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飲食店のキャッシュレス決済導入のポイント

2019年のキャッシュレス・ポイント還元事業や、コロナ禍にあって非接触が好まれたことから、キャッシュレス決済比率は2021年には30%を超えると思われます。一方で、急速に広まったコード決済について、店舗への加盟店手数料有料化が見通されています。そこでこのコラムでは、キャッシュレス決済の導入や見直しについてのヒントをまとめました。

キャッシュレス決済の種類

このコラムをご覧いただく前提として、キャッシュレス決済の種類についておさらいしておきます。このコラムでは経済産業省や一般社団法人キャッシュレス推進協議会などが用いている種類にて整理しています。
なお、個別には電子マネー型であるがクレジットカードと紐づけることで後払い型として利用できるなど、整理の範囲を超えて使用できるものもあります。

種類 特徴 代表的なブランド例 小規模飲食店における決済手数料の目安
クレジットカード 商品やサービスを受け取った後から支払い請求が来る、後払い式の決済手段。
新しくカードを作るためには与信審査が必要
  • VISA
  • JCB
  • MasterCard
決済金額の
3~6%
デビットカード 商品やサービスの購入時に使用すると代金が銀行の口座から即時に引き落とされる、即時払い式の決済手段。
新しくカードを作る際の与信審査は不要
  • 各金融機関のデビット機能付きキャッシュカード
  • 銀聯(Union Pay)
決済金額の
2~3%
電子マネー
(プリペイド)
カードに事前に金額をチャージしておき、商品やサービスの購入時にチャージ額から支払う、前払い式の決済手段。
新しくカードを作る際の与信審査は不要
  • Suica
  • PASMO
  • 楽天Edy
  • iD
  • QUICPay
決済金額の
3~5%
コード決済 スマートフォンにクレジットカード、電子マネー、銀行口座などを登録し、QRコードやバーコードの表示で決済を行なう決済手段
  • PayPay
  • LINE Pay
  • 楽天Pay
  • d払い
決済金額の
2~4%
※2021年6月時点は多くのブランドで無料

全体の普及感としては一般社団法人キャッシュレス推進協議会が年度ごとに公表しているキャッシュレス・ロードマップで確認することができます。

来店者の要望が最優先

さて、たくさんあるキャッシュレス決済手段とブランドのうち、お店に導入すべき、または残すべきキャッシュレス決済はどれかという点ですが、最優先として考えたいのは、実際にお店に来店くださっているお客様の要望です。実際のお会計の際に「クレジットカード使えますか?」「●●pay使えますか?」と聞かれる頻度が高いものということになります。
ただ、例えばこれから開業したり、別業態の新店を出したりといった場合には、こういった手がかりが少ないため、まずは以下を参考にするとよいでしょう。

地域別利用動向

先ほどご紹介した「キャッシュレス・ロードマップ」には、都道府県別のキャッシュレス決済利用割合が紹介されています。2019年時点のデータとしては関東圏でも東京・神奈川・千葉の3都県ではキャッシュレス比率が30%を超える一方、相対的に北関東県は比率が低く、群馬県では20.5%と極端に低くなります。
また、北日本や九州では20%が下回る県が多く見受けられるものの、その中でも北海道、宮城、福岡などが20~30%と突出するのは、観光客による利用が影響しているものと考えられます。

基本的には、各地とも今後キャッシュレス決済の比率は上昇していくと考えられますが、出店するエリアやターゲットによっては、少なくとも開店当初においてキャッシュレス決済に対応するか否かの優先度は異なるといえるでしょう。

出店エリア キャッシュレス決済対応の相対的優先度
都市部 高い
地方 低い
観光地 高い

年代別・性別利用動向

年齢 相対的な傾向 考察
20代
  • クレジットカードの比率がやや低い
  • 電子マネー・コード決済の利用比率が高い
クレジットカード所有について、与信にややハードルがある。
スマホ操作等が苦とならない世代である
30~40代
  • クレジットカードの利用比率が高まる
  • 電子マネー・コード決済の利用比率も高い
シーンに応じてもっともお得な決済を使い分けていると考えられる
50~60代
  • クレジットカード・電子マネーの利用比率が高い
  • コード決済の利用比率がやや下がる
複雑なスマホ操作はやや親和性が低くなっていくと考えられる
70代以上
  • 現金の使用比率が高い
  • キャッシュレス決済としてはクレジットカードの利用比率が高い
経験したことのない新しい決済手段は、あまり受け入れられない
  • 男性20代~30代と、女性60代がキャッシュレス決済に積極的である
  • 男性60代と、女性20代が現金の利用比率が高い

という結果になっています。

客単価別利用動向

種類 平均決済単価
クレジットカード 約4,600円
電子マネー 約1,100円
コード決済 約1,000円

ただし、この集計はキャッシュレス・ポイント還元事業における小売店、ネットショッピング含む取引が元になっています。飲食店に絞ったものとしては、先ほどご紹介した日本政策金融公庫「外食に関する消費者調査結果(飲食店でのキャッシュレス決済の意向・利用状況)」
に記載の“4.飲食店でキャッシュレス決済を利用する金額の基準”が手がかりになりそうです。
電子マネーとコード決済は、事前のチャージ限度額の制約もあり概ね1,000円未満の決済で多用されているようです。1,000円以上の支払いでは、クレジットカードでの支払いのほうが多くなるようです。

先ほどご紹介した、年齢別・性別利用動向と、金額別利用動向を組み合わせると、キャッシュレス決済導入検討の相対的優先度は、ターゲットと客単価に応じて、以下のような組み合わせになりそうです。

  ターゲット年齢:低い ターゲット年齢:高い
客単価:低 コード決済、電子マネー 電子マネー
客単価:高 クレジットカード クレジットカード

キャッシュレス決済比率は増えていく

ここまで様々な観点から現状としてキャッシュレス決済を導入・見直す上での検討材料をご紹介してきましたが、キャッシュレス決済比率を2025年に40%前後、将来的に80%とすることが国策として目指されています。給与の支払い方法に関する規制緩和や、各社がサービスを進化させる中で、年代別や金額別の利用動向も変化していくでしょう。各関係省庁からの情報発信は今後も継続して行われると想定されるので、検討の際は、その時点の最新の動向や流行にも注意を払うようにしてください。

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