- メニュー作り
天気・気象情報を季節メニュー検討に活かそう!
雨の日は飲食店の客足が鈍るので、毎朝天気予報を確認しシフトを調整されたり、「雨の日キャンペーン」を考えたりといったように、飲食店の経営者は天気に敏感です。このコラムでは天気、気象情報をメニュー検討に活かすヒントをまとめています。
雨の日キャンペーン
雨の日、お客様は外出自体が億劫になるため、来店するお客様が少なくなります。昨今はデリバリーサービスが充実したこともあり、さらに客足は鈍くなりがちです。
そこでラーメン屋であれば”雨の日はトッピング1品無料”、居酒屋であれば”雨の日はドリンク1杯無料”、ポイントカードを発行しているお店であれば”雨の日はポイント2倍”といったように、雨が降るとお得になるお店ということで来店の動機づけを行なう「雨の日キャンペーン」施策が考えられます。
アイスクリームが売れ始める気温は地域で違う?
平成28年に気象庁が公開した「スーパーマーケット及びコンビニエンスストア分野における気候リスク評価に関する調査報告書」というものがあります。
なんだか難しそうなタイトルで、実際難しいことも記載されていますが、主旨としてはどんな商品がどんな気温だと売れる(売れない)ようになるので販促や欠品対策に活用してほしいという内容で、スーパー・コンビニエンスストアにおける調査ですが、飲食店がメニューを考えるうえでも非常に参考になります。同報告書から、特に興味深く、メニューを考えるうえで参考になりそうなことをご紹介します。
春から夏にかけて気温が上がっていく時期(昇温期)にアイスクリームの売上が伸びていくことは、感覚的にも違和感がないと思いますが、同報告書ではその分岐点となる気温は、地域によって差があるということが示されています。
具体的には、福岡では気温が29℃に達すると伸びるアイスクリームの売り上げは、仙台では25℃で伸びるようです。札幌に至っては、21℃でかき氷用シロップが売れるようになります。気温の感じ方は、地域毎の平均的な気候に対して相対的であるということが言えると思います。
昇温期における基準温度一覧
青字は販売数が急減するまたは増加がとまる気温が抽出された品目
スーパーマーケット | コンビニエンスストア | |||
---|---|---|---|---|
札幌 | 21℃ | シロップ_かき氷用 | 16℃ | デザート類_ゼリー |
仙台 | 8℃ |
つゆ_鍋用 インスタントシチュー チョコレート |
25℃ |
ファミリーアイス スポーツドリンク |
17℃ | コーヒードリンク | |||
25℃ |
シロップ_かき氷用 ファミリーアイス スポーツドリンク |
|||
東京 | 11℃ | チョコレート | 26℃ | スポーツドリンク |
15℃ | つゆ_鍋用 | |||
26℃ |
スポーツドリンク ビール |
|||
大阪 | 12℃ |
つゆ_鍋用 インスタントシチュー |
なし | |
28℃ | シロップ_かき氷用 | |||
福岡 | 12℃ | チョコレート | 30℃ |
デザート類_ゼリー ファミリーアイス |
14℃ | つゆ_鍋用 | |||
29℃ |
シロップ_かき氷用 ファミリーアイス スポーツドリンク |
図表出所:気象庁報告書
また、チョコレートは昇温期の東京において、気温が11℃に達すると売上が鈍化し、逆に秋から冬にかけて気温が下がっていく時期(降温期)では、気温が15℃まで下がってくるとこちらも売上が鈍化するようです。
では、チョコレートが一番売れるのは結局いつなのかということですが、暑さのピークと考えられる8月のお盆時期を底に、10月の終わりくらいまでにかけて気温の下降とともに売り上げが伸びるが、気温が15℃を下回ると伸びは鈍化、以降、気温より大きな要因として12月にクリスマス、2月にバレンタインということで売り上げが伸びているようです。
図表出所:気象庁報告書
デザートメニューのPOPと掲載時期例
以上でご紹介した品目の売上傾向は、デザートメニューを検討するうえで参考になると思います。例えば、仙台市では例年7月に最高気温の平均が26℃になっているようです。6月の後半から25℃を超える日が増え始めると想定されることから、6月の前半期には、アイスデザートの商品を、店内POPなど販促の準備も含めて完了できるとよいでしょう。
自店としての分析精度を高めよう
ここまでは一般的な気温と一般的な商品の売上傾向の例をご紹介してきましたが、飲食店は個々に業態に加え、お客様層や客単価設定が異なります。自身のお店において、どんな気候の時にどんな商品をどのような打ち出しで販売し、その結果として出数を増やすことができたかどうかの履歴を残すことが重要です。ここから成功例を抽出していくことで、訴求の方法や新メニューの開発の成功確度を高めていくことが必要です。
当サイトでご紹介している飲食店専用クラウド会計ソフト「HANJO会計」では、ただ日々の売上を確定申告用データとして仕訳できるだけでなく、客数客単価に加えその日の天気やお店の状況を履歴として残せる機能がついており、いつでも簡単に営業状況や施策の振り返りを行なうこともできますので、よろしければご活用ください。