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飲食店の減価償却をわかりやすく解説!

飲食店の厨房設備(業務用冷蔵庫、ガスレンジ等)

飲食店を営む個人事業主が確定申告をされる際、言葉を聞いただけで難しそうだなと思うのが「減価償却」ではないでしょうか?そこでこのコラムでは、飲食店の「減価償却」について、厨房設備(業務用冷蔵庫、ガスレンジ等)や内装の具体例で分かりやすく解説します。

減価償却ってなに?

皆さんもこれまでに一度は耳にされた事がある「確定申告」とは何をする事なのかを、敢えてシンプルにご説明しますと、「営業していた1年間」(確定申告計算の対象となる年の1月1日から12月31日までの期間)にいくら儲かった(あるいは損した)ので、いくら納税します(あるいは納税しません)と申告することとなります。

計算式風に分かり易く表現しますと、対象期間中の儲けや損失を、
 売上(a) - 仕入や人件費、経費など(b)= 利益または損失(c)
で算出し、儲けが出ている場合に、
 利益(c)× 税率(d) = 納税額(e)
として納税額を確定させます。ここで重要となるのは「営業していた1年間」が対象になるという点です。(以下、このコラムでは特に断りがない限り「営業していた1年間」のことを「対象期間」といいます)

いわゆる固定資産と呼ばれるようなもの、例えば飲食店を営業するための業務用の厨房機器は、比較的高価で、かつ、数年間に渡って使用するものです。減価償却とは、数年分の価値を持っている固定資産(ここで言う厨房機器)を対象期間中にいくら分使ったかを、金額に置き換える計算ルールのことを言います。計算された金額を減価償却費といい、「仕入や人件費、経費など(b)」に加算します。

例えば、対象期間中に2,000万の売上があって、食材費や人件費、家賃などの合計額が1,400万だったとすると600万円黒字になっている計算になりますが、様々な厨房機器や内装の減価償却費が合計で100万円あったとすると、対象期間の儲け(黒字)は500万円だったいう計算になります。

減価償却計算には、以前は定率法と定額法という2通りの計算方法がありましたが、現在は基本的に毎年均等に一定額を使用したとみなす定額法を用いて計算することとされています。では、業務用冷蔵庫を例に、具体的な計算方法をみていきましょう。

業務用冷蔵庫の減価償却計算例

120万円で購入した業務用冷蔵庫があるとします。この冷蔵庫を対象期間中にいくら分使用したかを計算するためには、業務用冷蔵庫は何年間使用できるとみなされているかを知る必要があります。この期間のことを法定耐用年数といい、国によって定められていて、国税庁のホームページなどで公開されている耐用年数表で確認することができます。

飲食店で利用する冷蔵庫は、基本的には耐用年数表の「電気冷蔵庫、電気洗濯機その他これらに類する電気・ガス機器」に当てはまり、法定耐用年数は6年となります。
よって、120万円の冷蔵庫は6年かけて使用するという計算になり、1年あたりの減価償却費は120÷6で20万円になります。

なお、実際には冷蔵庫は6年以上使える可能性も高いと思います。その場合、7年目以降、経理上は減価償却を行う必要はなく、冷蔵庫を使用するために費用はかかっていないという計算になります。もちろん、大切に使い続ければ実際に使用し続けても問題ありません。

主な厨房機器の法定耐用年数とガスレンジの減価償却計算例

減価償却についての考え方はご理解いただけたと思いますので、ここで飲食店における主な厨房機器やその他備品の法定耐用年数例を記載しておきますので参考になさってください。なお、特別な機器の場合は、別の法定対応年数が適用される場合がありますので、お使いの機器の法定耐用年数が分からない場合や判断に迷う場合は、製品のメーカーに確認しましょう。

機器名 法定耐用年数
ガスレンジ 8年
フライヤー 8年
冷蔵庫・冷凍庫(電気式) 6年
パソコン 4年
テレビ 5年
テーブルセット 5年

最後に復習の意味で、60万円のガスレンジがあったとして、その1年あたりの減価償却費を上記の表を参照しながら計算してみましょう。

【解答】
ガスレンジの耐用年数は8年なので、正解は600,000÷8で、75,000円となります。

中古の場合はどう計算すればよいの?

購入した中古品が、同等の新品を購入した場合と比べて半額(50%)を超えるかそれ以下だったかがポイントになります。半額(50%)を超える場合には、新品同様に法定耐用年数で減価償却計算を行う必要があります。
半額(50%)以下だった場合には、使用可能期間として見積もられる年数で計算することができます。また、使用可能期間の見積りが困難であるときは、例えば次のような簡便な計算を用いることもできます。

【簡便な計算法の例】

例:新品だと120万円する、2年使われた冷蔵庫を40万円で購入した場合
→ 法定耐用年数の一部を経過した資産 に該当します。

  • (ア)冷蔵庫の法定耐用年数は6年
  • (イ)2年使用済みなので法定耐用年数は残り4年
  • (ウ)2年使用済の20%に相当する年数は0.4年
  • (エ)(イ)と(ウ)を合計すると4.4年
  • (オ)1年未満の端数があるときは切り捨てる → 4年
  • (カ) 1年あたりの減価償却費は40÷4で10万円
※(ウ)(エ)の補足説明
国税庁により、法定耐用年数の一部を経過した資産では、 その法定耐用年数から経過した年数を差し引いた年数(今回の例では4年)に、 経過年数の20%に相当する年数を加えた年数を用いて算出するよう規定されています。
参考ページ:

内装工事の減価償却

飲食店の内装は、厨房、ホール、トイレといった複数の場所の、窓や壁、天井といったように非常に多岐に渡ります。よって、内装工事にかかった全体を、数年間で割り算すればよいという単純な計算では、減価償却計算をすることができません。
具体的には、内装工事にかかった請求明細を確認し、請求明細毎に法定耐用年数を割り出して減価償却していくことになります。以下、内装工事に関連する主な法定耐用年数例を記載しておきますので参考になさってください。

構造 法定耐用年数
木造・合成樹脂造のもの(飲食店) 20年
木骨モルタル造のもの(飲食店) 19年
鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造のもの(飲食店) 延べ面積のうちに占める木造内装部分の面積が30%を超える場合は34年。
それ以外は41年
れんが造・石造・ブロック造のもの(飲食店) 4㎜を超えるもの・・・31年
3㎜を超え、4㎜以下のもの・・・25年
3㎜以下のもの・・・19年
アーケード・日よけ設備 主として金属製のもの・・・15年
その他のもの・・・8年
給排水・衛生設備、ガス設備 15年

少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例

2019年10月現在、青色申告をする個人事業主であれば、少額減価償却資産の特例として30万円未満の少額減価償却資産については、購入・使用開始した年度に一括して経費計上することができます。
前述の120万円の冷蔵庫が、仮に12万円であった場合には、1年毎に2万円の減価償却を6年間行うのではなく、購入し使用を開始した対象期間中に12万円の費用がかかったというように計算することができます。
特例を利用するかしないかは、申告者の判断に委ねられておりますので、例えば今年の利益(c)が想像以上に大きくそのままでは納税負担が大きすぎると判断した場合は特例を使い、逆に今年の利益(c)が少なくてぎりぎり黒字という場合には、通常通りの減価償却処理を選択するということも可能です。なお、一度通常の減価償却を開始した備品を、2年目に一括償却することはできません。

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