- 事務処理・確定申告
キャッシュレス決済による売上はどう仕訳したらよいの?
本コラムではお客様がキャッシュレス決済でお支払いをなさった際、飲食店側で必要となる一般的な仕訳処理について解説しています。
クレジットカードもQRコード決済も考え方は概ね共通
このコラムをご覧いただく前提として、キャッシュレス決済の種類についておさらいしておきます。このコラムでは経済産業省や一般社団法人キャッシュレス推進協議会などが用いている種類にて整理しています。
なお、個別には電子マネー型であるがクレジットカードと紐づけることで後払い型として利用できるなど、整理の範囲を超えて使用できるものもあります。
種類 | 消費者から見た特徴 | 代表的なブランド例 |
---|---|---|
クレジットカード |
商品やサービスを受け取った後から支払い請求が来る、後払い式の決済手段。 新しくカードを作るためには与信審査が必要 |
|
デビットカード | 商品やサービスの購入時に使用すると代金が銀行の口座から即時に引き落とされる、即時払い式の決済手段。 新しくカードを作る際の与信審査は不要 |
|
電子マネー (プリペイド) |
カードに事前に金額をチャージしておき、商品やサービスの購入時にチャージ額から支払う、前払い式の決済手段。 新しくカードを作る際の与信審査は不要 |
|
コード決済 | スマートフォンにクレジットカード、電子マネー、銀行口座などを登録し、QRコードやバーコードの表示で決済を行なう決済手段 |
|
このように大きく4つの分類のキャッシュレス決済がありますが、お店側への入金という観点で見ると消費者側の事情と異なり、デビットカード決済含め、お客様がキャッシュレス決済でお支払いなさった代金が実際にお店の預金口座に入金されるのは、サイクルの長短はあるにせよ、いずれも後日という点で共通します。
よって、仕訳上の取り扱いとしては共通して、お客様によるお会計時にいったんその分を「売掛金」として計上し、預金口座に入金された時点で「売掛金」を消し込むという考え方となります。
なお、将来的にお客様がお会計した時点で即座に入金されるサービスが登場し、それを利用した場合には、「売掛金」ではなく直接預金残高に反映させる仕訳が必要になります。
キャッシュレス決済の仕訳例
それでは、飲食店にてよくありそうなケースを例に、具体的にキャッシュレス決済による仕訳例を説明します。
-
例題
- お客様が税込で3,000円分の食事をなさって、A社のキャッシュレス決済でお支払いになった。
- 後日A社より2,900円の入金と、手数料100円の通知があった。
-
仕訳例(税込会計)
-
キャッシュレス決済での支払いを受け付けた段階で、A社に対して売掛金を計上します
借方 貸方 売掛金(A社) 3,000円 売上 3,000円 -
A社からお店の預金口座に入金があったら、計上してある売掛金を消し込みます。決済手数料や入金手数料が差し引かれている場合は、差分をお店の費用として計上します
借方 貸方 普通預金 2,900円
支払手数料 100円売掛金(A社) 3,000円
-
キャッシュレス決済での支払いを受け付けた段階で、A社に対して売掛金を計上します
共通ポイントプログラムの仕訳例
販売促進の一環でお店が各社の共通ポイントプログラム(例:当店でB社のQRコード決済をご利用なさると、B社のポイントが貯まる・使える)を導入している場合は、ポイント分についても仕訳が必要になります。
前提となる共通ポイントプログラム内容
- B社が運営する共通ポイント制度は、会員が加盟店で100円(税込)の商品を購入するごとに1ポイントが付与。加盟店はポイント付与分の金銭をB社に支払う。
- 1ポイントは1円相当で、加盟店の商品の購入に使用できる。ポイント使用分にはポイントが付与されない。加盟店はポイント使用分の金銭をB社から受領する。
例題1.
- お客様が税込2,000円分の食事をされ、B社のQRコード決済で支払った。共通ポイントプログラムとして1%分のポイント付与を行なった
解説1.
- 2,000円分の売掛金計上と同時に、ポイント付与分を費用として計上する
借方 | 貸方 |
---|---|
売掛金(B社) 2,000円 ポイント費用 20円 |
売上 2,000円 未払金(B社) 20円 |
例題2.
- 例題1の取引に対応して、ポイント負担部分と手数料を差し引いた1,900円がお店の普通預金に入金された
解説2.
- 売掛金と未払金を、手数料も加味した形で消し込む
借方 | 貸方 |
---|---|
普通預金 1,900円 未払金(B社) 20円 支払手数料 80円 |
売掛金 2,000円 |
例題3.
- お客様が税込2,000円分の食事をされた。B社ポイント600円分をご利用の上で、残額1,400円分をB社のQRコード決済で支払われた。
解説3.
- 1,400円部分はB社への通常の売掛金、ポイント利用の600円部分は未収金として処理します
借方 | 貸方 |
---|---|
売掛金(B社) 1,400円 未収金(B社) 600円 |
売上 2,000円 |
例題4.
- 例題3の取引に対応して、手数料を差し引いた1,920円がお店の普通預金に入金された
解説4.
- 売上金と未収金を、手数料も加味した形で消し込みます
借方 | 貸方 |
---|---|
普通預金 1,920円 支払手数料 80円 |
売掛金(B社) 1,400円 未収金(B社) 600円 |
まとめ
以上、本コラムでは飲食店がキャッシュレス決済での支払いを受け付けた場合に必要と想定される仕訳例についてまとめました。 なお、本サイトで紹介しているHANJO会計では、豊富なFAQや操作のナビゲーション機能を備えており、このような複雑な仕訳処理についても実務に即して分かりやすくサポートしておりますので、よろしければご利用ください。サービスの詳細はこちらからご覧いただけます。
300以上の取引シーンを用意!
取引シーンやキーワードを入力するだけで、難しい勘定科目も自動でセットされ、勘定科目が分からなくても大丈夫です。