- 利益アップ・コスト削減
飲食店の変動費の平均的な目安と改善方法を分かりやすく解説!
飲食店の経営では、売上に伴って増減する食材費や水道光熱費といった変動費と、売上の増減に関係なく必要となる融資の返済やお店の家賃の支払いといった固定費が発生します。このコラムでは、変動費についての平均的な目安や400本を超えるHANJO TOWN収録コラムから具体的な改善方法を紹介します。
変動費とは?
例えば、食材の仕入れは、来店が多いと想定されるときにはたくさん必要となり、逆に来店が少ないと想定される場合は少なくなります。
料理をたくさん調理する場合には、ガス代がたくさんかかります。出数が少ない場合には、ガスの使用量は減ります。
アルバイトのシフトも同様に、来店が多い場合は人数が必要で、来店が少なければ人数は少なくても対応できます。
このように、来店されるお客様数(≒売上)の増減に伴って増減する費用を変動費といいます。飲食店経営で一般的に発生する変動費には以下のようなものがあります。
変動費 | 具体例 |
---|---|
食材費・・・ 食材やドリンクの仕入れ |
食材やドリンクの仕入れ費用です |
人件費・・・ アルバイト・パートへの給料 |
アルバイト・パートなど、労働時間に比例して増加する給料は変動費にあたります |
水道光熱費・・・ 電気代・ガス代・水道代 |
基本利用料部分を除く、従量料金部分は変動費になります |
販促費・・・ グルメサイト等への有料掲載 |
グルメサイト等へのお店の情報の掲載料や、そのサイトで予約が発生した場合に従量課金される送客手数料などが変動費にあたります |
消耗品費・・・ 割り箸やお手拭などの消耗品費 |
割り箸やお手拭などは、お客様が多ければ消費も多くなる変動費です |
固定費とは?
例えば、6月の梅雨時は、お客様の足が鈍り一般的に飲食店の売上が下がる傾向がありますが、それに関係なくお店の家賃の支払いや、金融機関からの融資の返済は、他の月と同じように必要となります。
このように、来店されるお客様数(≒売上)の増減に関わらず発生する費用を固定費といいます。飲食店経営で一般的に発生する固定費には以下のようなものがあります。
固定費 | 具体例 |
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支払家賃・・・ お店の家賃 |
お店を借りている場合の家賃です |
借入金(返済)・支払利息・・・ 融資の返済 |
お金を借りている場合、毎月決まっている元本返済と利息の支払い額が固定費にあたります |
通信費・・・ お店のネット接続費用 |
お店にWi-Fi環境を整備していて、その契約が固定の利用料である場合は、固定費になります(従量料金部分がある場合、その部分は変動費になります) |
支払報酬・・・ 税理士への謝金 |
記帳代行などをお願いしている場合の、毎月の顧問料は固定費になります |
人件費・・・ シェフへの給料 |
シェフを雇っていて、売上に関係なく月給を支払っている場合は、固定費になります |
減価償却費・・・ 厨房機器の減価償却 |
冷蔵庫やガスレンジなどの減価償却費も固定費に分類されます。ただ、他の固定費と違い実際の支払いは発生しないので、直接運転資金は圧迫しません |
売上に対する平均的な変動費の目安
変動費や固定費の望ましい金額は、業態や立地にもよるため必ずしも正解はありませんが、一般的な飲食店の平均的な目安としては次のように紹介されることが多いです。そして、各変動費を1~4%改善できると、売上をアップしなくても利益が大きく残るようになります。
それでは、変動費のコントロールにはどういったノウハウがあるか見ていきましょう。
なお、固定費の削減については、別のコラムで詳しく解説しております。
参考コラム:飲食店は固定費の見直しで損益分岐点を下げよう
食材費
仕入れ先の開拓、条件変更、売上予測精度アップによる過剰仕入と廃棄ロス抑制、ポーションオーバー対策などにより、比率を引き下げることができます。詳しくは以下のコラムを参考になさってください。
参考コラム:
飲食店経営で利益率を上げるには、売上アップよりもコストダウンが効果的
原価率コントロールの手法
在庫棚卸を徹底することでキャッシュフローを改善
人件費
来店予測精度向上によるアルバイト・パートのシフト管理の巧拙がコントロールの肝になります。詳しくは以下のコラムを参考になさってください。
参考コラム:
飲食店は「人時売上高」を重点経営指標として捉える
飲食店は「人時売上高」を重点指標の1つとして設定すべき
人件費率ダウンのためには、毎月スタッフを「何時間使えるのか」を計算する
人件費率ダウンのためにはまず時間帯別売上を把握する
水道光熱費
基本的には一般家庭での節水・節電と同様に、空調のこまめな温度調節や蛇口をきちんと閉めるといった地道な取り組みでコストダウンを図ることになります。なお、昨今の電力販売自由化により、電気会社・ガス会社・通信事業者がさまざまなセット料金を打ち出していますので、お得なものを見つけることができれば大きくコストダウンできる可能性もあります。
販促費
特に新規開業時はお店の認知がゼロに近い状態からスタートとなりますので、グルメサイトの有料プラン利用による露出は大きな武器になるでしょう。
ただ、グルメサイト経由の来店獲得には従量課金されますので、ネット集客がそれ一辺倒だといつまでも販促費が経営を圧迫し続けます。並行して自分のお店のホームページを準備し、リピータの予約獲得はそちらに誘導しながら、徐々に新規のお客様の認知も自身のお店で取り付けられるようにすることで、販促費を大幅に圧縮することができます。
例えばグルメサイト経由の予約の送客手数料が200円の場合、お店のホームページに設置した受付で予約してもらえればサワー・ハイボールなどを1杯無料というような誘導が考えられます。お客様はお得になり、ドリンク原価は75円程度のため、お店側でも販促費の圧縮につながります。
新規のお客様への認知を自分のお店のホームページでできるようになるためには、Googleマップ上への投稿や口コミを拡充した上で、自分のお店へのリンクを設置しておくと効果的です。
昨今、お客様がスマホを取り出して飲食店を検索された場合、Googleマップの検索結果が自動的に最も優先されて表示されるケースが増えています。Googleマップの検索結果では、お店や料理の写真や口コミといった情報量が多いお店が上位に表示される傾向があります(一般的にMEO対策またはローカルSEO対策といわれています)。
上位獲得に成功し、予約を自分のお店のホームページで受付できれば、グルメサイトへの送客手数料負担を減らすことができます。
まとめ
以上、このコラムでは変動費についての平均的な目安や具体的な改善ノウハウを紹介しました。なお、当サイトで紹介している「HANJO会計」には、日々発生している変動費を自動集計して、課題に応じた改善のヒントも自動表示する”経営NAVI”機能がついていますので、よろしければ活用いただければ幸いです。
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