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客離れをおこさずメニューの価格改定を成功させる方法

客離れをおこさずメニューの価格改定を成功させる方法

イートイン型の飲食店

現在、日本における消費税は8%ですが、2019年10月からは10%への引き上げが予定されています。軽減税率の措置がありますが、イートイン型の飲食店は対象にならず、経営は厳しくなる可能性があります。

具体的には、現状の販売価格を据え置いて売上を維持したとすると、増税分の2%がそのまま利益率の減少に繋がります。月の売上が500万円の店舗だと2%である10万円の利益が低下するのです。
飲食店経営において10万円あると、販売促進をして集客力を高めたり、新商品を開発してメニューを強化したり、従業員を教育して接客力を高めたりと様々な施策により店舗力を向上させることができます。
そのため、消費増税でも利益の確保を検討する必要があります。

しかし、消費税の引き上げ分をそのまま価格に転嫁して2%販売価格を引き上げると、お客様はメニュー表を見ただけで「このお店は高くなったな」と心理的に負担を感じてしまいます。そうすると、お客様の来店数が減少し、売上も低下していくという負のスパイラルに陥ってしまいます。

そこで、今回は消費税の引き上げに対して、お客様の心理的負担を少なくしながら価格の見直しを成功させる戦略的メニュー作りの方法をご紹介させて頂きます。

原価率への影響度の高い商品を絞り込む

消費税の引き上げに対して、全ての商品を一律に価格の見直しするとお客様の心理的な負担は大きくなります。そのため、価格の見直しをする商品はなるべく少ない方がいいです。

そこで、商品ごとに店舗全体の原価率への影響度の高さを分析する方法をご紹介します。(店舗全体の原価率は、以下「全体原価率」といいます。)
まずは、1ヶ月間における店舗の商品ごとに売上構成比率(単品売価×単品販売数÷売上高)と原価率(原価÷売価)を計算して下さい。
そして、売上構成比率と原価率を掛け合わせて下さい。
そうすると、商品ごとに全体原価率への影響度の高さが「全体原価率への影響度=売上構成比率×原価率」の式で算出できます。

例として、焼肉店において焼肉盛り合わせの商品Aの売上構成比が10%、原価率が50%とすると、全体原価率への影響度は「10%×50%=5%」です。そして、この商品Aの原価率を40%に低下させると、全体原価率への影響度は「10%×40%=4%」になります。
この商品Aを基にシミュレーションしてみましょう。
店舗の売上高1000万円、原価300万円とします。

 

比率

金額

全体原価率への影響度5%

商品A売上構成比

10%

100万円

商品A原価率

50%

50万円

全体原価率への影響度4%

商品A売上構成比

10%

100万円

商品A原価率

40%

40万円

商品Aの全体原価率への影響度が1%低下すると、原価が10万円低下します。

 

商品Aの全体原価率への影響度5%

商品Aの全体原価率への影響度4%

売上高

1000万円

1000万円

原価

300万円

290万円

原価率

30%

29%

商品Aの原価が10万円低下すると、店舗の原価率が1%低下します。

つまり、ある商品の全体原価率への影響度を1%低下できると、店舗の原価率が1%低下するのです。
(なお、シミュレーションでは、わかりやすくするために原価率を低下させましたが、価格の見直しをして売上を高める場合でも考え方は同じです。)

以上、全体原価率への影響度についてご紹介させて頂きました。
お客様の心理的負担を少なくしながら価格の見直しを行うためには、全体原価率への影響度が高い商品に絞り込んでみて下さい。そうすると、価格の見直しをする商品が少なくても消費税の引き上げに対して価格転嫁を行うことができるのです。

価格の見直しする商品を選定する

商品ごとに全体原価率への影響度の高さを分析する方法をご紹介しました。
次は、全体原価率への影響度の高い商品を上位「30アイテム」をフードとドリンク合わせて抽出してみて下さい。人気メニューがズラッと並んでいるはずです。
その中から価格の見直しをする商品を選びましょう。

ポイントは、以下の2点を基準に選んでみて下さい。

①店舗の“ウリ”に該当しない商品
店舗の“ウリ”になる商品は、価格の見直しをすると競合店との競争力が大きく低下してしまう恐れがあります。特に、1番商品や主力カテゴリーの商品は集客力が強いので、できるだけ価格の見直しをしないようにしましょう。
店舗の“ウリ”に該当しない商品とは、焼き鳥居酒屋ならば焼き鳥以外の商品です。ただし、店舗の“ウリ”が「つくね串」で主力カテゴリーとしている場合は、「つくね串」以外の焼き鳥商品を価格の見直しの対象にすると競争力は低下しにくいです。

②価格弾力性の低い商品
価格弾力性の低い商品とは、価格の見直しをしても販売数や集客力が低下しにくい商品のことです。これは、外食店として定番化している商品があてはまります。例えば、居酒屋だと鶏の唐揚げやフライドポテト、シーザーサラダ、枝豆などです。比較的どこの店舗でも品揃えをしており、認知度が高いです。そのため、お客様からすると馴染み感があり、販売促進をしなくても出数がある商品です。

価格の見直しをする場合は、全体原価率への影響度の高い商品の中から、店舗の“ウリ”に該当せず、価格弾力性の低い定番商品を優先的にしてみて下さい。お客様の心理的負担を少なくすることができるので、価格の見直しによる集客力の低下も少なくできます。

いかがでしたでしょうか。
今回は、お客様の心理的負担を少なくしながら価格の見直しを成功させる方法をご紹介させて頂きました。
ぜひ、消費税の引き上げにも負けない価格設定をして、売上を高めていきましょう。

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