- メニュー作り
飲食店のメニュー開発は、地域で1番を意識しよう
なぜ地域で1番じゃないとダメなのか?
あるセミナーで「日本で1番高い山は?」と皆さんに問いかけたところ、全員から富士山という答えが返ってきました。次に「では、日本で2番目に高い山は?」と問いかけてみると、ほとんどの人が答えられませんでした。(なお、答えは北岳です。)
つまり、1番というのは圧倒的に印象が強いということを意味しています。
これを飲食店経営に置き換えてみると、お客様が「ラーメンをお腹いっぱい食べたいな」と思った時に「そういえば、ラーメン店でボリュームが1番といったら○○屋」というように1番に連想してもらえることに繋がるのです。
そして、地域で1番であることは、競合店よりも自店への来店動機が高まるため、売上を高める重要な要素になるのです。
そこで、今回は商品の視点から、どうすれば地域で1番となる商品を作れるのか?という商品力を強化する方法を3つご紹介させて頂きます。
インパクトのあるボリューム感で商品力を高める
商品力の強化において、ボリューム感をだすことは、大きさや多さでお客様の視覚にわかりやすく訴求できます。また、お腹がいっぱいになれば、それはご飯を食べたということへの満足感に繋がります。
そこで、ボリューム感で商品力を強化するために、参考にしたいのがランチェスターの理論【1:1.3:1.32 の法則】です。この比率は、人が2つの物の違いを認識できる数値の目安になります。
数値 | 認識度 |
---|---|
1 | 標準 |
1.3倍 | 多くなったと感じる |
1.32(1.7)倍 | 圧倒的に多くなったと感じる |
この数値を目安にボリューム感を強化すると、1.3倍で差別化ができ、1.32(1.7)倍で圧倒的な差別化となり、商品力を強化することができます。
比較したい対象は
- 商圏内の競合企業や業界の平均値
- 一般的な食事の量
- 具材の量と器の大きさ
など様々考えられますが、お客様にとってわかりやすく訴求したいです。
気を付けたいのが、ただボリュームを増やすとそれだけ原価が上がってしまうことです。
グラムあたりの原価を考慮して肉よりも野菜でボリューム感をだすことや、肉でも部位によりますが「牛肉>豚肉>鶏肉」の順で価格が高いため、利益率の面では原価の低い鶏肉はボリューム感をだしやすいです。
具体的に、ボリューム感で商品力を高めている例を見てみましょう。
ラーメン業界において「マシマシ」で有名なお店は、もやしなどの野菜でコストを抑えながらボリューム感のある商品をウリにして人気がでていますね。
盛り付け方の工夫で商品力を高める
商品力は、盛り付け方を工夫するだけでも高めることができます。特に、人間の視覚は五感において83%を占める感覚ですので、訴求しやすいポイントです。
具材の量と器の大きさを、ランチェスターの理論【1:1.3:1.32 の法則】を基にすると、以下のような盛り付け方に工夫するだけでもボリューム感がでて商品力が高まります。
なお、焼肉店のような食材をそのまま提供するビジネスモデルの店舗は、肉自体の商品で差別化が図りにくい特性があります。そのため、少し手間をかけて盛り付け方や切り方で商品力を高めていきたいです。ポイントとしては、食べやすさよりもインパクトを出すことです。
具体的に、盛り付け方で商品力を高めている例を見てみましょう。
ある大盛りをウリにしている居酒屋は、50個ほどの鶏の唐揚げを木の船に盛り付け1.7倍以上に山のように高く積み上げてボリューム感をだし、名物商品にして人気がでています。もちろん、肉でも原価の低い鶏肉を使用していますね。
また、焼肉店では、笹や萩すだれ、経木名札などを使い盛り付け方で特別感をだしたり、肉を花びらのように巻いたり、切り目をダイヤモンドのように入れたりして商品力を高めて1番商品にして人気が出る店舗もあります。
五感に訴求するシズル感で商品力を高める
シズル感とは、ステーキをジュージューと焼く音であるとエルマー・ホイラーが著書「ホイラーの公式 ステーキを売るな
シズルを売れ!」の本で提唱した言葉です。お客様は、ステーキを食べに来店するのではなく、ステーキが焼かれているジュージューといった音や匂いを求めて来店しているのです。
つまり、商品はおいしいという味の味覚だけでなく、視覚や聴覚、嗅覚、触覚などの五感に訴求することで商品力を高めることができるのです。
飲食店において、シズル感を演出する方法は、以下のような例があげられます。
訴求点 | 具体例 |
---|---|
視覚 | ・客席で調理の仕上げを行いできたて感の訴求 ・カウンター越しの調理実演 |
聴覚 | ・鉄板・鍋(グツグツ音)での提供 ・ラーメンの麺切り時の豪快なかけ声 |
嗅覚 | ・焼き鳥店の店頭での焼き演出 ・店外ダクトで匂いの訴求 |
触覚 | ・鉄板での提供でアツアツ感を訴求 ・刺身の盛り合わせで氷を敷き詰めた桶の上に盛り付けて新鮮さを訴求 |
具体的に、シズル感で商品力を高めている例を見てみましょう。
あるイタリアン店では、パスタを提供する際に、お客様の目の前で仕上げのチーズを削ることでチーズの香りを楽しみ、こだわりの原材料であるイタリア産熟成チーズを訴求して商品力を高めて人気がでています。
また、ラーメン店では、ゆで麺機の熱排気場に器を置いたり、器にお湯を入れたりして温めてからスープを入れて、スープが冷めないように提供して熱さで商品力を高めています。
いかがでしたでしょうか。
商品の視点から、1番商品を作るための商品力強化の方法を3つご紹介させて頂きました。富士山のような圧倒的に印象が強い商品があると、お客様に「ボリュームが1番といったら○○屋」というように、1番に連想してもらえることができ、競合店よりも来店動機が高まります。
ぜひ、地域で1番の商品を作り、目的来店を促進して売上を高めていきましましょう。