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飲食店の人手不足対策 ~ HANJO TOWNノウハウ厳選まとめ
日本中が人手不足!その中でも飲食店の人手不足は特に深刻です。そして、2019年4月から、いよいよ働き方改革関連法が順次施行されます。そこで、このコラムでは飲食店の人手不足に関連する様々なデータを踏まえながら、HANJO TOWNの掲載されている「求人」「離職防止」「働き方改革対応」ノウハウを厳選してご紹介します。
データから読み解く、飲食店の深刻な人手不足事情
独立行政法人労働政策研究・研修機構による”早わかり グラフでみる長期労働統計”によると2010年以降、有効求人倍率は一貫して上昇しており、人手不足の状況が端的に読み取れます。
<参考リンク:独立行政法人労働政策研究・研修機構 ”早わかり グラフでみる長期労働統計”>
そして、その中でも、飲食店の人手不足はとても深刻です。
飲食店の求人倍率
厚生労働省が、公共職業安定所の状況を毎月とりまとめ公表している一般職業紹介状況(平成30年12月時点)によると、飲食物調理の職業は3.56倍、接客・給仕の職業は4.15倍となっていることから、飲食店の人手不足、獲得競争が特に激しいことが読み取れます。
<参考リンク:厚生労働省 一般職業紹介状況(平成30年12月時点)>
飲食店の離職率
さらに、時期や対象、調査方法が異なるデータですが、平成 29 年雇用動向調査によると、宿泊業、飲食サービス業の離職率は30.0%で、全産業中最も高い数字になっています。
<参考リンク:厚生労働省 平成 29 年雇用動向調査>
飲食店の就労条件と働き方改革
同じく厚生労働省が公表している、平成30年就労条件総合調査によると宿泊業、飲食サービス業の1企業平均年間休日総数は97.1日となっています。他の業種はすべて100日を越える休日日数となっており、全産業中最も休みの少ない産業になっています。
また、労働者1人平均の年次有給休暇取得日数という観点でも宿泊業・飲食サービス業は5.2日なのに対して、全産業計では9.0日となっています。
<参考リンク:平成30年就労条件総合調査>
このデータに定性的な考察を加えると、飲食業は、休日が不規則なうえ、基本的に立ち仕事で、業態によっては酔客の接客をしつつの深夜までの長時間労働です。相対的にどうしても就労条件が劣ってしまう飲食業界は、近年有効求人倍率が一貫して上昇する中、人手不足が特に深刻です。
そのような状況に新たな課題として加わる形で、平成31年4月から、中小企業にも例外のない「年次有給休暇の取得義務化」などを含む、働き方改革関連法が順次施行されます。
働き方改革って?何をすれば良いの?
このように、人手不足は飲食店経営者にとって深刻な経営課題になっていますが、では具体的に何を、どうすれば良いかが分からない、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。周りを見渡せば、「従業員に活気があって、繁盛している飲食店」は確かに存在しています。
飲食店はきつい仕事だとはよく言われますが、一方で毎日の仕事の結果が成果として見えやすく、歩合的な動機付け含めてうまく運用し、モチベーションを引き出して飛躍的にお店の売上を伸ばすことができる事が、飲食店経営の醍醐味であるとも言えます。
このコラムでは、いままでHANJO TOWNに掲載してきた「従業員に活気があって、繁盛している飲食店」のノウハウを
- 1. 魅力的な求人とは?
- 2. 離職を防ぐには?(人材定着と教育)
- 3. 「働き方改革」対応
という観点で、あらためて整理してご紹介します。
課題 | 現状 | 対策ノウハウ |
---|---|---|
飲食店の求人倍率 | 3.56~4.15倍 | 魅力的な求人 |
飲食店の離職率 | 30.0% | 離職を防ぐ、人材定着と教育施策 |
飲食店の就労条件 | 年間有休日数 平均5.2日 |
前向きな「働き方改革」対応 |
1. 魅力的な求人とは?
有効求人倍率が4倍という状況は、1人の就労希望者に対し、4社が奪い合っているという状況を意味します。提示する時給条件の競争になってしまったら、大手チェーンの資金力には到底太刀打ちできません。そこで、時給以外の魅力を打ち出す事が重要となってきます。
例えば、周囲に学生さんが多く住んでいる場合は、「美味しいまかない、用意できます」といった打ち出しや「働くなら、おしゃれなお店のかわいい制服で」といったうたい文句が、思った以上に働く方には魅力的に映ったりします。
人件費率ダウンのポイントは「時給アップ」以外の魅力強化
また、「某東証一部上場企業の元人事部課長が当店の店長です。就活の模擬面接は何度でもお相手します」といったように、働いている学生バイトに就活支援を行うこと打ち出し、求人に大成功している事例があります。
繁盛店創りはスタッフが命。笑顔あふれるスタッフを次々と採用できる魔法のチラシとは?
このような「時給以外のあなたのお店の魅力」を、店頭の貼り出しなども総動員してしっかりとアピールするだけでなく、面接の席では雇用契約内容を書面も添えてきちんと説明をして信頼感を得たりするなどやれる事はすべてやりましょう。せっかく応募や面接に来ていただいた方に、「ここで働きたい」と思ってもらえる様に働きかけることが大切です。
給与≠時給×労働時間?
2. 離職を防ぐには?(人材定着と教育)
飲食店は、経営者自身が料理人の場合、「背中を見て仕事を覚えろ!」という職人気質の雰囲気があったり、また毎日本当に忙しいので、先輩バイトが新入りバイトに仕事を教える余裕がないという状況に陥りがちで人材が定着しません。せっかく雇った人がすぐ辞めてしまうというスパイラルを絶つにはどうしたらいいのでしょうか?
基本的には、するべき仕事を、できるだけわかりやすく、できるだけ定型化することです。例えば、牛肉や豚肉といった食材を、ブロックカットやバラなど下ごしらえをして冷蔵庫のなかにしまってあるとすれば、冷蔵庫のなかはその配置を厳密に決めて、冷蔵庫の扉に配置図を貼り付けておきましょう。たくさんある調味料は、容器にラベルをはって、整理整頓を徹底しましょう。このようにすれば、新人バイトが分かりやすいだけでなく、先輩バイトも簡単な指示で新人を教育できるようになります。
飲食店が人時売上高を高めるには「2つの3S」を意識する
定型的な作業をこなせるようになったら、ワンモアドリンクワンモアディッシュの獲得など、
ワンモアドリンク ワンモアディッシュを推進する
応用的な従業員の教育範囲を、「大入り」などの歩合的な動機付けと組み合わせて拡げていくようにしましょう。「従業員に活気があって、繁盛している飲食店」にするには、少しずつ、着実に進めていくことが必要です。
ホールスタッフが複数人いる店舗ではおすすめ対決を行う
対策3.「働き方改革」対応
人手不足を背景として、昨今はコンビニエンスストアですら24時間営業の維持が難しくなってきています。そこで、まずはこの機会に、自分のお店の現在の営業日、営業時間が採算面で本当に正しいのかを考えて、場合によっては思い切った見直しも必要です。
例えば、居酒屋のランチ営業は、その時間帯としてはほとんど採算が取れていないものの、夜の集客のためにやっているというお店があったとすれば、今日時点の状況として、
- 本当にランチ営業が夜の集客に結びついているのか?
- 過去の惰性で継続しているだけではないか?
- webを活用するなど、他に手段はないのか?
など、ランチに人手を割くというデメリットが大きくなったいま、そのメリットもう一度掘り下げて考えてみることをおすすめします。
営業時間を短縮することは、そのままではただの縮小均衡になりますが、狙いを絞って戦略的に行うこと、利益に加えて売上も大きく伸ばせる可能性も秘めています。
飲食店は営業時間をしっかりと見なおすべき
そういった本質的な取り組みに並行して、法令に適用するために下記のような環境整備もしっかりと行いましょう。
働き方改革関係法案では小規模飲食店にも例外なく「時間外労働の上限規制」と「年次有給休暇の取得義務化」を義務化しています。そして、その証拠として、タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録することを要請しています。
飲食店経営者には従業員の労働時間を適正に把握する責務がある
飲食店の就業管理は、ランチ営業とディナー営業のあいだの休憩の管理や、まかないの支給実績といった特殊な管理が必要になります。また、飲食店従業員の深夜割増・残業時給の計算も非常に複雑です。
飲食店従業員の深夜割増・残業時給の計算は非常に複雑
しかし、これらの取り組みは単に法令順守といったことではなく、従業員との信頼関係構築・トラブル防止を念頭に取り組む必要があります。昨今、ブラック企業、ブラックバイトが社会問題となった背景から、全国の高校で労働法教育プログラムが行われています。
厚生労働省「ワークルール 20のモデル授業案」冊子
例えば、女子高生に大変人気のあった喫茶店の元従業員が、そのお店の疎かな勤怠管理や不当な給与計算の実態を学んだことに照らして暴露、それが口コミで拡散し、結果、その喫茶店は潰れてしまったといった事例も発生しています。
無料で試せる!従業員満足度向上も支援するクラウド給与ソフト
HANJO TOWNでご紹介しているクラウド給与ソフト「HANJO給与」は、小規模飲食店の面接チェックシートや労働契約書兼労働通知書の雛形といった求人雇用段階の支援ツールもご提供。専用のタブレット向け専用アプリ「HANJOタイムレコーダー」を使えば、飲食店で必要となる休憩時間やまかないの支給といった勤怠状況まで管理でき、もちろん時給は勤怠実績から自動計算します。
人手不足と働き方改革にむかって、飲食店経営者が取り組むべき課題は多岐にわたりますが、ひとつひとつを前向きに推進して、繁盛店への飛躍のチャンスにしていきましょう。その強力な武器として、最大2ヶ月無料で使える「HANJO給与」もよろしければ是非ご活用ください。