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飲食店は店舗コンセプトを明確にして、お客様満足度を高めよう
飲食業界は、全業種の中で開業率・廃業率共に数値が最も高いです。そのため、新規参入がしやすく、最も競争が激しい業界といえます。
実際に飲食店を見てみると、ある店舗では行列が長蛇の列となり繁盛しています。一方で、ある店舗では閑古鳥が鳴くように閑散としています。それは、飲食業界の中でも繁盛している店舗と業績不振の店舗で二極化しているということです。
繁盛店に共通しているのは、ただ飲食店の視点から“モノ”を売るのではなく、お客様の立場に立って体験という“コト”を提供している点です。そして、商品や売場、接客、プロモーションまで一貫性のある店舗づくりをしています。
そのためには、ターゲットのお客様を設定して、店舗コンセプトを明確にすることが重要になります。
以前のコラムでは、ターゲットのお客様を設定するための商圏分析の方法をご紹介させて頂きました。
飲食店経営に役立つ商圏分析の方法
既存の飲食店が商圏分析を活用して戦略的に経営を行う方法
そこで今回は、飲食店がターゲットとするお客様に対して、店舗コンセプトを明確にすることで、お客様満足度を高める方法をご紹介させて頂きます。
業種ごとに求められているポイント
店舗コンセプトを明確にするためには、ターゲットのお客様を設定することと、業種ごとに求められている“らしさ”を踏まえることが重要です。例えば、あるラーメン店では、お客様の約8割は男性で商品は高カロリーだったとします。この様なコンセプトの店舗の場合、女性をターゲットにしてヘルシーをウリする路線変更は考えづらいです。
そのぐらい、その業種に求められている“らしさ”を外してしますと、繁盛店から遠くなってしまいます。業種ごとに求められている“らしさ”は、以下のようなポイントがありますので、ご参考にしてみて下さい。
業種 |
“らしさ”のポイント |
---|---|
ラーメン | 賑わい、元気、ボリューム |
そば、うどん | 三たて感(そば:挽きたて、打ちたて、茹でたて) (うどん:打ちたて、切りたて、茹でたて) |
海鮮系居酒屋 | 新鮮さ、漁港感、市場感 |
ご当地系居酒屋 | 地域の雰囲気、地域の食材、地域の品揃え |
焼肉 | 新鮮さ、賑わい、元気 |
カフェ | スタイリッシュ、居心地、オシャレ |
バル | ワイン感、ムード、地域感 |
寿司 | 新鮮さ、職人感、江戸前 |
牛丼 | 早い、安い、うまい |
店舗コンセプトは一貫性を持たせよう
さらに、店舗コンセプトを決める際には、業種ごとに求められている“らしさ”を実現するための自社の店舗や競合店の状況を踏まえる必要があります。そして、店舗コンセプトを軸にして、商品や売場、接客、プロモーションまで一貫性のある店舗づくりをしたいです。
具体的に、ラーメン店を例にして店舗コンセプトの一貫性を見てみましょう。
上記の例では、ターゲットのお客様やラーメン店に求められている “らしさ”、自社の強み、競合の状況を踏まえて店舗コンセプトを設定しています。そして、店舗コンセプトを軸にして、20~30代の男性が求めるボリュームのある商品や賑わいのある売場、元気な接客、こだわりのスープのプロモーションまで一貫性があります。店舗コンセプトを見ただけで、このラーメン店は繁盛しそうですね。
店舗づくりはお客様の五感に訴求しよう
店舗コンセプトを明確にできると、そこを軸にして商品や売場、接客、プロモーションまで一貫性を持たせることができます。そして、一貫性を持った店舗づくりで重要になるのが、お客様の五感に訴求することです。
例えば、家で食べるおにぎりと、山の頂上で食べるおにぎりとでは、どちらがおいしいと感じるでしょうか?ほとんどの人は、山の頂上で食べるおにぎりの方がおいしいと感じるのではないでしょうか。それは、山の頂上から見える壮大な景色や木々の匂い、流れる空気などを五感で感じながら、おにぎりという“モノ”を山の頂上という“コト”の中で食べることで、よりおいしいと感じるのです。
そのため、飲食店においても、お客様が五感で知覚できるような店舗づくりを行うことで、よりおいしいと感じて頂くことができます。
お客様の五感に訴求する店舗づくりは、以下のようなポイントを参考にしてみて下さい。
- 焼き鳥店の店頭での焼き演出により、嗅覚や視覚に訴求する
- うどんの茹で作業を客席から見えるようにして、茹でたて感を視覚に訴求する
- ラーメン店の豪快な麺切りのかけ声で、賑わいを演出して聴覚に訴求する
店舗の設計上、難しい場合はPOPなどで業種に求められている“らしさ”を訴求するのもいいですね。
五感については、こちらのコラムでもご紹介していますので、ご参考にしてみて下さい。
飲食店の「美味しさ」はメニュー表で決まっている?!
いかがでしたでしょうか。
今回は、店舗コンセプトを明確にすることで、お客様満足度を高める方法をご紹介させて頂きました。店舗コンセプトを明確にすることで、一貫性のある店舗づくりができ、ターゲットのお客様に対して、体験という“コト”を提供することができます。
ぜひ、店舗コンセプトを明確にすることで、お客様満足度を高めて繁盛店にしていきましょう。