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既存の飲食店が商圏分析を活用して戦略的に経営を行う方法
飲食店は商圏に合わせた店舗づくりが重要です
ダーウィンの進化論では「生物が生き残るためには、最も強い者でもなく、最も賢い者でもなく、変化できる者である」と説いています。
企業は、法律においては法人と定義されており、人(生物)として見ることができます。そのため、ダーウィンの進化論のとおり、企業が生き残っていくためには、変化をしなくてはいけません。また、変化とは企業を取り巻く環境に合わせて適応していくことと捉えることができます。
飲食店は、店舗を構えるビジネスモデルですので、外部環境として商圏内のお客様や競合店があげられます。また、内部環境として自社の経営資源があげられます。そうすると、飲食店が生き残るためには、外部環境である商圏内のお客様や競合店に対し、自社の経営資源を活用した戦略を立案して適応していくことが重要になります。
別のコラム(「飲食店経営に役立つ商圏分析の方法」)で、「政府統計の総合窓口e-Stat」の中に収録されている「地図で見る統計(jSTAT MAP)」を使用して、商圏分析の図の作成方法や必要な情報の集め方をご紹介させて頂きました。
そこで今回は、既存の飲食店が環境に適応するために、商圏分析を活用して戦略的に経営を行う方法をご紹介させて頂きます。
商圏分析の地図を活用しよう
前回に作成しましたカシオ本社を中心とした半径500mの商圏分析の地図を活用して戦略を考えてみましょう。以下のポイントを参考にしてみて下さい。
①お客様の交通の利便性
カシオ本社では、南側と東側に大型道路があり、お客様の移動の負担や心理的な遠さになるので、ターゲットとしての優先度は下がりそうです。そのため、北西部の移動がしやすいエリアのお客様をメインターゲットに設定してもよさそうです。例えば、チラシ配布の優先的エリアにしたり、住居と駅の動線上の店前通行量が多い場合には店頭の看板で訴求したりしても集客が見込めそうです。
②大型施設
最寄駅の初台駅から東側に大型施設があり、そこに向かうお客様の動線が駅から東側になると予想されます。そのため、駅から西側にあるカシオ本社は、お客様の動線上に立地しておらず、集客が期待しにくいです。また、お客様は遠方から移動してくることが予想されます。お客様の動線上に立地しておらず遠方で接点が持てないため、インターネット上でのプロモーションを強化して集客を図りたいです。
③競合店
カシオ本社では、立地として南側に大型道路があり、お客様の移動の負担になるため、大型施設内に立地している1番と2番が優先度の高い競合店になりそうです。
競合店においては、実際に行ってみて食事をして、商品、店舗づくり、接客、プロモーションなどの視点や、お客様を見てターゲット層を把握したいです。なるべく自店とターゲット層をすみ分けることで、競争を回避したいです。もし、自店のターゲットと重複する場合は、シェアを奪い合う関係になるので、自店の強みを伸ばして優位な勝負をしたいです。
商圏分析のデータを活用しよう
前回に作成しました、カシオ本社を中心とした半径500mの商圏分析のデータを活用してみましょう。既存店の経営戦略の立案に役立つ情報を抽出してみました。
1次商圏(半径500m |
数値 |
---|---|
最寄駅の乗降客数 |
1日約66,000人 |
昼・夜人口差 |
昼は夜の約2.4倍 |
人員別世帯数 |
単身世帯は約66% |
年齢別・性別人口数 |
男女共に30代が多い |
①最寄駅の乗降客数
カシオ本社は、最寄の初台駅の乗降客数が1日約66,000人とボリュームがあります。立地が駅に近いため、店前通行者に対して店頭の看板やPOPなどでプロモーションを行うと、集客効果が期待できそうです。
②昼・夜人口差
カシオ本社が立地する渋谷区は、夜に対して昼の人口差が約2.4倍と大きいので、昼の営業時間帯は集客が見込めそうです。そのため、ランチ営業に力を入れてメニューの開発や従業員のシフトを管理して回転率を高めたいです。また、昼に比べて夜は需要の低下が見込まれるため、アルコールメニューの充実などで客単価の向上を図ってもよさそうです。
③人員別世帯数、年齢別・性別人口数
商圏内に住居する単身世帯数は約66%、年齢別人口数は男女とも30代が多いという特徴があります。そのため、単身で30代をターゲットにした店舗づくりをすると集客力が高まりそうです。例えば、カウンター席数を増やしたり、単品メニューの工夫をしたりすると一人でも入店しやすくなりそうです。
いかがでしたでしょうか。
今回は、既存の飲食店が商圏分析を活用して戦略的に経営を行う方法をご紹介させて頂きました。商圏分析のデータがあると、外部環境である商圏内のお客様や競合店が把握できるため、自社が適応するための戦略を立案しやすくなります。また、商圏分析の資料を基にして、従業員の皆さんと戦略会議をしてみてもいいですね。
ぜひ、商圏分析を活用して戦略的に経営を行い、売上を高めていきましょう。
商圏分析をして戦略を立案するためには、時間が必要になります。
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