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テイクアウトのチラシ作成と配布のコツを解説!

コロナウイルス

新型コロナの影響により、テイクアウト販売を開始し、ホームページやSNSでPRされている飲食店が多いかと思います。このコラムでは、そこにチラシによる認知活動を加える意義や実践的なコツを解説します。

潜在客を掘り起こそう

冒頭に書かせていただいたように、テイクアウトやデリバリー販売を広く認知するうえで、ホームページやSNSによる情報発信を特にGoogleマップに結び付ける形で行うことはとても重要です。この点については、別のコラムで詳しく書かせていただいていますので、ぜひご覧ください。

上記コラムで書かせていただいたようなネット集客施策を推進することで、テイクアウトを利用したいお客様へはタッチポイントを拡げていくことができます。ですが、それでもリーチできないお客様が残っています。それは、スマホで「テイクアウト」と能動的に検索しない層です。

例えば、総務省「通信利用動向調査」によると、65歳以上の高齢者におけるスマートフォンの保有率は年々上昇し、令和元年時点では61.9%に至っていますが、やはり小さな画面での複雑な操作のハードルは高いため“商品・サービスの購入”用途での利用は30%程度に留まっています。

厚生労働省「国民健康・栄養調査結果の概要(令和元年)」にあるとおり、高齢の方はもともと外食頻度が少ないため、その観点からも、やはりスマホで能動的に「テイクアウト」と検索される可能性が低いといえそうです。

しかし、新型コロナ対策としての日常生活の抑制は長引いており、食生活もマンネリになっていることが想像されます。そんななか、ポストに魅力的なチラシが入っていたら、気分転換に注文していただけるかもしれません。
以上の高齢者の例は全体的に想定される傾向として説明しましたが、個別のお客様には様々な事情があります。チラシを効果的に活用することで、このような潜在客を掘り起こすことができるでしょう。

商圏分析を元にした配布エリアの選定

さて、上記のような観点からチラシを撒くことを検討する際に、ぜひ押さえておきたいのが商圏分析のノウハウです。まず、今回はデリバリーではなくテイクアウトのビラがテーマですので、お客様が来店できる範囲の距離を考えてみましょう。お客様が店舗から近い場所に居住している場合は来店しやすく、反対に、遠い場合はよほど動機がない限り来店は見込めません。また、店舗の立地環境もポイントになります。大きく分けると、お客様が徒歩で移動する「都市部」と、車で移動する「郊外」の2つになります。徒歩か車かで移動できる距離が異なるので、商圏の範囲が変わってきます。商圏範囲は、自店のお客様の半数以上が占める1次商圏、目的来店を促すことで集客が見込める2次商圏があります。立地環境によって異なりますので、以下の数値を参考にしてみて下さい。

立地 1次商圏 2次商圏
都市部 半径500m(徒歩で約6~10分) 半径1km
郊外 半径3km(車で約6~10分) 半径6km

このようにして、まずはお店の立地する候補地を真ん中、期待できる距離商圏を半径として、地図にコンパスで同心円を描いてみます。そして、次にその同心円内に河川、幹線道路、踏み切り、坂といったような「お客様が自分のお店に来る際に物理的・心理的に抵抗になりうる場所」が含まれないかを検討します。
例えば「カシオ計算機本社でテイクアウト(第1次商圏にあてはまる商品)を販売する」と想定した場合、甲州街道が存在し、北東部には大型の商業施設(オペラシティ)があります。したがって、その有効商圏はそれらで分断されない範囲となるので、基本的には北西部の500m圏内がメインになります。

コロナウイルス

さらにぜひ活用いただきたいのが、総務省統計局が整備し、独立行政法人統計センターが運用管理を行っているホームページ「政府統計の総合窓口e-Stat」の中に収録されている「地図で見る統計(jSTAT MAP)」です。誰でも無料で使えます。このシステム上で、すでに精査済みの商圏を指定すると国勢調査や経済センサスを元とした

  • 商圏内の人口動態 … 年齢別人口、性別人口
  • 商圏内の世帯数 … 世帯構成人数別の世帯数、持ち家比率、民営借家比率

等を把握できるエリア分析レポートを自動的に作成してくれます。

以上を踏まえると、来店いただけるお客様がいるエリアはどこで、そこにはどのようなお客様が多く住んでいるかを探ることができるので、例えばファミリー層が多ければオードブル商品を考えてみようとか、高齢者が多ければやや柔らかめの食べやすい商品を工夫してみようとかいったように、テイクアウトメニュー開発にも役立てることができます。

ちなみに先ほどの「カシオ計算機本社でテイクアウト(第1次商圏にあてはまる商品)を販売する」の想定で、jSTAT MAPを利用すると次のような傾向が分かります。

1次商圏(半径500m) 数値
人口数・推移(2015年度) 17,946人(5年間で5.7%上昇)
年齢別・性別人口数 男女共に30代が多い
人員別世帯数 単身世帯は約66%
最寄駅の乗降客数 1日約66,000人

このエリアでは、独身男性に対して健康志向で家庭料理的な商品を提供するとか、キャリアウーマンに向けてお洒落なメニューを追及してみるといった検討が考えられそうです。お客様の年齢層から判断すると、チラシよりますはネット施策に注力するのが有効そうですが、現状として自店をGoogleマップ検索した際の検索表示がほかの飲食店に埋没してしまっている場合などは、並行してチラシの施策も展開することが有効と考えられます。

チラシに盛り込むべき情報

チラシはスマホの画面に比べて一度に多くの情報量を訴求できますが、欠かせない基本項目があります。その基本項目が掲載されていないと、どんなに魅力的なチラシを配布してもお客様が来店できなくなります。

【基本項目】

  • 店名
  • 住所
  • 地図
  • 電話番号(ターゲットによっては、LINE情報、メールアドレスなどの併記も有効)
  • 営業時間
  • 定休日
  • 郊外店の場合は駐車場の場所・台数
  

まずは基本項目をおさえたうえで、以下のポイントを工夫しましょう。

1.商品の“ウリ”をしっかりと訴求

何が“ウリ”の飲食店なのかを訴求することも「来店する動機」を生みだすためには重要です。品揃えが“ウリ”店舗ならば商品の写真をたくさん載せて豊富さを訴求し、“ウリ”の1番商品やカテゴリーは、一等地に大きく魅力的な写真で掲載して、こだわりの原材料や製法の言葉と共に訴求すると伝わりやすくなります。

2.お得感のある特典

お客様からして嬉しいのは、割引の特典です。割引ではチラシ持参で「無料」や「半額」といった言葉は効果が高いです。1回のチラシで割引券を複数枚つけることで、新規にご来店頂いたお客様に3回の来店を促進してみるのもよいでしょう。チラシの費用対効果も高まります。

配布エリア別に反応率を分析

さて、ここまでの準備ができるとあとは実際にポストインなどの配布となりますが、チラシに配布エリア別に反応率を分析できるような仕掛けを入れておくと、次回のチラシ内容や配布エリアの検討に役立てることができます。具体的には、次のような仕掛けをします。

  • 商圏分析を元に設定した配布エリア全域を、さらにAエリア、Bエリア、Cエリアといったように細分します。
  • チラシに「チラシ持参で来店すると○○をプレゼント」といったような特典とともに、それを回収した後、どのエリアで配ったチラシかを判別できるようにしておきます。

このようにすると、

エリア 配布数 来店数 反応率
Aエリア 2,000 15 1.33%
Bエリア 1,500 6 0.4%
Cエリア 1,000 7 0.7%

といったような分析が可能になります。その結果を再度商圏として設定している地図に落とし込むことで、例えば、

  • 反応率がよかったAエリアでは、今回の認知は成功したと判断して、次回は別の切り口で訴求してみよう
  • Bエリアは周辺に類似業態の競合店も少ないはずなので、配布曜日を変えてみる等、もう一度同じ認知を徹底してみて白黒を判断しよう

といったように、商圏分析の事前分析と実績の比較による商圏評価のブラッシュアップや、その次の有効な施策検討に繋げることができます。

まとめ

一般的にチラシの反応率は低く、せんいち(チラシを1,000枚まいて1組のお客様がご来店して頂ける)と言われるように0.1%程度とされています。しかし、チラシは、折り込みやポスティング、手配りなどにより、直接ターゲットとするお客様に届けることができます。また、配布してから数日で来店を促進できる即効性のあるプロモーションです。さらに、スマホの画面に比べて一度に多くの情報量を訴求できるので、メリットがたくさんあります。このコラムでご紹介した、商圏分析を元にしたターゲット選定、メニュー開発、配布エリア選定、チラシ作成ノウハウと反応率の分析と改善もぜひご参考になさってください。

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