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飲食店が開業時からクラウド会計ソフトを使う場合のポイントを解説!

本コラムでは、飲食店を開業した個人事業主が開業初年度からクラウド会計ソフトを使って青色申告をする場合のポイントについて、当サイトで紹介している「HANJO会計」の画面の例示を交え、一般的に妥当と考えられる処理を税理士の監修も踏まえた上で解説します。

前提

個人事業における会計では、毎年、1月1日が期首日となり、12月31日が期末日となります。
一方で多くの飲食店は、1月1日に開業しているわけではなく、経営者の都合、物件の取得、販売促進の有利な時期などを勘案し、様々な時期にオープンしています。

このコラムでは、以下のような時間軸で開業した飲食店を想定して、開業初年度からクラウド会計ソフトを利用する場合のポイントを解説します。

時期 期間
1.開業の準備を行なっていた期間 XX年3月1日~9月9日
2.自己資金を事業用に元入れした日 XX年4月10日
3.金融機関から融資の入金があった日 XX年6月20日
4.実際にお店の営業を開始した日 XX年9月10日
5.開業届に記載した開業日 XX年9月10日

期首日の登録

想定した飲食店の場合、個人事業としての会計上の初年度の期首日は、税務署に届け出た“4.開業届に記載した開業日”である「XX年9月10日」となります。 HANJO会計の初期設定では、最初に設定する項目です。

免税事業者/課税事業者の選択

個人事業における消費税の納税義務は、前々年の課税売上高が1,000万円を超える場合に課されます。 このため起業直後の場合は前々年の売上自体が無いことから、基本的には免税事業者としての登録となります。以下、「HANJO会計」における設定画面です。

勘定科目の編集と、補助科目の追加

クラウド会計ソフトには、あらかじめ国税庁が提供している「帳簿の記帳のしかた(事業所得者用)」などを参考にした勘定科目が登録されています。ご自身のお店で独自の勘定科目を使いたい場合のみ、追加、編集を行ないます。勘定科目を追加、編集する場合には、以下のコラムを参考にしてください。

参考コラム:

補助科目は、例えば事業用の普通預金口座が2つ以上ある場合などに、勘定科目「普通預金」に対する各銀行口座名を登録して、それぞれの口座の残高を管理するために必要となります。 また、事業用のクレジットカードを2種類以上持っている場合には、買掛金や未払金をクレジットカード会社ごとに管理するために登録を行ないます。

HANJO会計では、これらの補助科目を口座登録して利用することができます。 また、その口座がネットバンキングに対応している場合には、それぞれの口座の取引明細についてMoneytreeサービスを介しHANJO会計に自動連携することも可能です。

元入金の仕訳

事業主がお店の事業用に準備した現金や事業用口座入金した金額は、期首日9月10日を仕訳日付として、元入金科目を使い仕訳計上します。 このコラムの例では、実態としての元入れはXX年4月10日に行っています。下表の仕訳の例を参考に摘要欄に説明として入力しておきます。

仕訳の例

借方 摘要 貸方
事業用普通預金(口座名) または 現金 4月10日 事業主元入れ 元入金

借入金の仕訳

期首日9月10日を仕訳日付として、金融機関から事業用口座に振り込まれた金額を、借入金として仕訳を計上します。 このコラムの例では、実態としての借入金の入金はXX年6月20日に行われています。下表の仕訳の例を参考に摘要欄に説明として入力しておきます。

仕訳の例

借方 摘要 貸方
事業用普通預金(口座名) 6月20日  日本政策金融公庫から入金 長期借入金

開業費の仕訳

期首日9月10日を仕訳日付として、開業の準備を行なっていた期間であるXX年3月1日~9月9日にかけての支出のうち開業費として計上可能な取引は、開業費として仕訳します。 摘要欄に説明として、実際にその支出を行なった日付や取引先名などを入力します。

仕訳の例

借方 摘要 貸方
開業費 YY月ZZ日 支出先・支出理由 (費用科目)

なお、開業費として計上可能な支出の考え方については、以下のコラムを参照してください。

参考コラム:

固定資産の仕訳

XX年9月10日までに施工完了した内外装の工事費や、取得設置した10万円以上の業務用冷蔵庫やガスコンロなどの固定資産は、期首日9月10日を日付として取得内容の仕訳を計上します。 摘要欄に説明として、実際にその支出を行なった日付や取引先名などを入力します。

仕訳の例

借方 摘要 貸方
(有形固定資産科目) YY月ZZ日 支出先・取得資産内容 (現金等の支払手段)

なお、XX年9月11日以降に取得した固定資産については、実際の取得日を日付として登録します。この場合は、摘要欄に説明として取得日を入力する必要はありません

事業主貸と事業主借

普段あまり聞きなれない言葉ですが、個人事業の会計では「事業主貸」と「事業主借」という勘定科目を利用するケースが発生します。

会計で必要とされる仕訳は、あくまで事業に関する取引を全て計上する方法が原則となります。このため、事業主自身のポケットマネーから運転資金を捻出したり、あるいは私的な生活費を事業の運転資金から流用したりといった場合においても、事業上の観点から取引として計上する必要が生じます。

開業日以降に、事業用の現預金を事業主個人の現預金に移した場合などは、お店から見ると「事業主に貸した」という解釈になり、このようなケースで使用する勘定科目が「事業主貸」となります。 事業主個人の現預金を事業用の現預金に移した場合などは、お店から見ると「事業主に借りた」という解釈になり、このようなケースで使用する勘定科目が「事業主借」となります。

具体例については、以下のコラムを参考にしてください。

参考コラム:

売上に関する仕訳

毎日の現金売上について、HANJO会計では取引入力(収入)より登録します。

なお、カシオのレジで対象機種をお使いの場合は、レジの精算レポート上の売上や消費税などの情報を、HANJO会計に自動的に連携し仕訳として計上することができます。

参考コラム:

クレジットカードやQRコード等のキャッシュレス決済については、お客様の会計時点でいったんキャッシュレス事業者に売掛金として計上し、後日入金があった際に、その売掛金を消し込む仕訳が必要となります。詳細については、以下のコラムを参考にしてください。

参考コラム:

仕入・経費に関する仕訳

毎日の仕入・経費のうち、現金で支払った取引について、HANJO会計ではスマホアプリを使ってレシートや領収証を撮影することで仕訳として計上することができます。

レシートや領収書はスマホで撮るだけ!大変な取引入力の時間を1/3に!

クレジットカードやQRコード等のキャッシュレス決済については、支払い時点ではいったんキャッシュレス事業者に買掛金(仕入分)、または未払金(経費分)を計上し、後日支払いを行なった時点で、その買掛金・未払金を消し込む仕訳が必要となります。詳細については、以下のコラムを参考にしてください。

参考コラム:

残高試算表による確認

これまでに紹介した仕訳を日々クラウド会計ソフトに入力することで、各勘定科目・補助科目の残高が自動的に集計されますが、例えば確定申告時期になって初年度の全期間の集計状況を確認した場合には、仕訳の入力ミスなどを発見したり、修正が必要になったりといった作業が増えることが想定されます。そこで、少なくとも1ヶ月毎に、残高試算表により各勘定科目の残高を確認することをおすすめします。

残高試算表で勘定科目・補助科目のうち誤りがありそうな集計を見つけた場合には、該当する仕訳を特定、確認して適切に修正する必要があります。HANJO会計では、誤っていると考えられる仕訳について、日付や科目を指定して検索することはもちろん、違算の原因になっていそうな金額を範囲指定することで検索することができます。

決算整理仕訳

期末日付において、事業所得を確定させるために、決算に向けて必要な仕訳を計上することを決算整理仕訳といいます。 例えば、年をまたいで保管している食材について、費用の帰属をどちらの年のものにするか会計上明らかにしたり、固定資産の減価償却額を計算したりする仕訳などのことです。お店用と個人用で共用しているものがある場合、お店の費用分を明らかにする「家事按分」という計算も必要になります。

具体的な決算整理仕訳の例については、以下のコラムを参照してください。

参考コラム:

所得税の確定申告

青色申告による所得税の確定申告では、「青色申告決算書(全4ページ)」と「所得税確定申告書(個人事業主向け/基本全2ページ)」という、2つの書類を税務署に提出します。

青色申告決算書は、基本的にHANJO会計の残高試算表内容などが自動的に転記され、作成されます。

所得税確定申告書は、HANJO会計で計算されているお店の事業所得に加えて、お店の事業以外の所得があれば記載します。また、経営者個人とその家族の社会保険料や医療費についての所得控除も盛り込んで作成します。 HANJO会計では、画面のガイダンスに沿って入力することで、所得税確定申告書を完成できます。

具体的な例について、以下のコラムも参考にしてください。

参考コラム:

まとめ

以上、本コラムでは、飲食店を開業した個人事業主が開業初年度からクラウド会計ソフトを使って青色申告・確定申告をする場合のポイントについて解説しました。

なお、HANJO会計では、日々の取引を青色申告に向けて集計するだけではなく、お店の客数・客単価の計算、食材費や人件費の計算を自動で行えて、それらの状況を踏まえた売上アップやコストダウンのヒントを参照できます。無料でお試しいただけますので、よろしければご利用ください。

※本コラムは個別のお客様毎のすべての取扱を説明・保証する主旨のものではありません。個別の事情などでご不明点がある場合には、所管の税務署や税理士などの専門家にご相談ください。

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