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飲食店経営の年間計画の作り方

飲食店の年間計画は、基本的に昨年の実績をもとに今年の売上や利益を維持、拡大できるように策定します。個人事業の飲食店であれば、毎月の売上や経費を取り纏めて確定申告書を完成したときが、年間計画を作るうえでもよいタイミングといえるでしょう。このコラムでは、実践的な年間計画の考え方・作り方の例を解説します。
なお、年間を通じてHANJO会計をお使いいただいている場合は、日々の客数・客単価や仕入・人件費などの推移も把握できるので、このコラム内でご紹介する要因分析を簡単に行なうことができます。また、策定した年間計画を目標登録して、進捗管理を行なうことも可能です。

昨年の傾向を定量的に把握しよう

確定申告を行なうため、青色申告では正規の簿記の原則に従った帳簿の作成、白色申告でも簡易帳簿を記載することが義務付けられています。後者の場合は少し大変かもしれませんが、売上について月次毎の合計額を把握します。
次に、食材・ドリンクなどの食材費、従業員の人件費に加え、水道光熱費やお店の家賃、融資の返済(利息支払+元本返済)といった主要な支払いについても、それぞれについて月次の合計額を把握します。把握が終わったら、すべての値を取り纏めた一覧表を作成してください。このようにすると、昨年の月毎の傾向を分かり易く把握することができます。以下、取り纏めの例をご紹介します。

一覧表の例

  1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
売上                        
食材費                        
人件費                        
FL費                        
FL比率                        
利益1                        
水道光熱費                        
支払家賃                        
融資返済                        
利益2                        

一覧表の例における、各行の意味の補足

  • FL費 ・・・ 食材費と人件費を合計した値を記入します
  • FL比率 ・・・ FL費が売上に占める割合を記入します。計算方法は、FL費÷売上 です
  • 利益1 ・・・ 売上からFL費を引き算した金額を記入します。飲食店経営において、一般企業における売上総利益(粗利)に相当する金額になります
  • 利益2 ・・・ 利益1から、水道光熱費、支払家賃、融資返済などを引き算した金額を記入します。この金額が、毎月経営者が得ていた生活費の概算と見ることができます。

なお、このコラムでご紹介した取り纏め一覧表は一例です。例えば売上や食材費において、食材とドリンクの集計行を分けて把握することで、売上に占めるドリンク比率を高めることで利益率をアップする検討が可能になります。費用についても、例えばお客様用に駐車場を借りている場合、その分を分けて把握したいなどという場合もあると思います。ご自身のお店の状況に合わせてアレンジしてみてください。

売上の維持・拡大のための観点例

昨年の傾向を定量的に把握して、売上の維持・拡大を考える場合は、まずは売上が落ち込んでいる月に着目し、その月のレジのジャーナルなどを確認して客単価を計算してみてください。
もしあらためて振り返って月単位で客単価が低迷し売上を下押ししていることが確認できた場合、内部要因として改善・工夫余地があるといえます。昨年のその時期にどんなメニューを提供していたか振り返ると共に、今年はその月にどんなメニュー施策を投じるかぜひ検討してみましょう。
お客様数については2月のようにそもそも暦として日数が少ない月に加え、立地などの特性として、お盆や年末年始はお客様数が減ることは、経営の外部要因として完全には抗し切れない部分もありますが、上記のメニュー検討と合わせて、その影響を緩和するため、季節や周辺イベントに合わせた年間の販促計画を検討してみるとよいでしょう。

利益の維持・拡大のための観点例

昨年の傾向を定量的に把握して、利益の維持・拡大を考える場合は、各月のFL率の値に注目し、特にその比率が高い月に注目します。今年、その月をどのように攻略するのかという点は、大いに検討する価値があります。
例えば、もしその月が金額ベースで売上金額も低く、FL費は高いという場合、売上の季節変動に対して、食材の仕入や従業員のシフトは年間を通じて同じ運用をなんとなく適用してしまっているなどの課題があるかもしれません。
水道光熱費や支払家賃は毎月一定額が発生します。単月の赤字を、他の月の黒字をあてにして組み立てるのは、想定外の悪天候や突発的な災害などのリスクがありますので、基本的にはできる限り単月単位で採算化するのが望ましいです。
さて、改善したい月度について、施策として一番理想的なのはメニューや販促の施策によって売上を底上げすることですが、それが見通せない場合は、その月の要員計画を前もって見積もっておくだけでなく、従業員にも共有しておくと、例えばアルバイトさんのほうではスケジュールや収入の見通しが立て易くなります。このような配慮まで早めに手を回すことができれば、昨年以上の利益を確保できる可能性が高まります。
食材仕入れについても、保存が利く調味料やドリンクは、当該月より前月に調達するなど前もって計画できると採算面に加え、資金繰りの面でも楽になるでしょう。

まとめ

以上、このコラムでは飲食店経営の年間計画の考え方・作り方について解説しました。個人事業の飲食店であれば、確定申告用の集計を活用することで、昨年度実績に基づいて、相当程度に精度の高い年間計画を策定することができます。そして、一番重要な点は、計画した月単位の目標を、実際の週次日次の営業状況と対応させて、達成にむけて進捗しているかをこまめに確認しながら、下振れしそうな場合は早めに手を打って挽回することです。

なお、当サイトでご紹介している飲食店向けクラウド会計サービス「HANJO会計」(利用料金:申込の翌月末まで無料)を使うと確定申告書を作成できるだけでなく、1年間の売上や経費はより細かく自動的に集計、グラフ化され分かり易く把握することができます。日々の客数を入力されていれば、客数・客単価の動向もすぐに把握できます。
また、実際に計画した内容を月ごとに目標として登録でき、下振れが予想される場合は、改善のための最適なヒントを表示します。

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