 業界のトップ、繁盛店
特に、商圏内の競合店の品揃え数は、お客様を奪い合う関係ですので重要な要素になります。
以上を踏まえて、居酒屋の業種を例にして、専門性を高める品揃え戦略を見てみましょう。圧倒的な差別化のポジションを目指して、品揃えを充実させ業種としての専門性を高めていきたいです。
- 総品揃え数:フードの総アイテム数
- カテゴリー数:焼き鳥居酒屋なら串の品揃え数、海鮮居酒屋なら海鮮の品揃え数
ただし、業種や比較する対象により品揃えの目安は変わります。また、自社の店舗でできる無理のない範囲で品揃えを充実させて下さいね。
具体的に、飲食業界の品揃えについての例を見てみましょう。
大手居酒屋チェーン店は、豊富な商品を低価格で提供する店舗を急速に展開して業績を伸ばしていましたが、時流の変化でお客様から専門性を求められるようになると「なんでもあるけど、なんにも特長が無い」と認識されて業績は厳しくなりました。そこで、新しく焼き鳥居酒屋という専門店の開発に力を入れて業績が向上していますね。
店舗の“ウリ”を明確にするための品揃え数
業種として「30アイテム」を品揃えると専門性を高められますが、その内、お客様が一目で把握できない数値である「7アイテム」をカテゴリー化すると店舗の“ウリ”が明確になります。
品揃え数は、ラーメン店のような1品をウリにするタイプの業種と、居酒屋のような品揃えが豊富な業種により異なります。それぞれの業種において、以下の数値を目安にすると専門性が高まり、店舗の“ウリ”が明確になります。
業種 | 総品揃え数 | 業種としての カテゴリー数 |
主力商品の カテゴリー数 |
---|---|---|---|
ラーメン店 | 7 | 1 | 1 |
居酒屋 | 70 | 30 | 7 |
例えば、つくね串を“ウリ”にしたい焼き鳥居酒屋なら
- フード総品揃え数:70
- 串数:30
- つくね串数:7
にすると、つくね串が“ウリ”の焼き鳥居酒屋としてお客様に認識してもらえます。
カテゴリー化する方法は
- トッピング、味付け、ボリュームなどで種類を増やしてカテゴリー化
- “ウリ”の材料を使用した商品を増やしてカテゴリー化
- 盛り合わせ、コース料理などでカテゴリー化
など色々考えられますね。
具体的に、カテゴリー化で品揃えを強化している例を見てみましょう。
ある焼肉店では、「○○盛」という盛り合わせを7種類品揃えて主力カテゴリー化しています。盛り付け方なども工夫して店舗の看板商品となり、焼肉店の盛り合わせといったらあの焼肉店というぐらい人気がでています。
いかがでしたでしょうか。
今回は品揃えの視点から、業種としての専門性を高めて、店舗の“ウリ”を明確にする方法をご紹介させて頂きました。それにより、お客様が「焼き鳥を食べたいな」と思ったときに、焼き鳥居酒屋として候補にあげてもらうことができ、その中で、つくね串がおいしい焼き鳥居酒屋のあのお店に行こうと選択して頂けるようになります。
ぜひ、品揃えを強化して、競合店と差別化を図り売上を高めていきましましょう。