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飲食店は固定費の見直しで損益分岐点を下げよう

飲食店の経営では、売上に伴って増減する食材費や水道光熱費といった変動費と、売上の増減に関係なく必要となる融資の返済やお店の家賃の支払いといった固定費が発生します。固定費を引き下げることができれば、売上が落ちてしまった場合も利益を残しやすくなります。このコラムでは、飲食店における代表的な固定費と、具体的な見直し例を紹介します。

変動費

例えば、食材の仕入れは、来店が多いと想定されるときにはたくさん必要となり、逆に来店が少ないと想定される場合は少なくなります。
料理をたくさん調理する場合には、ガス代がたくさんかかります。出数が少ない場合には、ガスの使用量は減ります。
アルバイトのシフトも同様に、来店が多い場合は人数が必要で、来店が少なければ人数は少なくても対応できます。
このように、来店されるお客様数(≒売上)の増減に伴って増減する費用を変動費といいます。飲食店経営で一般的に発生する変動費には以下のようなものがあります。

変動費 具体例
食材費・・・
食材やドリンクの仕入れ
食材やドリンクの仕入れ費用です
水道光熱費・・・
電気代・ガス代・水道代
基本利用料部分を除く、従量料金部分は変動費になります
人件費・・・
アルバイト・パートへの給料
アルバイト・パートなど、労働時間に比例して増加する給料は変動費にあたります
消耗品費・・・
割り箸やおしぼりなどの消耗品費
割り箸やおしぼりなどは、お客様が多ければ消費も早くなる変動費です

固定費

例えば、6月の梅雨時は、お客様の足が鈍り一般的に飲食店の売上が下がる傾向がありますが、それに関係なくお店の家賃の支払いや、金融機関からの融資の返済は、他の月と同じように必要となります。
このように、来店されるお客様数(≒売上)の増減に関わらず発生する費用を固定費といいます。飲食店経営で一般的に発生する固定費には以下のようなものがあります。

固定費 具体例
支払家賃・・・
お店の家賃
お店を借りている場合の、家賃です
借入金(返済)・支払利息・・・
融資の返済
お金を借りている場合、毎月決まっている元本返済と利息の支払い額が固定費にあたります
通信費・・・
お店のネット接続費用
お店にWi-Fi環境を整備していて、その契約が固定の利用料である場合は、固定費になります(従量料金部分がある場合、その部分は変動費になります)
支払報酬・・・
税理士への顧問料
記帳代行などをお願いしている場合の、毎月の顧問料は固定費になります
人件費・・・
シェフ への給料
シェフを雇っていて、売上に関係なく月給を支払っている場合は、固定費になります
減価償却費・・・
厨房機器の減価償却
冷蔵庫やガスレンジなどの減価償却費も固定費に分類されます。ただ、他の固定費と違い実際の支払いは発生しないので、直接運転資金を圧迫しません

損益分岐点とは?

飲食店経営における損益分岐点とは、月毎に黒字と赤字がトントンになる売上金額をいいます。損益分岐点を売上が下回ってしまうと、その下振れ分だけ損失(赤字)が膨らみます。逆に上回ると、利益(黒字)を膨らませることができます。
図にすると、このような構図になります。

損益分岐点とは

このうち特に固定費を下げることができると、損益分岐点のハードルが大きく下がるので、売上が落ち込んでも利益を残しやすくなります。分かりやすくするため、ややデフォルメしていますが、具体的な金額でシミュレーションしてみましょう。

月商が半減した飲食店をイメージ

この例は、新型コロナウイルスに伴う緊急事態宣言の影響などで月商が半減した飲食店をイメージしています。固定費を見直さない場合は赤字となりますが、固定費を15万円引き下げることができると、損益分岐点売上について40万円分ハードルを下げることができ、黒字化できることになります。
では、各固定費を下げるには具体的にどのような手立てがあるか見ていきましょう。

お店の家賃

最近新規契約もしくは契約を更新した場合は難しい場合もありますが、契約更新時期が近い場合や、長期間契約していて大家側と信頼関係がある場合には、周辺店舗の家賃相場や契約期間の長短を交渉材料に家賃交渉することが考えられます。
大家側から見ると、店舗物件は退去されてしまうと次の貸し手を見つけるのが難しい側面があるため、一般の居住用物件として個別に交渉できる余地が大きいと考えられます。
店舗家賃は固定費の中でも大きな金額となり、資金繰りの上でも大きなプレッシャーとなりますので、できるだけ圧縮したいところです。交渉を代行してくれる専門業者もありますので、費用対効果に照らして必要に応じて利用を検討してもよいでしょう。

融資の返済

新型コロナウイルス影響に対する緊急経済対策として、金利がかかっている既存借入金を新型コロナウイルス感染症特別貸付(生活衛生新型コロナウイルス感染症特別貸付)に借り換えることができます。
新型コロナウイルス感染症特別貸付は、元本返済について5年以内の据え置きがあり、また最長3年間の特別利子補給制度(実質無利子)を利用できるため、既往債務借換により当面の借入金返済負担を減額することが可能です。

また、平時においても低金利が長く続き銀行間の貸出競争も激しいため、特に民間金融機関からの既存借入金がある場合は、有利な条件で借り換え可能か時々に検討されるとよいでしょう。

通信費

外国人観光客対応としてお店にお客様用無料Wi-Fi環境を導入したお店も多いかと思いますが、新型コロナウイルスの影響でインバウンド需要は減退しています。一般の日本人利用者にとって、無料Wi-Fi環境に接続すると自身が利用しているキャリア接続より通信が悪かったり、セキュリティー上の懸念があったりということで、あまり利用されていないケースも散見されます。

このため、特に「新しい生活様式」に伴い、以前よりお客様の滞在時間が短くなっているお店では、当面思い切って無料Wi-Fi環境の提供を止めるというのも有効と考えられます。また、予約のお客様との連絡用等のための携帯電話(スマートフォン)についても、大手通信キャリアのサービスを利用している場合には、MVNOのサービスに乗り換えることで、数千円のコストダウンが可能です。

税理士顧問料

税理士に記帳代行をお願いしている場合、月1~3万円程度の顧問料負担になっていることが多いようです。新型コロナウイルス影響によりアイドルタイムが長くなっている場合には、その時間を利用して自分で帳簿付けを行なうようにすると、固定費を大幅にカットすることが可能です。

スマホでレシートを撮るだけで自動仕訳

レシートや領収書をスマホで撮るだけで、解析エンジンを使って文字を認識し、最先端のAI技術で勘定科目を自動推測する事で、自動的に仕訳を行います。

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インターネットバンキングから通帳の明細を取り込むだけで自動仕訳

銀行の通帳内容はインターネットバンキングを経由して自動連携する形で仕訳が完了します。通帳の内容を1行1行確認しながら転記して仕訳する面倒を大幅に省けます。

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飲食店の毎日の営業で、よくあるシーンを選ぶだけで仕訳できる

取引シーンを一覧から、またはキーワードを入力して選んだりするだけで、選んだシーンに最もふさわしい勘定科目が自動でセットされます。難しい勘定科目が分からなくても大丈夫です。

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カシオのサービス対応レジを使っている場合は、レジの売上データなどを自動連携

対応するカシオのレジスターをご利用の場合、レジに付いているスマホアプリ「ECR+」や精算レシートに印刷されるQRコードを使って、レジの売上データを直接HANJO会計の仕訳として取り込むことができます。なお、カシオのレジをご利用になっていない場合、売上の仕訳は先ほどご紹介した「飲食店の毎日の営業で、よくあるシーンを選ぶだけで仕訳できる」を利用して仕訳します。

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※ECR+対応レジスター:SR-S4000、SR-C550、SR-S200、SR-G3
※QRコード対応レジスター:SE-30、TK-400、TE-400、TE-2700

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まとめ

以上、このコラムでは、飲食店における代表的な固定費と、具体的な見直し例を紹介しました。なお、飲食店における変動費のコントロールについては、以下のコラムで詳しく解説しておりますので、よろしければあわせて参考になさってください。

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