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コロナ倒産!飲食店が知っておきたい債務整理の特例

2020年11月のNHK報道などによると、新型コロナウイルスの影響により飲食店の倒産が過去最多ペースで増加しています。公的手続きとして、個人事業主の飲食店で開業融資の返済が困難な場合には「特定調停手続」「再生手続」を検討し、なお見通しが立たない場合は法的倒産手続である「破産手続」に至ることになります。
「破産手続」まで至ってしまうと、99万円までの現金や家財道具などしか手元に残すことができず、自宅を所有している場合は手放さなければなりませんが、2020年12月1日から「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」を新型コロナウイルス感染症に適用する場合の特則が開始されました。

制度概要

「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」を新型コロナウイルス感染症に適用する場合の特則(以下、このコラムでは「本ガイドライン」といいます)は、破産手続等の法的倒産手続によらず、特定調停手続を活用した債務整理により債務免除を行うことによって、債務者の自助努力による生活や事業の再建を支援することを目的としています。

本ガイドラインが2020年12月1日から適用開始されたため、本来「破産手続」に相当する個人事業主でも、金融機関などの債権者による住宅ローン以外の債務の免除・減額について、「特定調停手続」で相談できることが期待されます。

破産手続との比較

通常、飲食店が倒産し「破産手続」の止む無しに至った場合、破産手続開始の時に債務者が有する財産は債務返済のための換価の対象となって債権者への配当(返済)に充てられます。基本的に個人事業主の場合は、お店の厨房機材やテーブルなどの備品に加え、自宅を所有している場合は、それも換価の対象となりますので手放さなければなりません。店舗に加え私有物を手放すことで債務を清算し、なお残った借金等の支払義務が「破産手続」とセットの「免責手続」によって免除されることになります。

なお、債務者が破産手続開始後も生活を継続できるよう、99万円までの現金と家財道具などは換価の対象から除かることになっています。この一定の財産は「自由財産」といわれています。また、自動車については裁判所が生活に必要と認めた場合は、自由財産の範囲を拡張する形で換価の対象外になる可能性があります。以上が破産手続でも手元に残る主なものです。
また、破産手続を行なうと信用情報の事故情報に10年間登録されるため、その間、クレジットカードの利用や割賦支払いができなくなります。信用取引ができなくなってしまうので、別のお店を始めることも難しくなります。

一方、本ガイドラインに沿った「特定調停手続」では

  • 住宅などの財産の一部を手元に残せる(個別事情により異なる場合あり)
  • 個人信用情報に登録されない
  • 弁護士等による専門家の手続支援を無料で受けられる

といったメリットがあります。
以下、公式サイトから本ガイドラインに沿って手続きを進める場合のポイントを見ていきましょう。

適用要件

本ガイドラインに沿って免除・減債を申し入れることのできるのは、以下の債務とされています。

  • 2020年2月1日以前に負担していた既往債務
  • 2020年2月2日以降、本特則制定日(2020年10月30日)までに新型コロナウイルス感染症の影響による収入や売上等の減少に対応することを主な目的として以下のような貸付等を受けたことに起因する債務
  1. ① 政府系金融機関の新型コロナ感染症特別貸付
  2. ② 民間金融機関における実質無利子・無担保融資
  3. ③ 民間金融機関における個人向け貸付

また、以下に該当し説明できる準備が必要です。

  • 新型コロナウイルス感染症の影響により収入や売上げ等が減少したこと(具体的には、基準日以前の収入や売上等に比して自然災害ガイドライン第6項(1)の債務整理開始申出日時点における収入や売上等が減少していること)によって、住宅ローン、住宅のリフォームローンや事業性ローンその他の本特則における対象債務を弁済することができない又は近い将来において本特則における対象債務を弁済することができないことが確実と見込まれること。
  • 弁済について誠実であり、その財産状況(負債の状況を含む。)を対象債権者に対して適正に開示していること。
  • 基準日以前に、対象債務について、期限の利益喪失事由に該当する行為がなかったこと。ただし、当該対象債権者の同意がある場合はこの限りでない。
  • 本特則に基づく債務整理を行った場合に、破産手続や民事再生手続と同等額以上の回収を得られる見込みがあるなど、対象債権者にとっても経済的な合理性が期待できること。
  • 債務者が事業の再建・継続を図ろうとする事業者の場合は、その事業に事業価値があり、対象債権者の支援により再建の可能性があること。
  • 破産法(平成 16 年法律第 75 号)第 252 条第1項(第 10 号を除く。)に規定する免責不許可事由がないこと。
  • 反社会的勢力ではなく、そのおそれもないこと。

手続きの流れ

本ガイドラインに沿った手続きの流れは、以下の通りです。

  1. 最も多額のローンを借りている金融機関等へ、ガイドラインの手続着手を希望することを申し出ます。
  2. 上記1.の金融機関等から手続着手について同意が得られた後、地元弁護士会などを通じて、自然災害被災者債務整理ガイドライン運営機関に対し、「登録支援専門家」による手続支援を依頼します。
  3. 金融機関等に債務整理を申し出て、申出書のほか財産目録などの必要書類を提出します(書類作成の際、「登録支援専門家」の支援を受けることができます)。債務整理の申出後は、債務の返済や督促は一時停止となります。
  4. 「登録支援専門家」の支援を受けながら、金融機関等との協議を通じて、債務整理の内容を盛り込んだ書類(「調停条項案」)を作成します。
  5. 「登録支援専門家」を経由して、金融機関等へガイドラインに適合する「調停条項案」を提出・説明します(金融機関等は1カ月以内に同意するか否か回答します)。
  6. 債務整理の対象にしようとする全ての借入先から同意が得られた場合、簡易裁判所へ特定調停を申し立てます(申立費用は債務者負担となります)。
  7. 特定調停手続により調停条項が確定すれば債務整理成立です。

まとめ

新型コロナウイルスの影響による売上低迷から回復の見通しが立たず、お店の家賃が高額などといったように固定費が採算を逼迫し続けている場合には、傷が浅いうちにいったんお店を清算し、いったんなんらかの従業をしながら新たな業態や商圏を検討し再起を期すという判断もありえるでしょう。本ガイドラインの適用開始により、金融機関などもより相談を柔軟に受け付けるようになると想定されます。

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