- 事務処理・確定申告
確定申告~飲食店経営以外の副収入はどうするの?
個人事業主として飲食店経営をされている方のなかには、店舗の空きフロアを貸し出したり、投資を行ったりして、飲食店経営以外に副収入がある方もいらっしゃると思います。そこで本コラムでは、飲食店経営者にありがちな副収入の、所得税の確定申告時の一般的な取扱について解説します。
所得の区分
まず、国税庁ホームページ「所得の区分のあらまし」 に依って、所得が内容ごとにどのように区分されているか見てみましょう。
区分 | 概要 |
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1.利子所得 | 利子所得とは、預貯金や公社債の利子並びに合同運用信託、公社債投資信託及び公募公社債等運用投資信託の収益の分配に係る所得をいいます。 |
2.配当所得 | 配当所得とは、株主や出資者が法人から受ける配当や、投資信託(公社債投資信託及び公募公社債等運用投資信託以外のもの)及び特定受益証券発行信託の収益の分配などに係る所得をいいます。 |
3.不動産所得 | 不動産所得とは、土地や建物などの不動産、借地権など不動産の上に存する権利、船舶や航空機の貸付け(地上権又は永小作権の設定その他他人に不動産等を使用させることを含みます。)による所得(事業所得又は譲渡所得に該当するものを除きます。)をいいます。 |
4.事業所得 | 事業所得とは、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業から生ずる所得をいいます。 ただし、不動産の貸付けや山林の譲渡による所得は、原則として不動産所得や山林所得になります。 |
5.給与所得 | 給与所得とは、勤務先から受ける給料、賞与などの所得をいいます。 |
6.退職所得 | 退職所得とは、退職により勤務先から受ける退職手当や厚生年金基金等の加入員の退職に基因して支払われる厚生年金保険法に基づく一時金などの所得をいいます。 |
7.山林所得 | 山林所得とは、山林を伐採して譲渡したり、立木のままで譲渡することによって生ずる所得を いいます。 ただし、山林を取得してから5年以内に伐採又は譲渡した場合には、山林所得ではなく、 事業所得又は雑所得になります。 |
8.譲渡所得 | 譲渡所得とは、土地、建物、ゴルフ会員権などの資産を譲渡することによって生ずる所得、建物などの所有を目的とする地上権などの設定による所得で一定のものをいいます。 ただし、事業用の商品などの棚卸資産、山林、減価償却資産のうち一定のものなどを譲渡することによって生ずる所得は、譲渡所得となりません。 |
9.一時所得 |
一時所得とは、上記1から8までのいずれの所得にも該当しないもので、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外のものであって、労務その他の役務の対価としての性質や資産の譲渡による対価としての性質を有しない一時の所得をいいます。 例えば次に掲げるようなものに係る所得が該当します。 |
10.雑所得 |
雑所得とは、上記1から9までの所得のいずれにも該当しない所得をいいます。 例えば次に掲げるようなものに係る所得が該当します。 |
図表出所・・・国税庁「所得の区分のあらまし」を元にHANJO TOWN作成
この区分に従うと、飲食店経営は”4.事業所得”に該当することになります。また、各所得区分に共通して、基本的に“所得”とは、”そこから得た収入-収入を得るために支出した費用”で計算した後の金額となります。
各所得 = そこから得た収入-収入を得るために支出した費用(必要経費)
飲食店経営の事業所得が売上から食材費・人件費・減価償却費などの費用を引いて計算されるように、各副収入も、それが全額所得として課税対象になるのではなく、それを得るために支出した必要経費があれば差し引くことができ、残った金額が所得となり課税の対象となります。
それでは、この理解を前提に、飲食店経営者にありがちな副収入について見ていきましょう。
ブログ・アフィリエイト
趣味にまつわるブログを書いていて、そこに広告を掲載し、広告掲載料を得ている場合や、アフィリエイト報酬を得ている場合です。この分の所得は、“10.雑所得”になります。このとき、記事を書くために支出したと合理的に説明できる支出は必要経費とすることができます。
例えば、記事を書く上で情報収集のために購入した雑誌や書籍の代金や、有料セミナーに参加した場合の費用などが該当します。
家賃収入
アパートやワンルームマンションによる所得は、“3.不動産所得”になります。
不動産所得における収入は、賃貸料収入以外にも、更新料や頭金などの名目で受領するものや、共益費などの名目で受け取る掃除代も含まれます。
一方で必要経費には、所有物件の修繕費、減価償却費、固定資産税などが該当します。物件に空調機器やガス給湯機器を備え付けている場合は、これらの修繕や入れ替えについても必要経費になります。
株式投資・投資信託等からの配当金・分配金(申告分離課税を選択可)
保有している株の配当金や、投資信託からの分配金は、“2.配当所得”になります。ただ、基本的には源泉徴収されるため確定申告の必要はありません。
なお、全体の課税所得が695万円以上の場合に、この後に紹介する、株式投資・投資信託の売買による「申告分離課税制度」側と通算するほうが有利になるケースなどがあり、必要に応じて申告分離課税を選択した確定申告することもできます。
株式投資・投資信託の売買(申告分離課税制度)
株式投資や投資信託の売買による利益・損失については、このコラム冒頭で紹介した区分の表に当てはまらず、他の所得の金額と区分して税金を計算する「申告分離課税制度」に属する所得となります。
そして、証券会社にどのようか口座を開設しているかによって確定申告の要・不要が異なります。
NISA・つみたてNISA
NISA・つみたてNISAで取引した株式・投資信託等の配当・譲渡益等は非課税です。よって確定申告する必要はありません。なお、株式・投資信託等の取引で損失が出た場合、この後述べる特定口座や一般口座の取引では、税金の還付を受けることができますが、NISA・つみたてNISAの取引で損失が出た場合は、逆に税金の還付を申告することもできません。
特定口座(源泉あり)
特定口座(源泉あり)で株式・投資信託等の取引を行っている場合、取引の都度、証券会社側にて利益が発生した場合は源泉徴収、損失が発生した場合には還付が行われます。また年間の取引内容は証券会社から税務署に通知されるため、確定申告を行う必要もありません。なお、複数の証券会社で特定口座(源泉あり)を利用していて、その損益を通算したい場合には確定申告を行うこともできます。
特定口座(源泉なし)/一般口座
特定口座(源泉なし)/一般口座で株式・投資信託等の取引を行っている場合は、その年間の取引内容と損益について、確定申告を行う必要があります。
商品先物取引・FX投資(申告分離課税制度)
商品先物取引・FX投資による所得は「申告分離課税制度」の”一定の先物取引による雑所得等“に当てはまり、確定申告が必要になります。
20万円以下の所得も確定申告が必要
各所得の合計が20万円以下の場合、副収入については確定申告しなくてよいと誤解されている方がいらっしゃいますが、このルールはあくまで「給与所得者」に対するルールです。個人事業主の場合は、「申告分離課税制度」に属して確定申告不要な条件に当てはまるものを除き、すべての所得について確定申告する必要がありますので注意してください。
まとめ
以上、飲食店経営者にありがちな飲食店の経営以外の所得について、確定申告でどのように扱えばよいかを概説させていただきました。あらためてこのコラムで紹介した所得の申告方法を総合課税制度・申告分離課税制度の別でまとめると、以下のような関係になります。
総合課税制度で確定申告する所得 | 申告分離課税制度で確定申告する所得 |
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なお、当サイトでご紹介している「HANJO会計」(税込月額利用料金1,078円 ・申込の翌月末まで無料)をお使いになると、飲食店経営に伴う事業所得の計算はもちろん、その他の所得についても画面の案内に沿って入力すれば確定申告書を完成することができますので、よろしければご利用ください。