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飲食店開業のために必要な資格・届け出・手続きを総合的に解説!

よく誤解されていますが、飲食店を開業するための資格として「調理師免許」は必須ではなく、 自治体などが主催する講習を受けて取得できる「食品衛生責任者」があれば大丈夫です。 ただ、保健所や税務署、業態や店舗規模によっては警察署や消防署への届け出など、必要な手続きは想像以上に多いです。 そこでこのコラムでは個人事業主として飲食店開業・経営を始める際に必要となる主な手続きを解説します。

食品衛生責任者資格を取得する

食品衛生法施行条例第2条の公衆衛生上講ずべき措置の基準及び食品製造業等取締条例第6条の衛生管理運営基準により、 飲食店を開業・経営するためには「営業者は、許可施設ごとに自ら食品衛生に関する責任者となるか、 当該施設において従事者のうちから食品衛生責任者1名を定めておかなければならないとされています。
そして、食品衛生責任者になるためには「食品衛生責任者資格」が必要になりますが、 この資格は、保健所長(特別区にあっては、特別区の区長)が 実施する食品衛生責任者になるための講習会または知事の指定した講習会の受講を受けることで取得できます。 基本的には18歳以上であれば、誰でも講習会の参加が可能です。
なお、栄養士、調理師、製菓衛生師などの資格をお持ちの場合は、講習会の受講を受ける必要はなく、 食品衛生責任者になることができます。

講習会の実施は自治体によって行なわれます。ここでは参考として東京の例(2020年4月現在)をご紹介しておきます。
・開催頻度 ・・・ 毎月開催
・開催場所 ・・・ 都内各所。8~10会場
・講習時間 ・・・ 午前9時45分から午後4時30分までの6時間(昼休み 12時45分から午後1時30分)
・受講費用 ・・・ 10,000円(教材費含む)
参考:「食品衛生責任者養成講習会(東京)」ページ
http://www.toshoku.or.jp/shikaku/index.html

なお、開業される予定の地域によっては、講習会の開催頻度や場所などがより限られる可能性がありますので、 飲食店開業を検討されている方は開業予定の自治体の講習予定を早めに確認しておくのがよいでしょう。

保健所に「食品営業許可申請営業許可」を申請する

飲食店を開業するためには、開業地域を所管する保健所に「食品営業許可申請営業許可」を 必ず申請する必要がありますので、まずは所管する保健所を確認しましょう。 例えば東京都の場合、多摩、島しょ地域は東京都福祉保険局管轄の保健所扱いとなりますが、 23区内の取り扱いは各区役所の担当部の扱いとなります。
なお、細部については地域によって異なりますが、大まかな手続きの流れは共通していて、 概ね以下のような流れであることが多いようです。
1.事前相談 ・・・ 施設の工事着工前に施設の設計図等を持参の上、事前に相談
2.営業許可申請書類の提出 ・・・ 所定書式に記入した営業許可申請書や食品衛生責任者資格の証明書など
3.施設完成の確認検査 ・・・ 施設が申請のとおりか、施設基準に合致しているかを保健所の担当者の訪問検査を受けます
4.営業許可書の交付
※ 申請費用 ・・・ 16,000円~19,000円程度(保健所によって異なる)
参考:東京都福祉保険局「食品関係営業許可申請の手引」
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/kyoka/files/tebiki.pdf

税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書」を届け出る

飲食店を開業する場合には、 事業の開始等の事実があった日から1ヵ月以内(提出期限が土・日曜日・祝日等に当たる場合は、これらの日の翌日が期限)に、 お店の所管となる税務署に「個人事業の開業届出」が必要です。
申請書様式・記載要領は国税庁のホームページで入手することができます。特に難しい知識は必要なく、概ね所定項目をその通り穴埋めすれば完成できます。手続きにあたっての費用はかからず、郵送による提出でも構いません。
参考:国税庁[手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続」
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/04.htm

なお、青色申告による確定申告を予定される場合には、合わせて「所得税の青色申告承認申請書」を届けるとよいでしょう。 従業員を雇う場合には「給与支払い事務所の開設届」も必要になります。

警察署に「深夜酒類提供飲食店営業開始届出書」等を届け出る

深夜0時から午前6時までの間に主にお酒を提供するバー、居酒屋などの飲食店をオープンしたいときは、 お店の地域を所轄する警察署に「深夜酒類提供飲食店営業開始届出書」を届け出る必要があります。 ここで注意しておきたいのが主にという部分で、厳密な線引きがないことです。 例えば深夜営業するラーメン屋ではお酒をメニューに加える場合も多いと思います。 深夜0時から午前6時までにお酒の提供を含む営業を想定している場合には、 ともかくも所管の警察署に問い合わせて確認しておくほうが無難でしょう。 届け出の期限は営業を開始しようとする10日前です。

なお、届け出が許可されるためには、国家公安委員会が定める以下の基準を満たす必要があります。
・客室の床面積は、1室の床面積を9.5㎡以上とすること。ただし、客室の数が1室のみである場合は除きます。
・客室の内部に見通しを妨げる設備を設けないこと。
・善良の風俗又は清浄な風俗環境を害するおそれのある写真、広告物、装飾その他の設備を設けないこと。
・営業所の出入口に施錠設備を設けないこと。ただし、営業所外に直接通ずる客室の出入口については除きます。
・営業所内の照度が、20ルクス以下とならないような構造又は設備であること。
・営業所周辺における騒音又は振動の数値が、各都道府県の条例で定める数値に満たないように維持されるために必要な構造又は設備を有すること。
・ダンスの用に供するための構造又は設備を有しないこと。
基本的な考え方は、暗い密室にして、飲食以外の遊興をお客様に提供しない前提とすることが要件になります。 例えばナイトクラブを営業する場合には“特定遊興飲食店営業”としての届け出、 キャバクラのように従業員が客席で接待をする場合には“接待飲食等営業”としての届け出が必要になります。

参考:警視庁「風俗営業」
https://www.keishicho.metro.tokyo.jp/tetsuzuki/fuzoku/index.html

消防署に「防火対象物使用開始届」「防火対象物工事等計画届出書」を届け出る

延べ面積が 150 平方メートル以上、又は収容人員が 50 人以上の飲食店を解消する場合には、 「防火対象物使用開始届」を営業開始の7日前までに所管の消防署に届け出る必要があります。 なお、通常内装工事を行なう段階で「防火対象物工事等計画届出書」の届け出も必要で、 両方の届け出を内装工事の段階で行なってしまう場合が多いです。
届け出には、お店の配置図の作図なども必要なため、内装をお願いする業者さんに頼むのがよいでしょう。 ビルのテナントに入る場合には、管理会社にも確認が必要です。

参考:東京消防庁「申請様式>③工事・使用開始」
https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/drs/ss_mokuteki03.html

労働基準監督署に「労災保険の加入手続き」を届け出る

個人事業の飲食店が専従者(経営者の家族・親族)以外にアルバイト・パートさんを雇用する場合、 労災保険については雇用人数が1人であっても加入が必要です。 最初の届け出は、雇用してから(保険関係が成立した日)の翌日から起算して10日以内に行なう必要があります。 届け出先は、お店の所在地を所轄する労働基準監督署か都道府県労働局になります。 なお、以後の労災保険料は全額事業主の負担になります。

参考:厚生労働省「労働保険制度(制度紹介・手続き案内)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/hoken/980916_1.html

まとめ

以上、本コラムでは個人事業主として飲食店開業・経営を始める際に必要となる主な資格や届け出・手続きを解説しました。 なお、お店の開業エリア・業態・特長によっては、これ以外にも届け出が必要になる可能性がありますので、 まずは開業を予定される地域の自治体窓口に相談されるとよいでしょう。 最後にまとめとして、このコラムでご紹介した各手続きを、開業までの時間軸で再整理してみましたので参考になさってください。

時期の例 所管先 手続きなど 概ねの費用
できるだけ早め 自治体・保健所 「食品衛生責任者資格」の取得 10,000円前後
内装工事時期 消防署 「防火対象物工事等計画届出書」等の届け出 無料
内装工事完了後 保健所 「食品営業許可申請営業許可」の届け出 16,000円~19,000円程度
営業開始10日前まで 警察署 「深夜酒類提供飲食店営業開始届出書」等の届け出 無料
営業開始後1ヵ月以内 税務署 「個人事業の開業・廃業等届出書」の届け出 無料
最初の雇用開始の翌日から10日以内 労働基準監督署 「労災保険の加入手続き」の届け出 (以後、労災保険料が発生)

なお、飲食店開業には物件探しと契約、内装工事や開業資金としての融資獲得も 上記スケジュールに加味してスムーズに進める必要があります。 飲食店開業をスムーズに進めるための全体の流れについては、 当サイト特設ページ「飲食店開業を検討されている方へ」で詳しく解説しておりますので、ぜひご覧いただければ幸いです。
https://tenpo.casio.jp/flow/opening/index.html

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