- 事務処理・確定申告
飲食店の「開業費」該当するもの、しないもの
飲食店開業の準備のために要した支払いについて適切に「開業費」として計上しておくと、のちにお店が大きく儲かった年や僅かに黒字の年など、状況に応じて任意償却することができ納税額を抑えることができます。このコラムでは、個人事業主として飲食店を開業準備する際に想定される支払いの「開業費」計上について、具体的に解説します。
「開業費」の計上可能期間
法人の場合は、登記手続きにより認定された「会社成立の年月日」を起点に、実際の営業活動を開始する日までに要した支出のうち、認められるもののみを「開業費」として計上できます。
一方で、本コラムで解説する個人事業主の飲食店の場合、 “開業の準備行為を開始した日”から実際にお店をオープンし開業届に記入する「開業日」までが、開業費の計上期間として認められます。
したがって、個人事業主として開業を考え始め、例えば起業セミナーに参加したならば、その参加費や交通費などの領収証や記録を残しておくように心がけ、後日実際に開業した際に“本当に開業準備のために使った支払い”であると客観的に説明できるようにしておきましょう。
「開業費」に該当するもの、しないもの
さて、「開業費」として認められるのは、下記の3つの要件を満たす支払いです。
- 事業に関する費用であって、かつ、支出の効果が1年以上に及ぶもの
- 資産の取得に要した費用もしくは、前払費用でないこと
- 開業準備のために特別に支出した費用であること
当サイトHANJO TOWNでは、飲食店開業を検討されている方を応援する特設ページ「飲食店開業を検討されている方へ」で、飲食店開業準備を一般的な流れに沿って解説しています。
そこで、上述の要件と飲食店開業のステップとをあわせて考えた際に、「開業費」に該当すると考えられるものと、特によく間違われがちな「開業費」として計上できないものの具体例を示します。
各事業主の「開業費」にあたるかどうかについては、上記3要件で判断しますのであくまで参考としてください。
STEP | STEP概要 | 想定される支払いのうち 「開業費」に該当すると考えられるもの | 想定される支払いのうち 「開業費」に該当しないと考えられるもの |
---|---|---|---|
1-1 | 店舗コンセプト検討 |
|
|
1-2 | 物件探し |
|
|
1-3 | 資金調達 |
|
|
1-4 | 料理・メニュー開発 |
|
|
1-5 | お店のホームページ検討 |
|
|
2-1 | 内外装施工 |
|
|
2-2 | 厨房設備 |
|
|
2-3 | 食器/備品購入・準備 |
|
|
2-4 | 各種経営分析サービス加入 |
|
|
2-5 | 各種許認可申請食材などの仕入れ先開拓 |
|
|
3-1 | 人材採用/面接 |
|
|
3-2 | 人材教育 |
|
|
3-3 | 集客のための販促 |
|
「開業費」の任意償却活用イメージ
上記のようなお店の開業準備費用の合計額が、税法上の繰延資産としての「開業費」となり、決算の時に任意の金額を償却して経費とすることができます。具体的な活用イメージを示します。
- 開業1年目
- お店が幸い黒字という場合でも、手持ちの現預金は潤沢ではないケースも多いと思われます。開業費の任意償却の額を調整して計算上損益均衡とすることで納税負担をゼロにすることができます。
- 開業3年目
- お店が想定以上に繁盛し、大きな利益を上げている場合に、開業費を一挙に任意償却することで、税負担を大きく減らすことができます。
なお、青色申告をしている場合は赤字を3年間損失繰越できますが、開業費を1年目にて全額償却して赤字になってしまった場合、青色申告特別控除は適用できないので注意しましょう。
まとめ
以上、このコラムでは個人事業主として飲食店を開業準備する際に想定される支払いの「開業費」計上について、具体例を交えて解説しました。
なお、本サイトHANJO
TOWNでご紹介している飲食店に儲かるヒントまで提供する専用クラウド会計サービス「HANJO会計」は、開業費の計上や償却計算に加えて、その活用例についても実例に即した豊富なFAQでサポートします。
利用料金は申込の翌月末まで無料で、ご満足いただけない場合は無料期間内に解約すれば一切料金はかかりませんので、よろしければお試しください。サービスの詳細はこちらからご覧いただけます。