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定年後に喫茶店の開業を考えている方へ

定年後、退職金を元手に飲食店を開業したいなとお考えの方も多いようです。ですが、万一起業に失敗して生活が困窮してしまっては元も子もありません。そこでこのコラムでは、平均的なサラリーマンが定年後に飲食店の開業を検討される場合に押さえておきたいポイントを、喫茶店やそば屋など業態ごとの事例を交えて解説します。

まず、ご自身の老後生活資金を試算しよう

モデルケース

プロフィール

  • 職歴 ・・・ 大学を卒業して就職、65歳で定年
  • 家族 ・・・ 30歳時に25歳の妻と結婚。2人の子供は現在独立
  • 自宅 ・・・ 東京近郊(通勤圏内の近県)の住宅地の2階建て一軒家。4LDK。最寄り駅まで駅徒歩12分。ローンは完済

試算項目の説明

A) 年金受取額(年間・手取り) ・・・ 夫婦合算で280万円。マクロ経済スライドと年金財政事情が拮抗し仮に毎年0.5%ずつ上昇するものとする(本来マクロ経済スライドは毎年行なわれないが、試算の便宜上毎年計算とした)

B) 必要生活費(年間) ・・・ 夫婦合算で360万円。年当たり1%インフレが進行すると仮定

C) 金融資産 ・・・ 預貯金600万円 保険等200万円

D) 退職金  ・・・ 1,700万円

試算結果(退職後30年間)

試算結果(退職後30年間)

このモデルケースでの試算では定年後の73歳時点で金融資産はすべてなくなり退職金の取り崩しが必要となり、88歳時点でその残高もなくなり生活資金が底を突いてしまいます。もちろん、

A) 年金受取の見込み額が、この試算より多い または 少ない

B) 必要生活費をいくらで考えるのか ・・・ どの程度贅沢をするか?や、90歳近い段階で同じ水準である必要はないなどの判断、逆に子供や孫への比較的大きな支援支出も想定している 等

C) 金融資産として、株式など比較的インフレヘッジが可能なものを保有している

D) 退職金について、一部を資産運用する考えである

など、人それぞれ前提は異なりますし、様々なライフプランがあると思いますので、あくまでこの試算は一例となります。まずは冷静にご自身の老後に必要と想定される生活資金を試算してみましょう。例えば上記の試算ではB.必要生活費を300万円に抑制できる場合は、95歳時でもD.退職金はなお1,000万円残っている計算となります。
そして、飲食店開業を検討する場合には、上記の生活資金に時系列で対応する形で、開業費用について捻出可能な自己資金と借入規模を検討し、開業後の運転資金や借入金の返済も織り込み、万一経営に失敗した場合も生活費が底を突かない収支・資金計画を立てましょう。日本政策金融公庫はシニア起業家向け融資制度を低利で設定しているなどもありますので、そういった制度も上手に利用するとよいでしょう。

喫茶店・カフェの開業検討例

そして、喫茶店・カフェは、客単価や客数を引き上げるのが難しい業態です。大手チェーン店で、ケーキとコーヒーのセットが500円前後で提供されていて、一般の消費者にはそれくらいの「値頃感」ができてしまっています。それを覆すだけのメニュー開発や雰囲気作りというのは、並大抵ではありません。
そして、その客単価を実現しようとすれば、相当ゆったりとした寛ぎを提供する必要があるので、お客様の滞在時間が長くなることが想定され、客席回転数・客数増を望むことはできません。当サイトの売上シミュレーションでも、平均的なお店に比べて、(経営上の)優良店は、平均より客単価は低くなる一方、客数は3倍近い差があります。喫茶店は立地と回転で稼ぐ業態なのです。

結論として、個人で生きがいに近い形で長く続けられる喫茶店・カフェの開業を検討される場合には、老後の生活資金を見積もったうえで、居抜き物件の活用や自宅のリビングを改装するなど低コストでオープンし(この段階でお客数獲得のハードルは更にあがります)、人を雇うことなく、自身の体力に合わせて無理のない営業時間で開業されるというのが低リスクと考えられます。
食材やコーヒーなどの原価率は25%程度と比較的低く抑えられるので、収支は生活費を食いつぶさない程度の利益想定で、メインのお客様は知り合いが中心とし、お客様がいらっしゃらない場合は自身が寛ぐくらいの考えがよいかもしれません。いずれにしても、収支見込に照らして、内装や調度備品に徹底的にこだわる場合も面積・席数は少なめにするなど、過大な初期投資を避けることがポイントとなるでしょう。

そば・うどん店の開業検討例

そば打ち体験などをきっかけに、そばやうどん店を考えられる方もいらっしゃると思います。また、この業態を選択される場合は、想定しているお客様は知り合いだけではないというほうが多いでしょう。

この業態の店舗も、喫茶店同様、比較的和風の内装に費用がかかる傾向があります。さらに、喫茶店と異なる点としては、チェーン店に対応する必要上、国内産そば粉やてんぷら用の新鮮な食材などにこだわることが想定されるため、食材原価が膨らみがちです。

居酒屋・バーの開業検討例

廃棄ロスも少なく利益率の高いドリンクを主体とした小規模なバーは、利益を獲得するという点では可能性のある業態のひとつといえるかもしれません。一旦軌道に乗れば対応するスタッフを調整して人件費を半固定化し、ウイスキー・カクテル・焼酎の割り物を主体に食べ物は乾きものとなりますので、ほぼ原価割れリスクなく、人間関係に専念し固定客の定着に注力すればよいというビジネスモデルになります。
さて、定年後に居酒屋やバーを開業する場合には“なにを集客の動機付けに据えるか”という点が最大のポイントとなり、それはそのままお店のコンセプトを形作ることにもなるでしょう。ターゲットと立地の掛け合わせなどで様々な可能性が考えられますが、例えば、和洋折衷のコンセプトの店舗を構え、お酒は現役時代の人脈を駆使して希少な銘柄を揃えると同時に、堪能な語学力を活かして海外の缶詰などを調達して提供するといったことができるキャリアやバックボーンがあるとすれば、一般の飲食店にはたやすく真似できない差別化になります。現役時代から開業を考え始めているのであれば、その時期から準備ができればスムーズでしょう。

まとめ

以上、このコラムでは、定年後に飲食店開業を考える場合に押さえておきたいポイントを検討されることが多い業態の例を交えて解説しました。基本的には、自身の生活費を保守的に見積もって、過大なリスクを取らない事が最重要と考えられます。また、アフターコロナに向かってご自身が検討している業態や商圏が中長期的にどのようなトレンドになっていくかも見極める必要があるでしょう。

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