1. HOME
  2. 飲食店経営ノウハウコラム
  3. 飲食店のテイクアウト販売への助成金とノウハウまとめ
  • 利益アップ・コスト削減

飲食店のテイクアウト販売への助成金とノウハウまとめ

コロナウイルス

新型コロナウイルスの影響でテイクアウト販売を検討されている飲食店が増えています。国税庁が「期限付酒類小売業免許」の付与を開始したり、自治体が助成金を準備したりするなどの後押しもあります。そこでこのコラムでは、HANJO TOWNに掲載されている400本を超えるコラム等から、飲食店がテイクアウト販売を検討する際に参考になると考えられるノウハウを紹介します。

※このコラムは2020年4月時点の情報を元に執筆されています。

助成金についての情報

2020年2月頃から国内でも感染拡大が顕在化してきた新型コロナウイルスは密閉空間における密集・密接にリスクがあるとされており、飲食店のお客様離れが起きつつありました。さらに4月には緊急事態宣言が発令され、相当数の都道府県で飲食店のイートイン営業について、酒類の提供時間を19時まで、営業時間は20時までにするよう営業の自粛要請が行なわれていて、飲食店は非常に厳しい状況に陥っています。
この状況に対し、国による「持続化給付金」や、自粛要請に応じた事業者に対する各都道府県からの「協力金」に加え、宅配・テイクアウト販売への取組みを後押しする助成金が準備されつつあります。以下、2020年4月時点で発表されている(検討中含む)主な助成金情報です。

実施主体 制度名称 制度概要 助成(予定)額
中小企業基盤整備機構 小規模事業者持続化補助金<コロナ特別対応型> 新型コロナウイルスが事業環境に与える影響を乗り越えるために、具体的な対策(サプライチェーンの毀損への対応、非対面型ビジネスモデルへの転換、テレワーク環境の整備)に取り組む小規模事業者等(注1、注2、注3、注4)が、地域の商工会の助言等を受けて経営計画を作成し、その計画に沿って地道な販路開拓等に取り組む費用の2/3を補助 補助上限額100万円を限度に補助対象経費の3分の2
東京都 業態転換支援(新型コロナウイルス感染症緊急対策)事業 域内の中小飲食店がテイクアウトやデリバリーサービスを新たに始める際の初期費用を支援 1事業者あたり最大100万円を限度に助成対象経費の5分の4
鹿児島県 デリバリー・テイクアウト参入支援事業 域内の飲食店等が新たにデリバリーやテイクアウトに取り組むための初期費用を補助 10万円を限度に対象経費の2分の1
福井県商工会連合会 小規模事業者テイクアウト・デリバリー参入促進事業 新型コロナウイルス感染症により影響を受けている域内の飲食業または宿泊業を営む小規模事業者がテイクアウトまたはデリバリー事業に新たに参入する取組みに対して支援 1件当たり10万円を限度に助成対象経費の2分の1
ひろしま産業振興機構 テイクアウト・デリバリー参入促進事業助成金 新型コロナウィルス感染症の感染拡大に伴う県民への活動自粛要請等を踏まえ、売上の減少に苦しむ域内の事業者、とりわけ影響の大きい飲食業・宿泊業が行う「テイクアウト」や「デリバリー」など、新たな取組への新規参入を支援 助成30万円(助成率10/10)

なお、助成金施策は市区町村単位でも独自の施策が実施され、その件数も日々増加しています。独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営しているJ-Net21ホームページで新型コロナウイルスに関する地域の補助金・助成金・融資の情報が毎週更新され公開されていますのでぜひ確認なさってください。

メニュー開発

外食大手上場企業各社が公開しているIR資料からは新型コロナウイルス感染への懸念からイートインでお食事をされるお客様が減少傾向にあり、一方で、テイクアウトが堅調であると推察されます。大手の企業では、もともと2019年10月に導入された軽減税率制度に備えて、メニュー開発はもちろん、オーダーの受付や調理体制など含め相当程度テイクアウト販売の検討が進んでいた部分もあります。
他にも新型コロナウイルスに際して調達力のある大手スーパーマーケットチェーンの堅調が目立ちますが、やはり軽減税率制度に向けて、付加価値の高いお惣菜など、いわゆる中食を充実させてきた経緯があります。そして、多くの飲食店が宅配やテイクアウト販売に参入するでしょう。

イートインにおいては大手の画一的なものではない、お店の雰囲気を含めた演出された空間の中で、オリジナリティーのある料理を出来立てで提供するということが、多くのお店で差別化の中核になっている場合が多いと思います。テイクアウトは、それらの強みは総じて減殺されてしまいます。したがって、お客様がお召し上がりになるシーンも想定してメニュー開発をされるとよいでしょう。

例えば、せっかくの上等のお肉でも、焼いて時間が経ってしまったものをレンジで温めるということでは美味しさは半減してしまうでしょう。もしご家庭へのお持ち帰り向けで想定するとすれば、お店ならではの筋切りやスパイスによる味付け、串打ちなどの下ごしらえを行なったものを用意し、お家での上手な焼き方を懇切丁寧に解説したパンフレットをつけて販売したほうが、魅力的な提供形態といえるかもしれません。提供形態が定まると、どんな容器を用意すればよいかなど、必要な準備も具体的になっていきます。

以下はHANJO TOWNに収録されているテイクアウト販売に関するノウハウコラムです。いずれも、新型コロナウイルス発生前に執筆されたものですが、それだけに、突発的なものとは違うテイクアウト販売検討の基本的なポイントの紹介となっていますので、ぜひ参考にしていただければ幸いです。

ドリンク提案

国税庁が「期限付酒類小売業免許」の付与を開始したことで、飲食店でもテイクアウト販売でお酒を扱うことができます。ただ、お客様は一般的なビールやチューハイなどは、スーパーなどで安く購入できてしまいます。したがって、ワインや日本酒などの希少な銘柄を扱っている方が魅力的な材料にできる可能性が高いと考えられます。また、容器や販売後の取扱が様々であるためデキャンタなどの量り売りにも制約が考えられます。基本的には、ボトル単位での販売となるでしょう。

イートインにおけるドリンクは、廃棄ロスが少なくオペレーションもスムーズなので、追加オーダーを重ねることで客単価をアップできる商材ですが、テイクアウトでは杯数を重ねていただくという提供はできないため、単品で販売するというよりは自分のお店のテイクアウト商品の差別化要素として、セットメニューとして効果的に組み入れるという使い方がよいかもしれません。

以下は、HANJO TOWNに掲載されているセットメニュー構成についてのノウハウを含むコラムです。いずれも新型コロナウイルス発生前に執筆されたものですが、料理とドリンクをセットで魅力的に見せる工夫は、テイクアウト販売検討の上でも、共通して参考にしていただけると思います。

自分のお店の看板料理とターゲットの組合せによって、どのようなメニューや訴求を行うかは様々なアイディアが考えられますが、ドリンクを出すという観点では、当面は新型コロナウイルス問題を背景に考えると、単身者の独り飲みやカップルなどの家のみ需要に対して、スーパーやコンビ二でおつまみとお酒を買うのではなく、自分のお店を選んでくださる値打ちを打ち出せるかどうかがポイントになるでしょう。

認知方法と販路の検討

通常のイートイン営業でもお食事を中心に一定程度お客様にご来店いただけている場合は、夜間を中心に手間はかかってもドリンクをセットにしたやや高めの価格設定のテイクアウト販売を並行して行なうことで、オペレーションを両立させるという形が考えられます。

認知獲得のためにまず実施したいのは店頭告知となります。まずは、お客様にテイクアウトをしていることを知っていただく必要があります。特に、テイクアウトを初めて行う場合は、認知度を高めることを目標にしましょう。そのためには、少なくとも店前を通るお客様の注目度を高める必要があります。オススメは、A型看板でテイクアウト用のメニュー表を掲載して、プロモーションすることです。A型看板は、移動がしやすく、自由に方向を変えることができます。そのため、店前を通るお客様の視界に入るように店頭の正面よりも、横向きに設置すると視認性が高まります。

なお全営業時間帯を通じてイートイン営業でのご来店がほとんど失われている場合は、通常のイートインメニューよりお得な価格設定を行ない、Uber Eatsなどを利用して、認知を補い宅配でも販売することで数量を出す必要があるでしょう。

導線や待ち時間の設計

大手のファーストフードチェーン店では、テイクアウトの順番待ちで行列ができてしまい、イートインのお客様がいかにもお食事をしづらそうな状況も見受けられます。なかには、イートイン営業を取りやめ、テイクアウトのみの営業に舵をきった会社も出てきました。

イートイン営業と並行して、テイクアウト販売を両立する場合、もっとも効率がいいのはできるだけネットを通じて事前予約をいただけことです。
そのうえで、事前予約のお客様以外も安心してご利用いただくための準備として、お客様数の減少状況に応じて客席を縮小し、待ちスペースを確保するなどの導線確保も検討するとよいでしょう。待ち時間が長くなってしまう場合には、コーヒーを無料でご提供するなども喜ばれるかもしれません。

また、テイクアウトを希望されるお客様は大変センシティブになっている方もいらっしゃることを想定して、従業員の検温やマスク着用はもちろん、お会計時の商品や金銭の授受にも必要に応じて工夫をすると安心されるかもしれません。
例えば、釣銭が出にくいようなキリのいい価格設定にする、オーダーをいただいた段階で代金と引き換えにチケットをお渡しし、商品の受け渡し時はチケットと引き換えにするようにすることで、商品の受け渡しとレジ操作・紙幣硬貨を同時に行わない手順とするなどの工夫余地が考えられます。

リピート促進

お渡しする商品にメニュー紹介や次回ご注文時のサービスクーポンをお付けするということはテイクアウト販売におけるリピート促進の常套テクニックです。ここに、ネット経由で事前予約いただいた場合は○○%オフといったようなテイクアウト販売の利用率を高める工夫や、お洒落な家飲みの様子をSNSでシェアいただけたらボトルワインプレゼントといったような認知拡大要素も複合的に織り込めると尚よいでしょう。

以下は、HANJO TOWNに掲載されているリピーター獲得施策についてのノウハウを含むコラムです。いずれも新型コロナウイルス発生前に執筆されたもので、リピート来店施策として紹介している内容ですが、テイクアウトのリピーター促進とも併せて、参考にしていただけると思います。

PAGETOP