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飲食店の帳簿付けを分かりやすく解説!

帳簿付けのイメージ

確定申告の時期が来るたびに1年分のレシートを税理士に送って帳簿付けをお願いしている方もいらっしゃると思います。以前であればレジ締めと手元現金によって日々の資金繰りの大体を押さえることはできましたが、最近はキャッシュレス決済も増えてきており、現金に加え銀行預金の動きと入出金の予定をタイムリーに把握しておかないと、思いもよらない資金繰りに窮してしまう可能性があります。
そこでこのコラムでは、ご自身で帳簿付けに取り組もうという方に向けて、帳簿付けの基本的なポイントなどを、分かりやすく解説します。

帳簿付けの目的

このコラムの冒頭に書いたように、帳簿付けについては確定申告の時期に一括して作成するという方も多いようです。ただ、本来帳簿付けは発生都度行ってお店の経営状態をタイムリーに把握することで、お店の経営を安定的に維持するための手段のひとつでもあります。そして、もっと積極的な活用として、お店の課題を発見して対応を考えるためにも活用できます。

さて、小規模な飲食店においては、以前であれば仕入の都度現金で支払い、売上の都度現金で受け取って、月末に水道光熱費や家賃支払に備えて銀行預金残高が不足しないよう注意するという流れであると想定されるため、レジの現金の動きさえ押さえておけば、わざわざ帳簿付けをしなくても資金繰りの大まかな流れは見通すことができた部分があります。ただ、キャッシュレス決済を導入すると、銀行預金の動きや入出金の予定を今まで以上に注意して把握しておく必要が生じます。
そのために必要な帳簿として、現金の入出金を記録する「現金出納帳」と、銀行預金の出し入れを記録する「預金出納帳」を適切に記帳することをおすすめします。

小規模な飲食店の現預金の動きを簡略な図にすると、一般的には以下のようになると想定されます。

特に預金にかかるキャッシュレス決済分の受け取りと、各支払いがそれぞれのタイミングで比較的大きな金額で発生するので、手元の現金の在高とあわせて把握する必要があります

現金出納帳

それでは、現金出納帳の具体的な付け方を説明します。例えば、1月1日時点で手元に¥80,000があって、以降以下のような受け取りと支払いがあったとします。

  • 1月4日
    ○○スタンドでガソリンを給油し、代金¥4,000を現金で支払った。
  • 1月4日
    □□ストアで食材を購入し、代金¥30,000を現金で支払った
  • 1月5日
    お店にて、現金による売上が¥60,000発生した
  • 1月6日
    □□ストアで食材を購入し、代金¥20,000を現金で支払った
  • 1月6日
    お店にて、現金による売上が¥50,000発生した
  • 1月7日
    お店の現金¥50,000を、銀行口座に入金した

これに対応する現金出納帳の一般的な書式と記入方法は以下の通りです。

摘要 入金 出金 現金残高
1 1 前年より繰り越し 80,000
4 消耗品費○○スタンド
ガソリン給油
4,000 76,000
4 仕入□□ストア
食材購入
30,000 46,000
5 売上 60,000 106,000
6 仕入□□ストア
食材購入
20,000 86,000
6 売上 50,000 136,000
7 普通預金△△銀行
入金
50,000 86,000

見比べていただければ基本的な記入方法がお分かりいただけるかと思いますが、上記記入例のなかであえて赤色で書いている文言(実際に作成する際は赤色でなくてよい)について補足します。
入出金については、その発生理由別に別途整理集計する必要があります。赤色部分はこれを行なうための「勘定科目」といわれるものです。
なお、この記入例で使用した勘定科目は、国税庁パンフレット「帳簿の記帳の仕方―事業所得者用―」の巻末に掲載の別表に準じています。

参考ページ:

ご自身で馴染みやすく整理しやすい勘定科目を考えて記入しても大丈夫です。その場合には以下のコラムを参考にしてください。

参考コラム:

預金出納帳

次に預金出納帳の具体的な付け方を説明します。例えば、1月1日時点で¥150,000の残高があって、以降以下のような入出金があったとします。

  • 1月7日
    お店の現金¥50,000を、銀行口座に入金した
  • 1月14日
    お店の現金¥100,000を銀行口座に入金した
  • 1月20日
    R社キャッシュレス決済による売上分¥90,000について、入金手数料200円を差し引かれて入金された
  • 1月25日
    口座振替により、お店の家賃¥200,000を支払った
  • 1月25日
    口座振替により、お店の電気代¥20,000を支払った
  • 1月25日
    口座振替により、お店のガス代¥25,000を支払った
  • 1月25日
    口座振替により、アルバイトへ給与¥35,000を支払った
  • 1月27日
    口座振替により、借入金の返済¥20,000と借入利息¥1,500の支払いを行なった
  • 2月1日
    P社キャッシュレス決済による売上分¥130,000が入金された
  • 2月3日
    経営者の生活費¥150,000を引き出した

これに対応する現金出納帳の一般的な書式と記入方法は以下の通りです。

摘要 入金 出金 現金残高
1 1 前年より繰り越し 150,000
7 現金
お店の現金
50,000 200,000
14 現金
お店の現金
100,000 300,000
20 売掛金R社
キャッシュレス決済売上入金
89,800 389,800
25 支払家賃○○不動産 200,000 189,800
25 水道光熱費□□電力
店舗電気代
20,000 169,800
25 水道光熱費○○ガス
店舗ガス代
25,000 144,800
25 給与賃金■■さん
バイト代
35,000 109,800
27 借入金日本公庫
開業融資返済
20,000 89,800
27 支払利息日本公庫 1,500 88,300
31 次月繰越 88,300 0
摘要 入金 出金 現金残高
2 1 前月繰越 88,300 88,300
1 売掛金P社
キャッシュレス決済売上入金
130,000 218,300
3 事業主貸
経営者生活費引き出し
150,000 68,300

1月7日の記帳に注目していただくと、現金出納帳の出金と、預金出納帳の入金が対になっているのがお分かりいただけると思います。現金出納帳の記入例は7日までしか説明しませんでしたが、14日にも同様の考え方で双方を記入します。

クラウド会計ソフトによる帳簿付け

手書きやエクセルで帳簿付けする場合、現金出納帳はレジの精算レポートや、仕入先から受け取った領収証やレシートを見ながら、預金出納帳は通帳の明細を確認しながら行うことになります。また、あくまで発生した事項を記録するため、例えば月央時点では、月央時点の双方の残高と、キャッシュレス決済分の売上の累積状況確認とその入金予定、月末に想定される支払いといった資金繰り検討は、帳簿付けの外で別途考える必要があります。

一方、クラウド会計ソフトを用いた帳簿付けでは、現金出納帳はスマホアプリで各種のレシートを撮影するだけで自動的に仕訳を行なえます。以下、当サイトでご紹介している飲食店向けクラウド会計ソフト「HANJO会計」の例です。

レシートや領収書はスマホで撮るだけ!大変な取引入力の時間を1/3に!
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預金出納帳については、通帳の明細をネット経由で取り込むことで自動的に仕訳を行うことができます。

通帳やカード明細は、自動取込、推測仕訳!
動画で説明を見る

支払の見通しをあらかじめ登録しておくことによって、現状の現預金の実績にあわせて、資金繰りの見通しが自動的に表示されます。

1ヶ月毎の資金予定と実績を表示
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総勘定元帳/損益計算書/貸借対照表を揃えることで、青色申告ができる

クラウド会計ソフトで現金出納帳、預金出納帳の作成を行なうと、その入出金の理由として記載した勘定科目別の帳簿(総勘定元帳)作成も、同時に自動的に行われます。 具体的には、上記の記入例でいえば「売上」「仕入」「消耗品費」「売掛金」「支払家賃」「水道光熱費」「給与賃金」「借入金」「支払利息」「事業主借」それぞれの勘定科目ごとに、出納帳のようなレイアウトによる日付順の記帳が自動的に行われます。

摘要 入金 出金 現金残高
1 1 前年より繰り越し 0
25 普通預金□□電力
店舗電気代
20,000 20,000
25 普通預金○○ガス
店舗ガス代
25,000 45,000
※作成される「水道光熱費」の帳簿例。他の勘定科目についても同じように総勘定元帳が自動作成される。

また、勘定科目の月次や年次の集計値を元にした損益計算書や貸借対照表も自動的に作成されますので、青色申告に必要な帳簿の一式が完成できることになります。特に損益計算書は、売上に対する仕入と経費のバランスが一目で把握できるので、どの経費を抑えると利益が増えるのか検討したり、過去(前月や前年同月)を見比べて増加しているコストを発見したりするといったことができます。活用イメージを簡略化して示します。

※実際の損益計算書は、各勘定科目の集計値が金額で示されます。

HANJO会計による経営分析

実は当サイトでご紹介しているクラウド会計ソフト「HANJO会計」は、飲食店向けを想定した経営分析機能が備わっていることが、一般的なソフトと比較して最大の特長になっています。
具体的には、帳簿付けを行なうと同時に完成される売上と仕入、経費の集計値に対して、自動的に過去と比較した増減を検知し、改善の具体的ヒントを提示する機能を搭載しています。あらかじめ目標を設定した場合には、目標の達成状況を管理することも可能です。

前年、前月、前日のデータを並べて表示
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「HANJOサービス ナレッジセンター」には改善のヒントが満載
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