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消費税の納付期限にお金がない!どうしよう?

確定申告とともにやってくるのが、税金を計算した結果を納める「納税」という手続きです。
計算してみて驚いた、払うお金がない!という経験はありませんか?
利益がたいして出ていないんだからと安心していたけれど、利益が出なくても消費税は納税しなくてはならない、それが現実です。

このコラムでは、個人事業主の飲食店経営者様が消費税の納税資金に困らないようにするためにはどうすれば良いか、その方法をご紹介します。
(本コラムは2020年2月時点の情報を基に執筆しています)

消費税の申告と納税手続き

個人事業主の方は毎年2月16日から3月15日の間に所得税の確定申告を行います。この期間に受け付けるのは所得税で、消費税の申告については3月31日が期限となります。

申告書を作成して納めるべき税額が算出できたら、その金額を納付書に記入し、申告書の提出期限までに納めます。消費税の納付期限は申告と同じく3月31日までです。

ただし、振替納税を利用すれば、毎年4月20日過ぎ頃に振替となります。少しでも先の方が資金繰り的にありがたい、という方は申告書提出時に振替納税の申し込みも行いましょう。用紙は税務署に置いてある手引きについていますし、国税庁のHPから印刷することもできます。

振替納税とは

いわゆる銀行引き落としによる納付方法です。口座振替依頼書を税務署に提出することで、納付日に自身の銀行口座から自動的に引き落としがされるようになります。

消費税の納税額を算出するには

支払うべき消費税がどのように算出されるのか、確定申告は税理士に依頼しているので分からない、とか、年に1回のことなので忘れてしまう、という方は、毎年この時期に心配になった経験があるのではないでしょうか。
どれくらいの税金になるか見当もつかない、というのではやはり不安になりますので、ここで一度、どのように納める消費税の金額が決まるのかをおさらいしてみましょう。

消費税の計算方法には2通りあります。一般課税(原則課税や本則課税とも言います)と簡易課税と呼ばれる方法です。

一般課税とはお客様から預かった消費税から自分が支払った消費税を差し引いた残りを税務署に納める方法です。
自分が支払った消費税とは、仕入時はもちろん、おしぼり代の支払時や備品の購入時も消費税がかかっていますので、それらを合算した金額のこととなります。

税抜会計で処理している場合、取引の消費税には「仮受消費税」、「仮払消費税」という勘定科目を使います。読んで字のごとく、あくまでも受け取ったり支払ったりした時点での消費税は「仮」となり、この受け取った「仮」消費税と支払った「仮」消費税の差額が納付するべき「消費税」になる、と理解すれば分かり易いと思います。

基本は前述による算出方法となりますが、現実的には「”仮”の消費税額を、日々の活動全てで把握するなんて、とてもじゃないができない」といったケースも多く、そのような方の中には「簡易課税制度」を選択している方もいらっしゃるのではないでしょうか。

簡易課税とは受け取った消費税のうち、業種や業務内容に応じて決められた一定の割合を支払ったと仮定して納付税額を算出する方法です。
業種ごとに決められた割合を「みなし仕入率」といい、飲食店であれば「第四種、みなし仕入れ率60%」と定められています。
この方法を使えば、前述のように日々支払った「仮」消費税を積み上げておく必要はなく、売上金額に「みなし仕入れ率」を掛けることで支払った消費税を算出することができるようになります。課税売上からのみ納付する消費税額を算出でき、経費の消費税については管理しなくて済みますので、事務の手間を大幅に軽減することができます。

納税資金であわてないための「納税準備預金」

確定申告で消費税の計算をやっとの思いで終えたと思ったら、支払う消費税額に驚き慌てたというご経験はありませんか?
手元にキャッシュがなくて支払が心配になったという方も多いと思います。

そうならないようにするために、一つだけ簡単な方法があります。
毎月納税資金を積み立てることです。まずは納税資金専用の口座を作りましょう。その際には、「納税準備預金」という選択肢も検討するとよいでしょう。
納税準備預金とは文字通り納税にあてる資金に限って預入れるための預金口座で、多くの金融機関で開設することができます。引出しは原則として納税にあてるときに限られるのがデメリットですが、一方で、一般的に利率が普通預金よりも高く設定され、しかも、利息は非課税となっています。

納税資金専用の口座を作ったら、簡易課税であれば毎月の売上に対する消費税×40%を目安に積み立てます。消費税の納税資金専用の口座を作って月に一度、事業用の口座から移しておくだけです。
例えば毎月売上はだいたい100万円という場合、100万円の10%の10万円を消費税として預り、実際は110万円入金があります
この場合は預かった10万円のうちの40%、4万円を納税資金専用口座に移します。

一般課税の場合は、合算する手間が必要になるため簡易課税ほど見通しを立てやすくはありません。ただ税抜処理をしていれば、月末の仮受消費税の金額から仮払消費税の金額を差し引いた金額を納税資金専用口座に移すだけでよくなるため、そういった意味で把握は簡単です。

税込処理の場合には、今年も前年と同じ売上があがると仮定して、前年の消費税総額の1/12を毎月積み立てるのもよいと思います。もちろん業績によっては多めになどの工夫をしておくことで、3月になって慌てることは減らせるでしょう。

いずれにせよ、毎月の経理処理を翌月半ばくらいまでに終わらせておくと、準備する資金の算段も、口座への資金移動もスムーズにできるようになります。ぜひHANJO会計を活用して毎月同じ時期に前月の経理処理を終わらせるという習慣をつけてみてください。

まとめ

以上、本コラムでは個人事業主の飲食店経営者の方が消費税の納付時期に、納税資金に困らずに済む方法をご紹介しました。

順調に売り上げが伸びてきて消費税の課税事業者になったばかりですと、免税事業者であった時と同じ感覚で、事業用口座のお金を個人として自由に使ってしまっても良いかのように錯覚してしまい、車のような高価なものを買ったり、ほとんど引き出して使ってしまったりといった失敗をされた方を、これまで何人も見てきました。もちろん、そういった事情は税金を徴収する側の方には一切考慮して貰えないことは、敢えて申し上げる必要もありません。

消費税の納税資金を毎月きちんと積み立てておけば、多少の誤差があったとしても払えないほどの金額にはならないはずです。
簡単でたった一つの対策としての積立、すぐにでも始めてみませんか?

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