- 売上アップ
飲食店が客席回転数を高めるための3つのポイント
飲食店の公式とは
飲食店は箱ものビジネスで、設置している席数は限られているため、同じ時間に入店していただけるお客様の数も限られています。
飲食店の売上は客数×客単価で決定することから考えると、売上アップを目指すのならば、やはり「1日に来店してくださるお客様の数をどう増やすのか」「1つの席を1日に何人のお客様に座っていただくのか」という点を考えなければなりません。
後者の考え方を「回転数」と言います。
例えばランチからディナーまで通し営業をしている10席しかないラーメン店あるとしましょう。全てのイスを1日に10人が使ってくれたら10回転、20人が使ってくれたら20回転、という表現をします。
このラーメン店にとって、「10席」という数は増やせませんので、売上アップのためには「どれだけ多くの方にこのイスに座ってもらうようにするか」、すなわち客席回転数をどう高めていくか、ということを考えなければなりません。
計算を分かりやすくするために、この店の客単価を1,000円だとすると、
1日10回転の場合・・・ 1,000円×10席×10回転=10万円の売上/日
1日20回転の場合・・・ 1,000円×10席×20回転=20万円の売上/日
ということになりますね。
客席稼働率に要注意
飲食店の売上をシミュレーションする場合は、「自分の店は10席だから、1日にお客様が10回転して・・・」と安易に計算しがちですが、ここで気を付けていただきたいのが客席稼働率です。
客席稼働率の詳細はこちらのコラムをご覧いただきたいのですが、ポイントは、「ある瞬間に客席すべてがお客様で埋まっていることはほぼない」ということです。
飲食店の平均客席稼働率は65%から70%と言われています。
カウンターのみのラーメン店でしたら、客席稼働率100%も十分にあり得ますが、テーブル席などを設けている店は4人がけの席にカップルが2人だけで座る、などのケースは頻繁に起こりますので、計算をされる際には注意をしてください。
また1日の運営結果を数値だけで見ると、「今日は200名の来店があって、うちの店は10席だから20回転か」となりますが、実際は多くの場合「死んでいる席(あまり使われない席)」が存在するため、イス1席あたりの回転数は22回転だったりします。
単純に割り算をするだけでなく、「なぜかあの席は回転数が低いな」など、個別のイス(テーブル)ごとに回転数を落としているところが無いかも見るようにしましょう。
客席回転数を高める3つのポイント
さて、特にラーメン店、カレー店、ファストフード店のように「客単価は低いが、回転数を高めることで売上をアップする業態」にとっては、この回転数をアップする工夫が必要となります。
回転数アップのポイントは以下3つあります。
①お客様のオーダーを着席される前に把握しておくこと
②スピーディに調理をして、お客様の着席から料理提供までの時間を短くすること
③お客様が召し上がった後(退店された後)のバッシングを素早く行うこと
①は実は少し難しいのですが、OES(オーダーエントリーシステム)や食券システムを採り入れているお店は、把握しやすいですよね。仮に口頭注文の店舗でも、並んでいるお客様のご注文を従業員が控えておくと把握しやすくなります。
②はもうすぐ着席をされるという時のほんの少し前のタイミングでオーダーを厨房に通しておけば、着席から料理提供までの時間が短くてすみます。
これはホールとキッチンの阿吽の呼吸での連携が必要となりますが、お客様にも喜ばれ、かつ回転数を高めることができるので、ぜひトライをしてみてください。
ただし、ラーメン屋などで「麺の茹で置き」をしておくと敏感なお客様には感づかれてしまいますので、控えましょう。
別コラムでご紹介した調理における「標準時間」を設定し、スピードアップを図ることもお勧めします。
③のバッシングも細心の注意が必要です。回転数を高めよう、早く席を空けてもらって次のお客様に座ってもらおう、とするがあまり、まだ食事が終わっていないお客様に「お下げしてよろしいですか?」などと聞いてしまうと、あの店は食事中の客を追い出すような嫌な接客をする、とすぐにSNSに書き込まれてしまいます。
その他、「漫画・雑誌・新聞などはアイドルタイム以外は提供しない」、食器を下げて良いかだけを聞きに行くと角が立つので、お冷を注ぎに行くふりをして、「こちらお済ででしょうか?」と少し控えめにお聞きしてみる」などの工夫をすることで客席回転数を高めている飲食店もあります。
念のために申し上げると、「客数が少なくなるアイドルタイムにおいても、マニュアル通りに食べ終わった食器を下げてしまう」ことはお客様の満足度を下げると同時に「この店はいつ前を通ってもお客様がたくさんいる」というせっかくの宣伝効果を無くしてしまうことに繋がりかねないため、やめるようにしましょう。
ぜひあなたのお店でも、お客様の満足度を下げないように客席回転数を高める施策を研究してみてください。
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