1. HOME
  2. 飲食店経営ノウハウコラム
  3. 飲食店が商圏分析と立地調査を活用して出店を成功させる方法
  • 開業・出店ノウハウ

飲食店が商圏分析と立地調査を活用して出店を成功させる方法

新規出店には商圏分析が重要です

新規出店には商圏分析が重要です

飲食店が売上を高めるためには、大きく分けて既存店の売上を高めるか、もしくは新規出店して店舗数を増やすかの2つの方向があります。
既存店で営業時間や稼働率、回転率などのキャパシティが限界の店舗では、これ以上に売上を高めることが難しいため新規出店を計画したいです。また、既存店舗でしっかりと売上が高まり利益を出せるノウハウが蓄積できたら、次は新規出店をして企業を成長させていきたいです。

しかし、「飲食店の売上の7割は立地で決まる」と言われるぐらい、立地の選定は売上に大きく影響します。多店舗展開する大手チェーン店では、同じスタイルの店舗にもかかわらず、店舗によって売上が大きく異なっていたりします。それは、立地の違いが大きな要因なのです。
このように、店舗型の飲食店経営においては、立地が重要になります。

また、注意しないといけないのが、物件の条件がよければ家賃は高くなっていきますが、家賃の高さと飲食店における立地のよさは比例しないということです。家賃が高いのに集客力がない物件であったり、反対に、家賃が低くても飲食店にとっては掘り出し物の物件があったりするのです。
そのため、物件を選ぶ際には、しっかりとした商圏分析がかかせないのです。

そこで今回は、飲食店が商圏分析を活用して新規出店を成功させる方法をご紹介させて頂きます。

商圏分析のデータを活用して新規出店の立地を評価しよう

新規出店の際は、出店候補の物件の立地環境が既存店と同じか、それ以上の物件を選びたいです。したがって、既存店の商圏分析のデータと比較することが重要になります。また、一般的に飲食店経営においては、3大原価としてF/L/R(原材料/人件費/家賃)の比率が70%以内で、そのうち家賃が10%以内だと適正とされています。そのため、家賃に対する売上の予測を立てることが重要になります。

前回に、「政府統計の総合窓口e-Stat」の中に収録されている「地図で見る統計(jSTAT MAP)」を使用してカシオ本社の半径500mの商圏分析をしてみました。そのデータから、立地の分析に役立つ情報を抽出してみましたので、新規出店の候補地として評価してみましょう。

1次商圏(半径500m) 数値
人口数・推移(2015年度) 17,946人(5年間で5.7%上昇)
昼・夜人口差 昼は夜の約2.4倍
競合店数 (仮想で)5店舗
年齢別・性別人口数 男女共に30代が多い
人員別世帯数 単身世帯は約66%

①商圏の市場サイズ
まずは、出店候補地における商圏の市場サイズを把握したいです。様々な算出方法がありますが、商圏の市場サイズは「商圏の人口数×1人あたりの消費量」で表すことができます。さらに、1人あたりの消費量は「業種の市場規模÷総人口数」で算出できます。なお、業種によっては調査資料がなく、調査を専門とする企業があるぐらい難しかったりします。

例として、独自調査ですが、統計局家計調査などを参考に、そば・うどん業種では年間の1人あたりの消費量はおおよそ「1万60円」と算出しました。
出店候補地のカシオ本社では、商圏の人口数が2015年度は17,946人ですので、商圏の市場サイズは「17,946人×1万60円=1億8,053万円」で約1億8,000万円になります。さらに、夜に比べて昼の人口差が2.4倍あるので、昼と夜の売上構成比を50%ずつとすると、市場サイズは「昼(1億8,000万円×50%×2.4倍)+夜(1億8,000万円×50%)=3億600万円」で約3億円と推定できます。

また、人口数の推移を見てみると、5年間で5.7%上昇しているため、今後の成長が見込めそうだと判断できます。
評価の基準として、商圏内に十分な人口数があり、また今後の成長が見込める立地の物件を選びたいです。

②売上の予測
次は、売上の予測をしたいです。商圏内に競合店が5店舗あり、自社が参入した場合は6店舗になります。そのため、商圏の市場サイズから店舗数を割ると「3億円÷6店舗=5,000万円」が平均の年間売上予測になります。シェアにすると「5,000万円÷3億円=16.6%」です。
競合店との力関係やターゲット層を把握して、どのくらいのシェアが見込めるのかも分析して売上の予測をしたいです。

③ターゲット層
そして、年齢別・性別人口数や人員別世帯数の情報を基に、ターゲット層を抽出したいです。既存店のノウハウを活用して同じタイプの店舗で新規出店する場合は、既存店のターゲット層がどのくらい商圏内に存在しているのかが重要になります。
一方、既存店のターゲット層が少ない場合は、既存店と同じタイプの店舗では集客が見込めません。そのため、新しいターゲット層に適応したタイプの店舗に変更して運営できるかがポイントになります。

実際の店舗を見て立地調査をしよう

実際に店舗を見て新規出店の商圏分析をしよう

新規出店に必要な情報には、商圏分析のデータから得られる情報と実際に店舗を見ないとわからない情報があります。実際に店舗を見る場合には、商圏の地図を広げて、以下のポイントを記入して資料にしてみるのもよいでしょう。

①店前通行量
店前通行量が多いほど、店頭でのプロモーションで、より入店数を高めることができます。そのため、店前通行量の人数とターゲット層の人数を時間と曜日ごとに把握したいです。なお、郊外店の場合は、店前通行量が車の数になります。
ターゲット層の店前通行量が多い物件は集客力が高いです。また、細かく時間や曜日ごとの情報を収集すると、売上の予測精度が高まります。

②視認性
店頭に看板をだしても店前を通行するお客様から認知されなければ意味がありません。なるべく見えやすい位置に周りよりも目立つ看板を設置できるといい物件です。
2階以上や地下の物件では、1階に比べて家賃は安くなりますが、店頭での訴求力が下がります。そのため、1階での看板の設置や壁面に大きく店舗情報を掲載できる物件だと、条件はよくなりますので確認してみて下さい。

③お客様の動線
物件が駅から近い場合でも、お客様が移動する動線上に立地しているのかは、店前通行量に影響するので重要です。また、近隣に集客施設がある場合は、その動線上に立地しているのかも調べたいです。その場合、集客施設を地図上にマークして、お客様の動線を記入してみるのもよいでしょう。
なお、お客様の動線上において、先に競合店が立地している場合は、出店を見合わせた方がいいぐらい条件が低下するので確認は必須です。

いかがでしたでしょうか。
今回は、飲食店が商圏分析を活用して新規出店を成功させる方法をご紹介させて頂きました。新規出店をする際は、物件ごとに様々な要素を基に点数をつけて評価し、比べてみるのもよいでしょう。
ぜひ、商圏分析をして自店にとっていい物件を選び、新規出店を成功させて売上を高めていきましょう。

PAGETOP