- 事務処理・確定申告
飲食店の帳簿付け~「摘要」欄の記載例~
飲食店を経営している場合、確定申告のためにレジの精算内容や仕入時のレシートを元に帳簿付けを行なうことが多いと想定されます。この際、帳簿にある「摘要」という欄には何を書けばよいのでしょうか?飲食店専用クラウド会計ソフト「HANJO会計」による例を交えて解説します。
国税庁「個人で事業を行っている方の記帳・帳簿等の保存について」
国税庁「個人で事業を行っている方の記帳・帳簿等の保存について」というページでは、個人事業主が帳簿に記載すべき事項や保存について説明されており、詳細を解説したパンフレットもダウンロードできるようになっています。
飲食店経営は基本的に事業所得になりますので、パンフレットのうち、帳簿の記帳のしかた(事業所得者用)を見てみましょう。
同パンフレットは、所得税法施行規則とそれに関連する大蔵省告示の内容を踏まえた記帳方法を平易に解説した内容であり、その3ページでは、記帳の記載事項を以下のように説明しています。
そして、「記載事項」欄内の番号は、4ページから5ページに掲載の帳簿の様式例に対応すると説明しています。実際に掲載されている様式は白色申告用の下記のようなものです。
以上から、摘要欄には「(取引の)事由・相手方の名称」を記載する必要があります。
青色申告の場合は複式簿記による記帳となるので、同パンフレットでは「相手勘定科目・(取引の)事由・相手方の名称」を摘要欄に記入した記載例が紹介されています。以上が摘要欄に記載すべき内容です。
なお、帳簿の様式や種類については、特に定めはありませんが、個々の取引の実態に応じて作成することが必要と説明されています。したがって、この後説明する一般的な会計ソフトでは摘要欄とは別に独立した勘定科目の記載欄が設けられているケースもよく見かけられます。
会計ソフトによる記載イメージ
さて、会計ソフトを利用して帳簿付けを行なう場合、ほとんどのソフトでは、以下が用意されています。
- ① 一般的に使われる勘定科目 一覧
- ② 一般的に想定される取引事由 一覧
- ③ 自由に追加登録できる取引先 一覧
①②は自分の事業にあわせて微調整、③はソフトを使用するにあたってあらかじめ登録しておくことで、日々の入力は各一覧から選ぶだけで簡単に行うことができ、帳簿付けについては、入力内容が自動的に帳簿の各欄に印刷されるようになっています。
以下、当サイトで紹介している、飲食店専用クラウド会計ソフト「HANJO会計」における入力画面と、帳簿印刷のイメージです。
帳簿の摘要欄には、取引先と取引事由が印刷され、勘定科目欄に勘定科目が印刷されるようになっていることがお分かりいただけるかと思います。
「HANJO会計」における摘要
帳簿付けにおける摘要欄の記載内容と、一般的な会計ソフトでどのように対応されているかは、ここまで説明した通りですが、当サイトで紹介している飲食店専用クラウド会計ソフト「HANJO会計」では、上記②:一般的に想定される取引事由一覧について、飲食店で想定される300以上の取引シーンが平易な表現であらかじめ登録されており、それを選択することで、対応する勘定科目が自動的に当てはまるようになっています。勘定科目が分からなくても帳簿付けができるよう工夫されています。
300以上の取引シーンを用意!
取引シーンやキーワードを入力するだけで、難しい勘定科目も自動でセットされ、勘定科目が分からなくても大丈夫です。
消費税の課税事業者における記載
消費税の課税事業者の場合は、仕入税額控除の適用を受けるために、摘要欄などを利用して消費税に関する事項を記帳する必要があります。特に軽減税率の対象となる取引がある場合は、区分経理に対応した帳簿付けを行う必要があります。
現在、ほとんどの会計ソフトでは帳簿の対象取引の1行1行に「軽減税率対象品目」と印刷するのではなく、摘要には「※」などの記号を印刷し、帳簿の欄外に「※は軽減税率対象品目」と印刷する対応が採られています。国税庁のガイドラインに沿った方法として認められており、HANJO会計でも消費税の課税利用者が帳簿印刷する場合には、同様の印刷が行われるようになっています。
以下は、国税庁が配布している、消費税の軽減税率制度に対応した経理・申告ガイド 〈令和元年6月〉に掲載されている帳簿の記入例です。