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飲食店のための「事業再構築補助金」解説

新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、当面の需要や売り上げの回復が期待しづらい中、中小企業等がポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するための“思い切った”取り組みを行なうことを後押しすることを目的に準備されたのが「事業再構築補助金」で、個人事業の飲食店も利用することができます。そこでこのコラムでは、小規模な飲食店が利用することを念頭に、“中小企業(通常枠)” “中小企業(緊急事態宣言特別枠)”を中心に、この補助金の利用を検討する場合に押さえておきたいポイントを解説します。

補助金の対象者

「事業再構築補助金」には、グローバル展開を行なっている中堅企業向けの枠なども準備されていますが、このコラムでは“中小企業(通常枠)” “中小企業(緊急事態宣言特別枠)”の補助金を小規模経営の飲食店が利用するための要件に絞って説明します。あなたのお店(会社)が以下に当てはまれば、本補助金の利用を申請することができます。

項目 条件
資本金 5,000万円以下であること
従業員数(常勤) 100人以下であること
新型コロナウイルスの影響による売上の悪化 申請前の直近 6 か月間のうち、任意の 3 か月の合計売上高が、
コロナ以前(2019 年又は 2020 年 1 月~3 月)の同3か月の合計売上高と比較して 10%以上減少していること

補助金の利活用イメージ

「事業再構築補助金」の中小企業者(小規模経営の飲食店)に対する補助金額・補助率は以下のようになっています。

補助枠名 補助金額 補助率
中小企業(通常枠) 100 万円 ~ 6,000 万円 2/3
中小企業(緊急事態宣言特別枠) 【従業員数 5 人以下】
 100 万円 ~ 500 万円
【従業員数 5 ~ 20 人】
100 万円 ~ 1,000 万円
【従業員数 21 人以上】
 100 万円 ~ 1,500 万円
3/4

中小企業(通常枠)の例では、補助率2/3、補助額100~6,000万円となっているので、9,000万円の取り組みについて6,000万円の返済不要の支援を受けて実施できることになります。
例えば、総合居酒屋から差別化された専門料理店へと店舗の内外装含めて抜本的に転換するなどといった大規模な取り組みには、大きな助けとなるでしょう。

一方で、既存の業態でイートイン営業を継続するためにアクリル板を設置したり、新たにテイクアウト販売に取り組んだりといったようなケースで、100万円程度の規模の取り組みになる場合は、この後解説する審査の要件などを踏まえると、より採択のハードルが低いと考えられる「持続化補助金」を検討したほうがいいかもしれません。「持続化補助金」については、別のコラムで詳しく解説しておりますので、よろしければ参考になさってください。

補助金申請の準備

「事業再構築補助金」を申請する場合には、以下の準備が必要になります。

1. GビズIDプライムアカウントの取得

本補助金は基本的にすべて電子申請システムによって行われます。
そのなかで特に気をつけたい点が、その電子申請システムを利用するために、 政府が運営する別のサイトで「GビズIDプライム」を取得しログインする必要がある点です。

GビズIDには“エントリー”と“プライム”が存在しますが、 上述の通り「事業再構築補助金」の手続きに必要なのは“プライム”です。 「GビズIDプライム」の作成取得には、印鑑証明書(個人事業主は印鑑登録証明)に加え、 経営者本人認証時に利用するスマートフォン(携帯電話)が必要になり、 申請後利用できるまで2週間程度の期間が必要となるので、申請内容の検討と並行して早めに「GビズIDプライム」の申込を行なっておいたほうがいいでしょう。

2. 経営革新等支援機関への支援依頼

本補助金の申請では、経営革新等支援機関と一緒に“営業利益や従業員の賃金を年率平均 3.0%以上アップする事業計画書”を策定し、提出することが必須となっています。経営革新等支援機関とは、国による中小企業支援の専門家の認定制度であり、地域の商工会議所、商工会や金融機関、税理士などが主に認定されています。すでにこれらの機関や士業の方と契約や接点がある場合には、この補助金についても相談されるとよいでしょう。接点が無い場合には、中小企業庁が提供する「認定経営革新等支援機関検索システム」により、相談先を検討する必要があります。

手続きのスケジュールと流れ

「事業再構築補助金」の第1回公募は2021年4月15日から開始されています。以後、年4回程度の公募(緊急事態宣言枠については2回)が予定されていますので、事業再構築補助金 公式サイトにて公募状況を確認し、利用時期をご検討ください。

申請は、基本的に電子申請システムの画面の案内に沿って進めることになります。主な登録項目は、自社の情報、取組による収益アップの計画およびその実現のための補助金を受けたい設備や経費の内訳になります。また、売上減少のエビデンスとしての確定申告書の控えや、事業計画書の詳細などもPDFファイルにて添付提出が必要になります。

採択のポイントは、事業計画の実現性になります。なお、緊急事態宣言枠(補助率3/4)に応募することで、不採択になった場合も通常枠(2/3)に加点付きで応募することができますので、基本的には緊急事態宣言枠への応募を検討されるとよいでしょう。緊急事態宣言枠は、飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛等により影響を受けたことを説明できれば、所在の地域や業種を問わず応募できます。

まとめ

以上、本コラムでは小規模経営の飲食店の利用検討を前提に「事業再構築補助金」のポイントを解説しました。なお、補助金制度は随時内容が変更される可能性がありますので、実際に検討なさる場合には、その時点の最新の情報も必ず確認なさってください。

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