1. HOME
  2. 飲食店経営ノウハウコラム
  3. 品揃えを工夫することで利益率を高める方法
  • 利益アップ・コスト削減

品揃えを工夫することで利益率を高める方法

消費税引き上げには品揃えの工夫が重要

軽減税率

消費税が8%から10%へ引き上げられる、課税転嫁できないと、イートイン型の飲食店の経営は厳しくなる可能性があります。
消費者の収入に変化がない場合、2%を消費税として納税するため、それだけ市場が縮小してしまいます。例えば、消費税を含めて年間100万円の消費をしていた場合、消費税が8%だと約93万円が事業者に対して消費する金額になり、10%だと約91万円になります。
そのため、外食市場は縮小することが予想されます。また、軽減税率の導入により、外食から中食へ流れることも考えられます。

縮小する市場においては、競合店とお客様を取り合う競争がさらに激化していきます。販売価格を据え置き安売りで価格競争をすると、コストが上昇して利益が低下します。また、価格の見直しをするとお客様にとって負担になり、来店動機の低下に繋がります。

そのため、飲食店は値付けと利益のバランスを踏まえて品揃えをすることが重要になります。
今回は、品揃えを工夫することで利益率を高める方法をご紹介させて頂きます。

粗利ミックスの品揃え方法

お客様に対して店舗の価値を訴求しながら利益を出すためには、粗利ミックスの品揃えが重要になります。
粗利ミックスとは、商品によって原価率が25%であったり35%であったりしますが、全体として目標値である原価率にすることです。お客様目線での価格設定により、店舗の魅力を高めることができます。

そこで、粗利ミックスの品揃えの方法をご紹介させて頂きます。
メニューの多い店舗の場合は、フードとドリンクを分けてみて下さい。
まず、2点数値を算出して下さい。

  • 1ヶ月間における1品あたりの平均販売数(総販売数÷総品揃え数)
  • 平均粗利益率(粗利益÷売上高)、または目標とする平均粗利益率

例として、フードの総品揃え数50、1ヶ月間におけるフードの総販売数が5,000とすると、1品あたりのフードの平均販売数は5,000÷50=100になります。平均粗利益率は損益計算書から算出できます。

そして、それぞれの平均値に対してマトリックスを作り、商品ごとにポジショニングすると、以下の図のようになります。

ポジションごとの役割を明確にする

粗利ミックスのマトリックスを作り、商品ごとにポジショニングができました。
次は、ポジションごとに戦略を考えてみましょう。

①目玉商品
販売数は多く、利益率は低い商品です。
目玉商品は、お客様にとってお値打ち感がありますので、集客力が高いです。チラシや店頭POPなどのアウトストアプロモーションにより、客数増加の効果が期待できます。
目玉商品数が多い場合は、ボリューム感、盛り付け、シズル感などで商品力を強化しましょう。商品力の強化に見合った価格設定により、利益率を高めて1番商品へポジショニングしたいです。

②利益商品
販売数は少なく、利益率は高い商品です。
利益商品は、利益率が高いので店舗にとってはぜひ売りたい商品です。
そのため、まずは目玉商品と同様に商品力を強化してお客様が思わず注文したくなるように工夫しましょう。そして、店内POPのインストアプロモーションで商品の良さを訴求することで、販売数の増加につなげて1番商品へポジショニングしたいです。

③1番商品
販売数・利益率共に高い商品です。
1番商品は、店舗の“ウリ”の商品です。お客様が「○○が美味しい、あのお店」と認識して頂けるようにしたいです。そのために、常に1番商品のブラッシュアップを行い、店舗の看板商品として地域1番の地位の獲得・維持を目標にしましょう。
なお、居酒屋のような多くの商品カテゴリーを扱う店舗では、カテゴリーごとに1品は1番商品があると利益率が安定します。

④撤退対象
販売数・利益率共に低い商品です。
撤退対象は、販売数・利益率共に低いため、品揃えから外して新商品の投入を検討した方がいいです。その際に、撤退対象の商品が店舗の“ウリ”として主力カテゴリーにある場合は、主力カテゴリーと同じ種類の新商品を投入してカテゴリー数を維持して下さい。例えば、店舗の“ウリ”が「つくね串」で主力カテゴリーとしている場合は、「つくね串」の新商品開発を行い、店舗力が低下しないようにしましょう。

以上、粗利ミックスの品揃えをマトリックスにして考察してみました。
販売数を多くしようと「目玉商品」を多く品揃えても利益率が低いので、利益額はあまり高まりません。また、利益率を高めようとして「利益商品」を多く品揃えても販売数が伸びなく、結果として利益額もあまり向上しません。
そのために、品揃えのバランスを整え、それぞれのポジショニングにおける役割を明確にすることで、全体として利益率を最適化することが重要になってくるのです。

いかがでしたでしょうか。
今回は、粗利ミックスの視点から品揃えを工夫することで利益率を高める方法をご紹介させて頂きました。

ぜひ、品揃えの工夫により、消費税の引き上げにも負けないぐらい利益率を高めていきましょう。

PAGETOP