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飲食店経営者が知っておきたいGo To 商店街事業の情報(2020年10月23日時点)
Go To キャンペーンの一環として10月中旬から「Go To 商店街」事業が開始される見通しとなりました。このコラムでは、商店街に属している飲食店の経営者が知っておきたい、Go To
商店街事業の情報についてまとめています。
なお、本コラムは2020年10月23日時点の情報を元に執筆しています。事業の詳細は変更される可能性がありますので、実際に検討される際は、政府の公式情報・最新情報も必ず確認なさってください。
Go To キャンペーンの全体概要
Go To キャンペーンは新型コロナウイルスによって事業に甚大な影響を受けている観光・運輸業、飲食業、イベント・エンターテイメント業などを対象とした期間を限定した官民一体型の需要喚起キャンペーンで、内訳として複数の事業が存在します。
事業名 | 開始(予定)時期 | 事業概要 | 想定される飲食店への効果 |
---|---|---|---|
1.Go To トラベル |
2020年7月22日~ 2020年10月1日~ |
旅行業者等経由で、期間中の旅行商品を購入した消費者に対し、代金の1/2相当分のクーポン等(宿泊割引に加え、地域産品・飲食・施設などの地域共通クーポン等を含む)を付与(最大一人あたり2万円分/泊)。 | 本事業の登録飲食店になると、観光客の集客と売上アップに繋がる |
2.Go To Eat |
2020年9月~ 2020年10月~ |
|
本事業の登録飲食店になると集客と売上アップに繋がる |
3.Go To 商店街 |
2020年10月2日~ 2020年10月19日~ |
商店街等によるキャンペーン期間中のイベント開催、プロモーション、観光商品開発等の実施について300万円~1,400万円を補助 | 自店が地域の商店会に所属している場合、参画することで集客につながる |
4.Go To イベント | 2020年10月中旬以降予定 | 消費者がイベント・エンターテイメント関連のチケットを購入した際に、価格の2割相当額の割引支援または相当額のクーポンを提供 | スタジアムなど大規模施設に出店しており、興行主がクーポンを採用する場合に、自店の集客に影響する場合がある |
本コラムでは、上記のうち「3.Go To 商店街」事業を取り上げています。なお、他の事業のポイントについては、以下のコラムで解説しております。
参考コラム
飲食店向けのGo To キャンペーンについての情報(2020年9月14日時点)
Go To Eatキャンペーンについての情報(2020年7月22日現在)
Go To 商店街事業とは?
Go
To商店街事業では、3密対策等の感染拡大防止対策を徹底しながら、商店街が率先して「地元」の良さの発信や、地域社会の価値を見直すきっかけとなる取組(イベント等)を実施する場合に、その費用が補助されます。商店街に属している個々のお店を金銭的に補助するものではありません。
そして、補助を受けるためには、商店街としてイベントを企画し、政府が設置する事務局に提案のうえ、審査を通過する必要があります。
このような事情から、特に商店街に所属して幹事をされているような経営者の方は、Go To商店街事業の内容把握と企画参加が求められる可能性があります。
以下、経済産業省が公表している「Go To
商店街事業に関するお知らせ」
から、想定されるポイントをみていきましょう。
応募対象者
2020年3月31日時点で、構成員数・会員数10者以上(うち、7割程度は中小企業者であること)で店舗が集積し商店街等を形成している、法人格を有する商店街振興組合、事業協同組合、商工会等の組織が応募できます。
これに類するが法人化されていない組織についても、設立して1年以上経過していて、定款等により代表者の定めがあり、過去24か月分の決算書を提出できるなどの実体を説明できれば、応募することができます。
また、まちづくりや商業活性化において活動実績を有している民間事業者(DMO、まちづくり会社(中小企業に限る)) 等も応募主体になることができます。
対象事業と対象経費
対象経費については、イベント等を実施するために必要な経費で、それを特定・確認できるものに限られます。うち、地元パフォーマーの出演費やイベント企画専門家等への謝金については全体経費の10%、もしくは50万円のいずれか低い方が限度額となります。
情報出所:経済産業省「Go To 商店街事業の概要」より
一方で、対象事業として「地域の良さの再発見を促すような、新たな商材の開発やプロモーションの製作」とも記載があります。例えばこの商材が、イベント限定のものである場合にその開発経費が補助されるが、イベント後も地域の名産名物として継続的に販売される商材である場合には対象外になるのかといった線引きは現時点では不明です。
補助額
300万円×商店街組織数+500万円(2者以上で連携し事業を実施する場合に限る)
※ただし、1申請あたりの上限額は1,400万円とする。
とされています。例えば1団体で実施する場合で300万円であるが。例えばA駅前とB駅前の2つの商店街団体が、連携してひとつのイベントを実施する場合には1,100万円(600万円+500万円)が補助の上限になると解釈できます。
補助金の支払いは事業終了後の精算払いとなりますので、イベント等の実施にあたり一旦はまとまった予算を準備する必要があります。なお、2020年12月1日から開始される企画募集分からは、途中の概算払いへの対応についても調整されているようです。
イベントの想定企画例と応募方法
新型コロナウイルス感染症対策として【商店街ガイドライン(商店街における感染症防止対策に向けた基本的な方針)】の遵守が必須条件になっています。具体的には、開催するイベントでは、消毒液の設置/受付等の電子化/ソーシャルディスタンシング/集客の分散化/参加者への感染防止対策の呼びかけ/適正なスタッフ管理等が必要です。そして、その制約の中で「地元」の良さの発信や、地域社会の価値を見直すきっかけとなるイベント等を企画する必要があります。
単純なケースでは、以前から毎年開催していた歳末・年始の商店街販促イベントについて、主要な導線に消毒液の設置といった新型コロナウイルス対策を講じて開催するということでも、対象経費部分は補助されるものと考えられますが、どのような審査のレベルになるのかは現状では分かりません。
経済産業省のなかの取組のポイントとして「平準化」という記載があるため、例えば、休日に比較して平日日中時間帯が閑散期となる商店街の場合は、当該時間帯に来店を促す時間限定スタンプラリーといった企画も考えられます。この場合、スタンプラリーの認知や景品について補助対象経費になると想定されます。
もっと積極的なこの事業の利用方法として、新型コロナ以前からECサイトの台頭という状況があったので、今回この補助金を利用して商店街全体としてオムニチャネルに取り組み、リアル店舗とネット販売双方でその促進の連動イベントを行なう場合ということでも、直接接触がない中でも地域のお店と商品の良さを再発見いただくという観点において、対象事業になりうると考えられます。対象経費の観点でも、ウエブサイト構築費用やその維持に必要なソフトウエアのライセンス料は補助されると想定されます。
なお、応募後については、審査が通ったら設置される予定の事務局に新型コロナウイルス対策の宣誓書を提出したうえでイベントを実施(イベント中、事務局による実地確認も行なわれるようです)し、その後、実施内容の報告も必要となることが示されています。
まとめ
以上、本コラムでは商店街に属している飲食店の経営者が知っておきたい、Go To 商店街事業の情報についてまとめました。比較的企画の自由度が高いと想定され、また数百万円超と補助額も大きいので、ぜひ有効に活用なさってください。